『ナイブズ・アウト』の熱狂ふたたび?|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第37回】

『ナイブズ・アウト』の熱狂ふたたび?|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第37回】

 いよいよ来月には第47回トロント国際映画祭(TIFF)が開幕します。待ち遠しい限りですが、この原稿を書いている時点では、ライアン・ジョンソン監督の『ナイブズ・アウト』の続編『Glass Onion: A Knives Out Mystery』が上映されることが発表されただけで、今年の上映作品の発表はまだまだこれからです。とはいえ、『Glass Onion』がTIFFに来るとなれば、それだけで期待は高まります。だって2019年のTIFFで『ナイブズ・アウト』がワールドプレミア上映されたときは、それはもうすごい熱狂っぷりでしたから。

2019年9月7日に『ナイブズ・アウト』がワールドプレミア上映された際の上映会場Princess of Wales Theatre前
2019年9月7日に『ナイブズ・アウト』がワールドプレミア上映された際の上映会場Princess of Wales Theatre前

 例年、TIFFではチケット争奪戦が激しく、話題作のチケットは入手困難になります。2019年、TIFFで最も争奪戦が激しかったのが『ナイブズ・アウト』でした。

この年、ホアキン・フェニックスの『ジョーカー』やTIFF観客賞を受賞した『ジョジョ・ラビット』、カンヌでパルムドールを受賞した『パラサイト』などの人気もすごかったものの、『ナイブズ・アウト』の人気は桁違い。まあ、あれほどのオールスターキャストでワールドプレミア上映となれば、豪華な舞台挨拶も期待できるし、当然なのですが。

 2019年当時、私は結局『ナイブズ・アウト』のチケットを取ることができず、ワールドプレミア会場のPrincess of Wales Theatreの外をうろついていたところ、ものすごい歓声に遭遇しました。

会場前のレッドカーペットは普段以上の人だかりで、往来の通路がなくなるほど。これは一体何事かとボランティアスタッフに聞いてみたら、「キャプテン・アメリカが来るからよ」との話でした。キャプテン・アメリカことクリス・エヴァンスは、これほどまでに人気なのか、と驚きつつ、ジェームズ・ボンドことダニエル・クレイグも来てるんでしょうに、と内心思っていました。

 今年もまた、『Glass Onion』の上映会場はすごいことになるのでしょうか。2019年のTIFFでは、『ナイブズ・アウト』の上映にあわせて『シーラ号の謎』(1973)という昔の殺人ミステリー映画を無料上映し、ライアン・ジョンソン監督が登壇して解説するという粋な企画がありました。今年は続編にあわせてどんな企画を投入してくるのか、という点でも楽しみです。