カナダ全都市から視聴可能な バーチャル上映!トロント日本映画祭必見の注目作品見どころと全作品ガイド

カナダ全都市から視聴可能なバーチャル上映!
【チケット詳細はこちら】 https://jccc.on.ca/films/toronto-japanese-film-festival-tjff/film-line

 映画コラムニスト・みえが今年のトロント日本映画祭で上映される作品の中から、おすすめ作品を紹介。最近の日本映画はとても充実していて、どの作品もおすすめだが、その中であえて10本を厳選し、その魅力を語る。

緊急追加作品!
ヴェネチア銀獅子賞受賞作品
「スパイの妻」

監督は黒沢清監督、脚本を監督作品『偶然と想像』がベルリンで審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞するなど今注目の濱口竜介さんが担当した話題作。

1
すばらしき世界 UNDER THE OPEN SKY

 数々の映画賞に輝く西川美和監督と名優・役所広司がタッグを組んで、実在の人物をモデルとした元受刑者の人生を描き、第56回シカゴ国際映画祭で観客賞と最優秀演技賞(役所広司)を受賞。『パラサイト』のポン・ジュノ監督にも絶賛された、「社会」と「人間」の今をえぐる問題作。

監督:西川美和『ゆれる』『永い言い訳』『ディア・ドクター』 / 出演:役所広司、仲野太賀、長澤まさみ、梶芽衣子、橋爪功

MIE’S COMMENT

 例年に比べ上映本数が大幅に絞られた昨年9月のトロント国際映画祭(TIFF)で、日本映画は2本だけが選ばれました。そのうちの1本が、西川美和監督の『すばらしき世界』でした。2012年の『夢売るふたり』、2016年の『永い言い訳』に続き、3作品連続でTIFFへの出品となった本作。やはり必見だと思います。

 毎年、TIFFは世界中から面白い映画ばかり厳選して上映するような作品選定になっていて、TIFFで上映される作品なら面白いに違いない、くらいに私は思っておりまして。当然、西川監督の作品もTIFFで上映されるからには面白いに違いない、という思いもあります。でもそれ以前に西川監督は、私にとってはもうかれこれ15年くらい、日本映画で最も新作を待ち望む監督さんだったりします。というのも、過去の監督作が傑作ばかりだから。人間の善意と悪意を容赦なく突きつけられ、映画を観ているうちに傍観者ではいられなくなるような引き込まれ方をします。その鋭い心理描写に、観賞後はちょっとぐったりするくらい心を持っていかれます。『すばらしき世界』には、そんな西川監督作品ならではの人間を見つめるまなざしが、かつてない鋭さと深さで絶えず存在しています。

©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

 その中心にいるのが、主演の役所広司さん。殺人を犯して服役し、長期刑を終えた後、社会復帰しようともがく主人公を演じています。正義感が強くて短気を起こす、社会には受け入れられにくい人物なのに、役所広司さんが演じる主人公は、なんとも魅力的で憎めない。そんな主人公が、風当たりの厳しい世の中で、人間のふとした無関心や悪意、思いがけない善意などに全力でぶつかっていきます。そのたびに、観ているこちらも、かつてない振れ幅で心を揺さぶられ続けるような作品です。

2
ヤクザと家族 The Family A FAMILY

Ⓒ2021 “A Family” Film Partners
Ⓒ2021 “A Family” Film Partners

 去年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞含む6冠「新聞記者」の藤井道人監督が、変わりゆく時代の中で排除されていくヤクザという存在を、3つの時代に渡って抗争という目線からではなく、家族の目線から描いた作品。

監督:藤井道人『新聞記者』『宇宙でいちばんあかるい屋根』 / 出演:綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、磯村勇斗、市原隼人

MIE’S COMMENT

 「道を踏み外した者が、日本の社会でいかに生きていくのか」という点で、『すばらしき世界』と相通ずるものがあると思えるのが、『ヤクザと家族 The Family』です。綾野剛さん演じる主人公が、血のつながった家族よりも本物の家族のような反社会的勢力の一員となる、若かりし日のある事件。そこから20年にわたる3つの時代の出来事を、その間の社会情勢の変化を交えて描く人生譚。暴力団対策法の施行により、この2、30年で反社会的勢力のメンバーがどんどん生きづらくなってきた日本において、ある男がたどる人生を丁寧に見つめるような作品です。

 2020年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』の藤井道人監督が、『新聞記者』に続き日本の現代社会に潜む問題をつぶさに描いたようなところも、見ごたえがあります。今の日本で、一般的なレールから外れたところを生きていくことがどういうことなのか。そんな視点から、『すばらしき世界』と対比するように観てみるのも良いのではないでしょうか。

3
NORTH AMERICAN PREMIERE
宇宙でいちばんあかるい屋根 THE BRIGHTEST ROOF IN THE UNIVERSE

©2020 "The Brightest Roof in the Universe"  Film Partners
©2020 “The Brightest Roof in the Universe” Film Partners

 野中ともその同名小説が原作の、迷える少女の不思議な出会いと成長を描くファンタジー。

監督:藤井道人『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』 / 出演:清原果耶、桃井かおり、伊藤健太郎、吉岡秀隆、坂井真紀

MIE’S COMMENT

 藤井道人監督といえば、今年のトロント日本映画祭ではもう1本、監督作が上映されます。それが『宇宙でいちばんあかるい屋根』です。こちらは、『ヤクザと家族 The Family』とはまたひと味違って、清原果耶さん演じる少女が、夜空の下の屋上で不思議な初老の女性と出会う話。少しファンタジー要素もある不思議な物語が、少女と老婆の心の交流を軸に展開し、思わず彼女の視点で世界を見つめてしまいます。少女の家族やお隣さんとの関わりの中で、彼女の心の動きに沿って、温かく豊かな感情で満たされるような作品です。

 主演の清原果耶さんが歌い上げるエンドロールの主題歌も素晴らしく、コロナ禍で鬱々としたこの現実世界を、ひととき忘れさせてくれるようなところがあります。

4
TIFF ENCORE PRESENTATION
朝が来る TRUE MOTHERS

©2020 “Asa ga Kuru” FILM  PARTNERS/ KINOSHITA GROUP,  KUMIE
©2020 “Asa ga Kuru” FILM PARTNERS/ KINOSHITA GROUP, KUMIE

 第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出された、河瀨直美監督によるヒューマンミステリー。

監督:河瀨直美『あん』『光』 / 出演:永作博美、井浦新、蒔田彩珠

MIE’S COMMENT

 昨年9月のトロント国際映画祭(TIFF)で上映された日本映画は2本だけで、そのうちの1本が『すばらしき世界』で必見だとご紹介しました。もう1本もやはり必見で、それが河瀨直美監督の最新作『朝が来る』です。河瀨監督は、もうかれこれ20年近く、新作を発表するたびにTIFFで上映されているのではと思うほど素晴らしい作品ばかり発表していますが、そんな中でも今回の『朝が来る』は、また一段とおすすめです。というのも、今回は直木賞作家の辻村深月さんの原作を映画化していて、この原作がまたすごい。中学生で妊娠し、生まれたばかりの子どもをやむなく手放すことになった少女と、その子を特別養子縁組で引き取ることになった、子どもを授かることのできなかった女性。二人の女性の悲痛なまでの心の動きを、辻村深月さんらしい丁寧で緻密な筆致で、読者の心をえぐるように言葉を紡いでいたのが原作小説でした。それを、河瀨監督らしい情景描写や映像美により、見事なまでに映像化しているのがこの作品です。

©2020 “Asa ga Kuru” FILM PARTNERS/  KINOSHITA GROUP, KUMIE
©2020 “Asa ga Kuru” FILM PARTNERS/ KINOSHITA GROUP, KUMIE

 この作品の主題歌もまた素晴らしく、エンドロールの最後の最後まで心を奪われるつくりになっています。日本国内の映画館での上映時は、エンドロールの最後で涙腺を崩壊させられた直後、場内が明るくなって困ってしまうようなところがありました。その点、オンライン映画祭の今回は、誰にはばかることなく自宅で号泣できるので大丈夫です。その点では、オンライン映画祭もいいかもしれない、なんて思います。

5
NORTH AMERICAN PREMIERE
私をくいとめて HOLD ME BACK

※この作品はケベック州では視聴できません。

 30歳を越えてすっかり“おひとり様”が板についた黒田みつ子は、脳内にいるもう一人の自分である相談役「A」と平和な生活を楽しんでいた。ある日、みつ子は年下の営業マン・多田くんに恋をしてしまう。みつ子は20代のころのように勇敢になれない自分に戸惑いを感じながら、「A」に色々と相談しながら一歩踏み出すことに。

監督:大九明子『勝手にふるえてろ』 / 出演:のん、林遣都、臼田あさ美、片桐はいり、橋本愛

MIE’S COMMENT

 昨年11月の東京国際映画祭で観客の投票による観客賞を受賞したのが、大九明子監督の『私をくいとめて』で、これまた必見です。2018年のトロント日本映画祭で上映された『勝手にふるえてろ』に続き、今回の『私をくいとめて』でも、綿矢りささんの同名小説を大九監督が映画化しています。『私をくいとめて』でも『勝手にふるえてろ』と同様に、主人公の女性と彼女を取り巻く人々の行動や心の叫びが面白おかしく、ときに痛々しく描かれています。

©2020 『私をくいとめて』 製作委員会
©2020 『私をくいとめて』 製作委員会

 この「面白おかしく」の点において、実は大九監督の作品は日本映画では稀有な存在ではないかと私は思っています。タイミングというか間合いというか、それが絶妙で。大九監督にインタビューした際にお聞きした話で、映画監督になる前には一人芝居のコントを作っていた時期があったのだとか。そんな経験も影響しているのか、なかなか他の日本映画では見受けられないような絶妙な笑いの間合いが、大九監督の作品ではそこかしこに存在します。しかも、そんな面白さあふれる中に、ヒリヒリと心に刺さる場面が散りばめられています。このあたりのバランスもまた絶妙です。面白いだけでは、映画を観てもおそらくいっとき消費するのみで終わってしまうし、痛々しいだけでは辛くなります。そこを絶妙なバランスで見せるから、いつまでも心をとらえて離さないような印象を受けるのかなと思います。さらに大九監督の作品は、登場人物の行動を肯定も否定もせず、断罪しない懐の深さに満ちていて、とても勇気づけられる気がします。そんなわけで、心に刺さって離れないコメディとして、おすすめです。

6
NORTH AMERICAN PREMIERE
椿の庭 A GARDEN OF THE CAMELLIAS

©2020 "A Garden of the  Camellias" Film Partners
©2020 “A Garden of the Camellias” Film Partners

 夫の四十九日を終えたばかりの絹子(富司純子)は孫娘の渚(シム・ウンギョン)と、海の見える日本家屋で暮らしている。家や庭で起こる些細な出来事、過去の記憶に想いを馳せ慈しむ日々の中、ある日絹子へ一本の電話がかかってくる。椿が咲き誇る一軒家に暮らす祖母と孫娘、そこを訪れる人々の“一年間”を紡いだ人間ドラマ。

監督:上田義彦 / 出演:富司純子、シム・ウンギョン、鈴木京香、チャン・チェン

MIE’S COMMENT

 記憶の彼方にある日本的な風景を、余すところなく焼き付けたような印象を受けるこの作品は、トロント日本映画祭という枠組みの中で、もしかすると一番注目すべき作品かもしれないと私は思っています。

 海を眺める小高い丘に建つ古風な日本家屋に、手入れの行き届いた前栽がある。澄んだ水をたたえる池には金魚が泳ぎ、その庭を一望する縁側がある。障子から陽の光が漏れ入る居室には、お茶をいれてくつろぐお婆さんと孫娘がいる。そんな、かつてどこかで見たような日本的な風景と、ゆったりとした時の流れの中にある自然の美しさは、日本から遠く離れてカナダに暮らすみなさんの望郷の思いをかきたてるのではないかと思います。また、カナダで生まれ育ちながら日本に関心を持つ方の目には、とても興味深く映る日本的な情景ではないかと思います。

『椿の庭』 ©2020 "A Garden of the Camellias" Film Partners
『椿の庭』 ©2020 “A Garden of the Camellias” Film Partners

 この作品で監督・脚本・撮影を務める上田義彦監督は、写真家として著名な方。そんな上田監督の初監督作品である本作では、悠久の時の中にたたずむような庭の自然が、どこまでも美しくとらえられていて、ただ映画館の暗闇で眺めているだけで幸せになれる気がします。そういう意味では、実はこの作品はオンライン映画祭で観るのが一番もったいないのではないかとも思ってしまいます。映画館で味わう美しい映像と豊かな時間。それをオンラインで十分に味わえるのだろうか、と。ただ、そんな懸念を差し置いても、どこか懐かしさを覚える日本的な情景をとらえたこの作品は、ぜひカナダのみなさんに観てほしいと思います。

7
CANADIAN PREMIERE
劇場版おいしい給食 Final Battle SCHOOL MEALS TIME: FINAL BATTLE

 給食マニアの教師と生徒の“静かな闘い”を描く今世紀最大の給食スペクタクルコメディ!1984年。「どちらがよりおいしく給食を食べるか」というバトルを日々繰り広げている給食マニアの中学教師の甘利田と生徒の神野。神野は給食改革を目指し、生徒会選挙に出馬すると高らかに宣言。そんなある日、学校から給食がなくなることを通達され、給食が大好きな甘利田はショックを受ける。

監督:綾部真弥『柴公園』 / 出演:市原隼人、武田玲奈、佐藤大志

MIE’S COMMENT

 「日本的な情景をとらえた映画」という意味では、『椿の庭』とは全く作風が異なる作品ではあるものの、『劇場版おいしい給食 Final Battle』もおすすめです。というのも、この作品で描かれる「給食」という文化が、おそらく非常に日本固有のものだと思うから。

©2020 “School Meals Time” Film Partners
©2020 “School Meals Time” Film Partners

 ミルメークとかソフト麺とか、先割れスプーンとか。給食の細かな描写は、日本の学校の給食で育ってきた方には懐かしさがこみ上げるところではないかと思います。他方、日本の給食を知らないカナダの方には、学校でお昼に集団で配膳するところから、バラエティに富んだメニューながら全生徒が同じものを一斉に食べるという行動様式まで、初めて目にすることばかりではないかと思います。その意味で、この作品は『椿の庭』と全く違えど、『椿の庭』と並んで非常に日本的で、トロント日本映画祭という枠組みの中で、とてもおすすめしたい作品だなと思います。

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CANADIAN PREMIERE
相撲道 – サムライを継ぐ者たち – SUMODO – SUCCESSORS OF SAMURAI

©2020 ‘SUMODO: THE SUCCESSORS OF SAMURAI’ FILM PARTNERS
©2020 ‘SUMODO: THE SUCCESSORS OF SAMURAI’ FILM PARTNERS

 1500年以上もの歴史の中で日本人の暮らしに深く根付き、今や国技となった「相撲」。約半年間、境川部屋と高田川部屋の二つの稽古場に密着。想像を絶する朝稽古、驚きの日常生活、親方・仲間たちとの固い絆、そして、本場所での熱き闘いの姿を追いかける中で、相撲の魅力を歴史、文化、競技、様々な角度から紐解いていく。

監督:坂田栄治 / ナレーション: 遠藤憲一

MIE’S COMMENT

 「日本的」という意味ではもう1本、外せないのが『相撲道 サムライを継ぐ者たち』です。大相撲の力士たちを追い、境川部屋と高田川部屋に密着したドキュメンタリーです。稽古の様子から、力士たちの食事や炊事といった日常生活、怪我を抱えてなお闘う力士の思いなどが、つぶさにとらえられています。一般人が普段目にするのは大相撲の場所での取組が中心で、その背景にある並々ならぬ稽古の様子を見ることなど滅多にありません。それがこの作品では、取組での激闘に耐えうる体を作るために日々鍛錬する力士の日常が、とても見ごたえのあるドキュメンタリーになっています。

©2020 ‘SUMODO: THE SUCCESSORS OF SAMURAI’ FILM PARTNERS
©2020 ‘SUMODO: THE SUCCESSORS OF SAMURAI’ FILM PARTNERS

9
CANADIAN PREMIERE
愛がなんだ JUST ONLY LOVE

 28歳のOL山田テルコの生活は、マモルに一目惚れした5カ月前から、マモル中心となってしまう。仕事中、真夜中と、どんな状況でもマモルが最優先。仕事を失いかけても、友達から冷ややかな目で見られても、とにかくマモル一筋の毎日を送っていた。しかし、そんなテルコの熱い思いとは裏腹に、マモルにとってテルコは単なる都合のいい女でしかなかった。

監督:今泉力哉 / 出演:岸井ゆきの、成田凌、筒井真理子、深川麻衣、若葉竜也、江口のりこ

MIE’S COMMENT

 今回のトロント日本映画祭の上映作品の中では、日本での劇場公開時期が少し前の2019年ではあるものの必見だと思うのが、今泉力哉監督の『愛がなんだ』です。全編、あらゆるところが心に刺さる恋愛映画です。一方通行の片思いに不毛な関係。他人から見れば、「なんでそんな関係をずるずる続けてるの?」と思うような間柄でも、自分のことになると、どうにもできない。それどころか嬉々として飛び込んでいって、関係を保とうとしているようなところがあったりもする。そんな恋愛模様が、さりげない会話の積み重ねとともに痛々しく刺さり続けるような、ある意味おそろしい映画かもしれません。人によっては、身につまされるのか、登場人物の行動に苛立ちを覚えるのか。いずれにしても、心を激しくかき乱すようなところがあるこの作品、ぜひご覧いただきたいと思います。

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CANADIAN PREMIERE
カツベン! TALKING THE PICTURES

 子供の頃、活動弁士を夢見ていた青年・俊太郎はニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいた。インチキに嫌気がさした俊太郎は一味から逃亡し、とある小さな町の映画館に流れ着き、そこで働くことになるが… 【アクション】×【恋】×【笑い】の要素を織り交ぜた極上エンターテインメント!!
監督
:周防正行『Shall we ダンス?』『それでもボクはやっていない』 / 出演:成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、井上真央、竹野内豊

MIE’S COMMENT

 さらにもう1本、「日本的」という意味では、『Shall we ダンス?』の周防正行監督の5年ぶりとなる最新作『カツベン!』もおすすめです。サイレント映画の時代、映像に合わせて音楽は楽士が演奏し、それに合わせて口述をしていたのが活動弁士、通称・カツベン。昔むかしの映画小屋での上映の様子から、和装と洋装が混在した庶民の姿まで、かつての日本の風景の中で繰り広げられるドタバタのアクションコメディは、視覚的にとても楽しめるのではないかと思います。また、コロナ禍で映画館に足を運ぶこともままならない日々が続く今だからこそ、大昔から賑わう映画興行が主題の本作を観ることで、少しは元気をもらえそうな気がします。

他にも見逃せない映画が続々!上映作品全リスト

©2021 “Blue Corner” Film Partners / ©2021「BLUE/ブルー」製作委員会
©2021 “Blue Corner” Film Partners /
©2021「BLUE/ブルー」製作委員会

INTERNATIONAL PREMIERE
BLUE/ブルー BLUE

※この作品はケベック州では視聴できません

 ボクサーの瓜田は誰よりもボクシングを愛しているが、どれだけ努力しても負け続き。一方、後輩の小川は抜群の才能とセンスで日本チャンピオン目前。瓜田の初恋の人、千佳との結婚も控えていた。もう一人、軽いノリでボクシングを始める楢崎も、最初は弱かったが、次第に才能を見せ始める。

監督:田恵輔『ヒメアノ〜ル』『犬猿』 / 出演:松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生、東出昌大


©Setona Mizushiro, Shogakukan / "The Cornered Mouse Dreams of Cheese" Film Partners
©Setona Mizushiro, Shogakukan / “The Cornered Mouse Dreams of Cheese” Film Partners

CANADIAN PREMIERE
窮鼠はチーズの夢を見る (R15+)
THE CORNERED MOUSE DREAMS OF CHEESE

 人を好きになる喜びや痛みを純粋に描き、多くの女性から支持を得た水城せとなの同名漫画を行定勲監督が映画化した切ないラブストーリー。学生時代から受け身の恋愛を繰り返してきた大伴恭一は、大学の同性の後輩・今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会。突然、今ヶ瀬から想いを告げられた大伴は戸惑うも、ふたりは一緒に暮らしだす。やがて、大伴の昔の恋人・夏生が現れ、その関係が変わり始める…。

監督:行定勲『世界の中心で、愛をさけぶ』『パレード』 / 出演:大倉忠義、成田凌、吉田志織、さとうほなみ


©Hiroyuki Nishimori, Shogakukan ©2020“From Today, It’s My Turn!!: The Movie”Film Partners
©Hiroyuki Nishimori, Shogakukan
©2020“From Today, It’s My Turn!!: The Movie”Film Partners

NORTH AMERICAN PREMIERE
今日から俺は!! 劇場版
FROM TODAY, IT’S MY TURN!!: THE MOVIE

 1980年代に連載された伝説のツッパリ漫画の映画化。80年代昭和の千葉を舞台に不良コンビの愉快な学園ライフを迫力のバトルアクションと、ギャグの連続で描く抱腹絶倒のコメディドラマ。転校を機につっぱりデビューした軟葉高校2年の三橋と、同じ日に転校してきたトゲトゲ頭の伊藤は、不良たちに目をつけられながらもコンビを組んで返り討ちにする日々を送っていた。3年になったある日、北根壊高校番長たちが、不良の巣窟・開久高校に対して妙な商売を始める。それは「今日俺」史上最大で最凶の波乱の幕開けだった…

監督:福田雄一『聖☆おにいさん』『銀魂』 / 出演:賀来賢人、伊藤健太郎、橋本環奈、清野菜名、仲野太賀、柳楽優弥


©2020 “Hope” Film Partners
©2020 “Hope” Film Partners

NORTH AMERICAN PREMIERE
望み HOPE

 人気作家・雫井脩介氏の同名小説を、『八日目の蝉』の奥寺佐渡子脚本、堤幸彦監督で映画化した、サスペンスドラマ。誰もが羨む裕福な石川家は、建築士の一登と妻・貴代美、高校生の息子・規士と娘・雅の4人暮らし。ある日、規士が無断外泊したまま帰ってこない。その行方を探すうちに、息子が同級生殺害に関与している疑いが出てくる。息子の無実を信じたい夫婦だったが…

監督:堤幸彦『人魚の眠る家』『天空の蜂』 / 出演:堤真一、石田ゆり子、岡田健史、清原果耶 


©Kowatanda Films
©Kowatanda Films

CANADIAN PREMIERE
コントラ KONTORA KONTORA

 エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭でグランプリと最優秀音楽賞、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の国内コンペティション長編部門で優秀作品賞、ジャパン・カッツ2020で大林賞など数々の賞を受賞。インド出身・日本在住のアンシュル・チョウハン監督が、日本の田舎町を舞台に圧巻のモノクロ映像で撮りあげたプリミティブと哀感が絡み合う衝撃作。女子高生のソラは父と2人で暮らしているが、父子関係は冷え切っていた。ある日、急死した祖父が遺した第2次世界大戦中の日記を見つけた彼女は、その中に宝の存在を示す記述を発見し、密かに宝探しを始める。同時期に、ソラは無言で後ろ向きに歩く見窄らしい男と遭遇する。

監督:アンシュル・チョウハン / 出演:円井わん、間瀬英正、山田太一 


NORTH AMERICAN PREMIERE
ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ
HOSÉ! JOSÉ MUJICA! -JUST KEEP WALKING-

 質素な生活を送り「世界で最も貧しい大統領」とも言われた第40代ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカと日本の関係を描いたドキュメンタリー。

監督:田部井一真 / ナレーション:安藤サクラ


NORTH AMERICAN PREMIERE
みをつくし料理帖 MIO’S COOKBOOK

 享和2年の大阪。8歳の澪は大洪水で両親を失い、姉妹のように育った幼なじみの野江とも生き別れた。10年後、江戸のそば処「つる家」に引き取られた澪は女料理人として働いていた。澪は店の看板料理を生み出し、江戸中の評判になる。一方野江は遊郭吉原で幻の花魁・あさひ太夫を名乗っていた。澪が生み出した料理が、二人を再び引き寄せていく。

監督:角川春樹『天と地と』 / 出演:松本穂香、奈緒、若村麻由美、浅野温子、窪塚洋介、中村獅童、石坂浩二


©2020 LIP×LIP Movie Project
©2020 LIP×LIP Movie Project

NORTH AMERICAN PREMIERE
HoneyWorks 10th Anniversary “LIP × LIP FILM × LIVE”

 ティーンから絶大な支持を得るクリエイターユニット・HoneyWorks(ハニーワークス)がプロデュースする男子高校生2人組バーチャルアイドル・LIP×LIPを映画化。2人の出会いと結成までの物語を描くアニメパート「この世界の楽しみ方 Secret Story Film」と、成長した彼らが披露するバーチャルライブパートで構成。

監督:室井ふみえ / 声の出演:内山昂輝、島﨑信長、福山潤、斉藤壮馬


©2020 “Yowamushi Pedal: Up The Road” Production Committee ©Wataru Watanabe (AKITA PUBLISHING Co., Ltd.) 2008
©2020 “Yowamushi Pedal: Up The Road” Production Committee
©Wataru Watanabe (AKITA PUBLISHING Co., Ltd.) 2008

NORTH AMERICAN PREMIERE
弱虫ペダル YOWAMUSHI PEDAL: UP THE ROAD

 アニメ好きの高校生・小野田坂道は、ママチャリで千葉から秋葉原に通うオタク少年。運動が苦手で友達もいない小野田だが、自転車の走りを見た同級生に誘われて、自転車競技部に入部する。マネージャーや先輩たちとの出会いによって、自転車選手としての才能を発揮する小野田。果たして、県大会でインターハイ出場を懸けたレースに挑むことができるのか?!

監督:三木康一郎『旅猫リポート』『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』 / 出演:永瀬廉、伊藤健太郎、橋本環奈、坂東龍汰、井上瑞稀


©2020 “Ora, Ora Be Goin’ Alone” Film Partners
©2020 “Ora, Ora Be Goin’ Alone” Film Partners

NORTH AMERICAN PREMIERE
おらおらでひとりいぐも ORA, ORA BE GOIN’ ALONE

 突然夫に先立たれ、孤独な日々を送ることになった75歳の桃子さん。ところが、図書館で借りた本を読み漁り、46億年の歴史ノートを作る毎日を過ごすうちに、自身の“心の声=寂しさたち”が音楽にのせて沸き上がり、いつ間にかにぎやかな毎日へと変わっていく。

監督:沖田修一『モリのいる場所』『横道世之介』『南極料理人』 / 出演:田中裕子、蒼井優、濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎、東出昌大


©2019 "The Devil Wears Juni-Hitoe Kimono" Film Partners
©2019 “The Devil Wears Juni-Hitoe Kimono” Film Partners

NORTH AMERICAN PREMIERE
十二単衣を着た悪魔
THE DEVIL WEARS JU-NI HITOE KIMONO

 内館牧子の長編小説「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」を女優・黒木瞳が映画化。源氏物語の世界に紛れ込んだ現代の青年が、美しくも強い弘徽殿女御に翻弄されながらも成長していく姿を描く。

監督:黒木瞳『嫌な女』 / 出演:伊藤健太郎、三吉彩花、伊藤沙莉、戸田菜穂、伊勢谷友介


©2021「大コメ騒動」製作委員会
©2021「大コメ騒動」製作委員会

CANADIAN PREMIERE
大コメ騒動 ANGRY RICE WIVES

 米価高騰に苦しむ主婦たちは、コメの積み出し阻止を試みるも失敗。騒動が地元の新聞に載り、それを見た大阪の新聞社が陳情する主婦たちを女一揆と大きく書き立て、騒動は全国に広まる。実際に起こった事件をもとに、『超高速!参勤交代』の富山県出身の本木克英監督が、日々の暮らしを守ろうとするおかか(女房)たちが声を上げる様子を活写。

監督:本木克英『居眠り磐音』『超高速!参勤交代』 / 出演:井上真央、三浦貴大、夏木マリ、立川志の輔、室井滋、石橋蓮司


Produced by "Nichigei Sougou Production"/ Akira Uehara
Produced by “Nichigei Sougou Production”/ Akira Uehara

ICANADIAN PREMIERE
東京パラリンピック 愛と栄光の祭典
TOKYO PARALYMPICS: FESTIVAL OF LOVE AND GLORY

 「パラリンピック」の名付け親になった1964年東京パラリンピック大会を記録した幻の映画。1965年に公開された貴重なドキュメンタリー映画のデジタル修復版。

監督:渡辺公夫