新年の抱負、10年目の挑戦|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第42回

新年の抱負、10年目の挑戦|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第42回

 TORJAの読者の皆さま、新年あけましておめでとうございます。本年も何卒、よろしくお願い申し上げます。昨年は何かと暗い話題ばかりでしたので、今回こそは明るい話題をと思っておりましたが、昨年の暮れからまた飲食店の人数規制が厳しくなり、依然として先行きは不透明です。しかし、新年早々、暗い話はしたくはありませんので、今年の抱負でもつらつらと書いてみたいと思います。

2022年は変化と挑戦の年にしたい

 結論から言うと、2022年は変化と挑戦の年にしたいと思っています。新型コロナの発生から早2年がたち、先月、ファイザー社はコロナの流行が2024年まで続くとの予測を発表しました。これこそがニューノーマルなのだなと改めて現実を受け止めましたが、飲食業界に徐々に活気が戻って来ているのもまた事実です。コロナ前に戻りたいかと問われれば答えはノーで、コロナ以前が掛け値なしに素敵な世界だったかというと、決してそんなことはなく、コロナによる世界の変化がきっかけで大事なことに気づかされた、という方も少なくないでしょう。ラーメン雷神は、今年で創業10年を迎えますが、コロナが無ければずっと走り続けていたと思いますが、立ち止まって考える良いきっかけになったと捉えています。

 そして、変化と挑戦についてですが、変化という点では、今年はしばらく離れていた店舗のキッチンに立って、お客さんと向き合い、従業員と向き合い、そしてラーメンと向き合おうと思っています。ここ数年はマネジメントや経営といった内容の業務が中心でしたが、ラーメン屋として原点に立ち返って、知識と経験を深め、それを従業員に継承していこうと思っています。当たり前すぎて、決意表明するのも恥ずかしいくらいですが、裏を返せば、いつの間にかそういった本質的なことがおろそかになってしまっていたのでしょう。

 挑戦という点については、これまでの会社や事業の在り方にとらわれず、従業員が働きやすく、夢をかなえたりやりたいことが出来る会社の体制を整えていこうと思っています。

「株式は既得権益」

 昨年、もっとも心に刺さった言葉は、ボーダレス・ジャパン代表、田口一成さんの「株式は既得権益」という言葉でした。自分はたたき上げでこれまでやってきて、お店を繁盛させて、お金を稼いで、冷凍ラーメンの自社デリバリーでどうにかコロナの危機を乗り越えて今に至りますが、いつの間にか現場にあまりおらず、従業員が創出してくれた利益で生活させてもらってきたように思います。

 会社の所有と経営は分離されるべきというのが一般的な考え方ですが、多くの場合は、利益は株主のもので、従業員の給与はコストです。しかし実際は、従業員が事業を運営し、利益を生んでくれています。初期投資をして経営を監督する株主は必要ですが、現場を支える従業員も必要で、どちらが偉いということはないと思っています。であれば、少しでも従業員に還元できるよう、今年は給与体系や福利厚生の充実をはかり、みんなで幸せになりたいと思います。

 コロナによる行動変容や環境変化、そして考え方の変化は否応なしにすべての人に影響を与えました。今ここで、過去の常識ややり方に固執して変化しないことは、それ自体がむしろリスクになります。

 一風堂代表の川原成美さんの言葉に「変わらないために、変わり続ける」という有名な一文がありますが、本当に大切なことや大事にしたい人を見つめ、そのために、それ以外の部分は柔軟に変えていく。そういった事を体現していく年に出来る様、より一層精進してまいりたい所存です。