黒人コミュニティーの正義と平等を求めた「Black Lives Matter」運動をあらためて考える

Juneteenth(ジュンティーンス)

 6月19日はアメリカで奴隷制度が終わった日であり、多くのアフリカ系市民が「Juneteenth」と呼んで祝い、これまでにも様々な行事が行われてきた。

 今年はジョージ・フロイドさんの事件の影響が広がり、各地で人種差別に対する抗議が高まっている中での6月19日ということもあり、米国はもとよりカナダそしてトロントでもデモが行われた。

私たち一人ひとりに何ができる?

 では我々一人一人に何ができるか。答えを見つけるのは非常に大変であるがその手段は例え小さなことでも様々にある。

・まずはこのような人種差別問題があるということを〝知る〟こと。当事者の声、体験に耳を傾け〝聞く〟こと。そこから自分たちで〝学ぶ〟こと。英語などでの資料を読む際は、著者がどの人種の人なのかといったことに目を配ることも重要だ。

・人種問題に向き合うに当たって特にマジョリティー側の人が注意するべきことは例えば〝違う人種・カラーなど存在しない〟という意味で〝みんな同じ〟という考え方である。特にあらゆる人種が入り混ざり共存する北米社会で人種がないという見方は、それぞれの人種的マイノリティが直面してきた・している差別や実際の体験を軽視、無視することに繋がってしまう可能性がある。これは極めて危険なことだ。一つにまとめるというよりも、それぞれマイノリティーの体験を尊重し問題を認めるという事が求められる。

・警察による暴力で打撃を受ける黒人コミュニティーへの直接的な援助としてこれに関わる団体や基金へ、さらに善意でデモ活動に参加し逮捕された人々の保釈金としてなどといった募金活動もできることの一つである。募金場所をリストアップしていたりそれぞれ目的に合わせて募金場所を見つける事ができるまとめサイトもいくつかある。

・実際に警察などの当局がその権限使用の際の政策・制限を導入することで警察の暴力が減っているというデータもある。例えば警察官に銃の発砲前に他に出来る全ての方法を使うことを定めた政策を取り入れた警察署では警察による死亡者が25%減ったという。他にも同様にチョークホールドや首を絞める行為の禁止を取り入れていた所では22%減った。図3はこのような政策とその導入後の影響を示している。しかしまだこのような政策を取り入れている警察署は多くない。そこから署名活動などに参加して政策の導入へのサポートもする事が可能だ。また選挙に行くこともサポートにつながる。

Defund the Police

 最近北米では警察への資金を削減し、その資金を異なる機関に分配するべきであるという解決案が多く聞かれる。この案は必ずしも警察をなくすというものではなく、現在の警察の仕事量や任務が小さなことから大きなことまであまりに多すぎることを考慮し、そこから任務によって社会福祉事業の従事者(ソーシャルワーカー)など他の機関の専門的従事者に分配することができれば問題の緊張を段階的に縮小し解決出来るのではという考えである。

 例えば先日トロントで起きたリージャス・パクェットさんの事件でも、もし彼女が当時何らかの精神病症状を体験していたのならば、その場にそのような患者に向き合う専門家がいたり家族も警察ではなくそのような専門家へのアクセスがさらにあればまた結果は違ったのではないかという意見がある。

Pages: 1 2 3 4

Pages: 1 2 3 4