2022年、景気の波に乗ろう!|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

2022年、景気の波に乗ろう!|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

 2022年の経済界は専門家が波乱を予想する声が多い。私もその一人だが、果たして我々はこの難局を乗り越えられるのか、生活や仕事にどんな影響を及ぼすのだろうか?様々な角度からこの超難問の課題を皆さんと一緒に考えてみよう。

アメリカが元気ならばカナダも元気

 ビジネスや経済はカナダとアメリカは不可分だ。例えば株式市場一つにしてもアメリカ市場が休みでカナダ市場だけやっている日は市場参加者があまりにも少なくてどこかの寂れた地方市場を覗いているような感すらある。アメリカが元気ならばカナダも元気、これが基本路線だ。

 そのアメリカが今年、金融の量的緩和を3月頃に終了し、併せて数回、利上げをするとされている。この原稿を書いている1月初旬で最低3〜4回あるかもしれないという声も出てきた。本当だろうか?

 私は多少、間引きして捉えるべきだと思っている。アメリカの金融を牛耳るパウエルFRB議長は今、正直気持ちが揺らいでいる。なぜなら彼の全ての考えの基本は1年前から何一つ変わっていないからだ。経済がコロナから立ち直り正常化する、これが大前提なのだ。そして一年前はワクチンが出来て「これでコロナともおさらば」というところであった。だが、1年たってコロナはオミクロンという新たなタイプに変わり、感染症というより「オミクロン、嫌だ!」という社会的抵抗感が強まり経済のいびつさが長引く問題に置き換わったのである。

まず我々が注目するのはオミクロンが収まるのかどうか

 小難しい話をして申し訳ないが、金利を上げれば消費者は購入することを手控え、企業は新製品の開発や販売を少し緩めるという効果が期待できる。つまりお金の流れが緩やかになるというわけだ。ところが今、なぜインフレかと言えば製品や商品を作る側の理由であって消費者が勝手に盛り上がっているわけではない。だからまず、我々が注目するのはオミクロンが収まるのかどうか、これが全てだ。ここから本当の経済に話になる。

カーボンゼロ運動の反動

 もう一つはカーボンゼロ運動の反動だ。2021年、カーボンゼロで世の中は大層な盛り上がりだった。電気自動車の時代の到来と叫び、石炭悪者論が跋扈し、石油やLNGもダメで「やっぱり再生エネルギーだよねー」と理想論を語った。だが、そんなものは絵に描いた餅とは言わないが、まだまだ遠い話だ。「では君たちは物価高でも我慢できるのかい、時々停電するとか、電気代がとてつもなく高くなるとか、原子力発電所を作らねばならないことを認めるのかね」と言われればどう答えるだろう?2022年はその揺り戻しと現実的な議論の時になる。

電力の6割は水力発電というカナダ

 ただ、カナダはいい。なぜなら電力の6割は水力発電だからだ。これほど恵まれた国はないだろう。実は日本でもかなり前に「原子力にするか、水力発電にするか?」という議論があり、原子力を選んだといういきさつがある。大規模な水力発電は日本ではもう作れない。つまりあの時のあの選択が悔やまれる、という話だ。

労働はどう変わる

 閑話休題。皆さんの労働はどう変わるだろうか?最低賃金はオンタリオで15ドル、BCで15・20ドルだ。日本に比べれば恵まれているが物価水準も違う。人手不足なので仕事を見つけるのも比較的楽だ。ただ、労働者は仕事を選んでいる。そしてコロナの影響は仮に終息宣言をした後でも2年ぐらいは引きずるだろう。それは「対面の業務、やりたくない」という感染症恐怖症が人々の心にトラウマとなっているからだ。通常、これが癒されるには2年はかかる。覚えている人も多いだろうが、東日本大震災の原発事故の余韻で「西に逃げろ、東京には住めない、海外転出もアリだ」といった声は2年以上続いた。

 いま予想できるのは中小企業や自営業者が極めて厳しい状況に陥る可能性だ。どれだけ優秀な経営者やオーナーがいても一人では仕事ができない、ということだ。優秀な人材は奪い合いになり、高給の引き抜き合戦が起きる。レストランや自営業者が一番影響を受けやすい。ここは構えていた方がよいだろう。

物価の上昇と不動産

 物価の上昇も気になる。ラーメン一杯で税金チップ入れて20ドルとか寿司が40ドルを当たり前に感じるとすればお財布はいつまでたってもあたたかくならない。給与がいくら上がっているとはいえ、今の物価水準にはまずキャッチアップしない。よって実質的には貧乏になり続ける、と言ってよいだろう。

 私はこの狂った物価は人為的であってどこかでいったんは収まると見ている。だが、財布はあたたまらない。なぜなら一度上げた物価は下げないのが世の鉄則だからだ。そしてこれから驚異的に上がるのが不動産だろう。2022年はBC州の平均住宅価格が1ミリオンドルを超えるのは間違いない。オンタリオ州もかなり近い数字になるはずだ。なぜなら人口増に対して住宅供給が全く追いついていないからだ。

 不動産バブルだという言葉を私は20年聞き続けてきた。だが、一度もそれは沈静化しないし、その傾向もない。なぜなら移民がどんどん入ってくるという前提を多くの人が無視したからだ。私は20年間ずっと言い続けてきた。カナダの不動産は上がります、と。

 また最終的には物価上昇は国力を増す。これも事実だ。バブルの頃、日本のコーヒーは一杯千円した。何年かすれば我々が日本に向かって「カナダのコーヒーは一杯千円だよ」という番になる。我々はこの物価上昇と長い景気の波に乗り続ければ生き残れるということだ。今、日本に逃げちゃだめだ、ということでもある。あぁ、難しい世の中だ。