今後の十年を 見据えて、売上とは何か?|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第54回

今後の十年を 見据えて、売上とは何か?|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第54回

TORJAの読者の皆さま、新年あけましておめでとうございます。今からちょうど一年前、オミクロン株の大流行で一ヵ月ほど店内営業ができない期間が続いていましたので、今年は無事に新年を迎えられてほっとしています。本年も何卒、ラーメン雷神を宜しくお願い申し上げます。

売り上げにプライオリティを置いていない

先月号で、雷神が創業10周年を迎えられたことについて書きました。ラーメン雷神は11年目に突入したわけですが、10年間の最後の月で、過去最高の売り上げを記録できたことも嬉しく思います。雷神は、売り上げに対して明確にプライオリティを置いておりませんので、売上記録の更新それ自体にそれほど重みを感じていませんが、今後、誰も見たことのないラーメンを開発したり、理想の組織づくりをしていく上で、しっかりとした土台を築くことが出来たと実感しています。

というわけで、今回はこの先の10年で、雷神がどこへ向かうのかというお話です。

まず、先にあげた売り上げにプライオリティを置いていない、というあたりから始めたいと思います。会社として経済活動を続けていく上で、売上、そしてそこから生み出される利益は言うまでもなくとても大切なもので、指標としても非常にわかりやすく、ほとんどの場合、いくらあっても困るものではありません。ですから、多くの企業体では顧客体験や社会貢献よりも、この売上、利益を追い求めることの方が多いのではないでしょうか。

これは、世の中のほとんどの会社の形態が株式会社であることにも起因しており、リターンをより多く出せそうな会社にお金が集まるというような仕組みで、人類が世界を発展させてきた一因でもありますので、一概に良い悪いという話ではありません。

売り上げや利益は人間にとって血液のようなもの?

ここで少し角度を変えてお話しすると、先にも記したように会社は「企業体」や「法人」と呼ばれたりして、擬人的に扱われることがあります。最近では生物の生存戦略を企業経営や組織運営に持ち込んだり、というような話も見聞きするようになりました。この生物と企業の類似性においてもっとも有名なものは、売り上げや利益は、人間にとって血液のようなものだ、という言説ではないでしょうか。

血液は人の活動や営みにとって非常に大切ではありますが、人は血液の為に生きているわけではありません。日々、きれいな血液を身体の隅々までに行き渡らせて健康を保ち、その上で美味しいものを食べたり、友人や大切な人との時間を楽しんだり、興味のある事に心血を注いだり、夢を叶えたり、個々の目標に向かっていくのが生きる目的なのだと思います。

すなわち、会社にとっての売り上げや利益も同様で、それらが目的なのではなく、社会や人々との関わりの中で、経済活動を通してどのような価値を社会に提供し、適切に得た利益というものを手段として、どのように従業員や顧客を幸せにするのか、そしてどんな目標を達成するのかが企業に求められていることのように思います。

ではラーメン雷神は今後、どんな目標を掲げて運営していくのかという事ですが、それを語るには文字数が足りなそうです。しかし、コロナ禍でさまざまな事に思いを巡らせ、ここ一年ほどかけて雷神の達成すべきミッションと、行動指針となるビジョンを策定しました。そちらについては、次回に持ち越したいと思いますのでお楽しみに。