ニューノーマル時代に注目を集める次世代産業・ビジネス|特集「キラリと光る北米デジタルトランスフォーメーション」

ニューノーマル時代に注目を集める次世代産業・ビジネス|特集「キラリと光る北米デジタルトランスフォーメーション」

#11
誰よりも早く新型コロナウイルスの危険性を感知?

 カナダのベンチャー企業がビッグデータを活用したことで、新型コロナの危険性を感染が拡大する以前からいち早く捉えていたと話題になっている。その危険性を把握していた企業は「BlueDot」という名の企業だ。「BlueDot」が「中国で感染が拡大している新型肺炎」の情報をキャッチしたのは2019年12月30日の夜のこと。ビッグデータを活用し、多くの情報源から情報を集めた結果のスピーディな発見だったという。「BlueDot」の創業者は、起業家でもプログラマーでもなく、疫学者。2002年から2004年にかけてカナダにおいてSARSの感染が拡大した際に、最前線で患者の治療に従事していたというから驚きだ。また、SARSの感染拡大時に創業者が感じたのは、このような危機的状況に対して「反応するのではなく、予測すること」が大切ということ。それを機に、2013年BlueDotを立ち上げたカーン氏。以来、2014年のエボラ出血熱や2016年のジカ熱のホットスポットなども正確に予測した功績があるという。

#12
止まってしまったバリューチェーンの再開のために

 新型コロナの感染拡大により止まった「ヒト」や「モノ」の動き。サプライチェーンやバリューチェーンも例外ではない。この状況は、世界中に拠点を持つ企業に大きな影響を及ぼした。そんな中、トロントに拠点を置く企業「Tealbook」は、人工知能により作り上げられたデータベースをもとに企業のバリューチェーンを支援。中でも、サプライヤーのデータ収集に特化しているという。新型コロナの影響を受け、多くの企業が今までとは異なるサプライヤーを探すべく奔走している。そんな中、Tealbookのデータとサービスはこうした企業の力になることが期待されている。また、需要が急上昇しているマスクなどをはじめとした感染防止のための備品などの調達に手間取っている企業も少なくない。Tealbookはこうした企業のサポートにも回ることを予定している。

#13
AIによるワクチン開発の加速への期待

 トロントを拠点にしているバイオテックのベンチャー企業が新薬の開発に貢献しているということで、注目を集めている。注目を集めているのは「Deep Genomics」という名の企業だ。主な事業内容としては、人工知能を活用しながら珍しい疾患への新薬開発を手掛けるというもの。新型コロナの感染拡大以前の1月には、4500万カナダドルの資金を調達していて、その額の大きさから珍しい疾患を治癒する力への期待の大きさが窺える。また、新型コロナの感染拡大により急務となっている効果的なワクチンや薬の開発も期待されていることから、「Deep Genomics」はこれから中長期的に従業員を増やす可能性も示唆している。

#14
受診をより簡単に、より安心に

 トロントを拠点にしているベンチャー企業「Maple」が提供し始めた医療サービスが話題になっている。「Maple」は、オンタリオ州の住民を医療従事者と繋げるオンラインのプラットフォームを、新型コロナの感染拡大が深刻化した3月より提供開始。多くの人が新型コロナへの感染を懸念して病院に行くのを躊躇している時だからこそ、このようなプラットフォームの必要性が今まで以上に必要とされている。「Maple」を利用することで、患者は音声電話やテレビ電話を通して州により認可されている医者の診察を受けることが可能になるそうだ。オンタリオ州においては、州の保険(OHIP)の対象になるので、患者も安心して診察を受けられる。また、通常は医療機関にとって有料であるこのサービスを、さらなる普及を目指すべく、医療機関側には手数料等を無償にするなどして対応。「Maple」は提供地域を徐々に拡大し、オンタリオ州に加えブリティッシュコロンビア州の住民にもサービスの提供を開始したという。

#15
感染のリスクを最小限に抑えたセキュリティシステム

 「非接触型」のセキュリティを可能にするシステムを提供する企業、「BioConnect」。トロントを拠点にしているベンチャー企業でありながら、BMOやマイクロソフト、ナイキなど世界的な大企業とも提携を結んでいるそうだ。こうした企業において中心的な存在を担うデータセンターや銀行におけるセキュリティは常に神経を尖らせていないといけないもの。そういった場所を衛システムをカナダとアメリカの両国で提供していて、顧客の数は1600にも昇るということからも、各企業のBioConnectに対する信頼の厚さが窺える。中でも、新型コロナの感染拡大を機に、触れる必要のない声紋認証や顔認証などといった「非接触型」のシステムが注目を集めているそうだ。また、ユーザーのスマホを活用したセキュリティシステムなども導入。これからの展望としては、陽性患者との接触を追跡するアプリなどを含む、新型コロナの感染拡大に歯止めをかけるシステムを開発していく予定だという。

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