コロナ禍のトロント国際映画祭と今年の開催予測|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第35回】

コロナ禍のトロント国際映画祭と今年の開催予測|トロントと日本を繋ぐ映画倶楽部【第35回】

 2020年に新型コロナウイルスが世界を覆いつくして以降、映画祭の開催形態がずいぶん変わってしまいました。当初、コロナ禍は2020年のうちに収束するかと思っていたら、2021年も収まる気配はなく、映画祭はオンライン開催が珍しくなくなりました。

TIFFのメイン会場 Roy Thomson Hall(2019年撮影)
TIFFのメイン会場 Roy Thomson Hall(2019年撮影)

 トロント国際映画祭(TIFF)について言えば、このような厳しい状況下でも完全にオンライン開催とすることはなく、現地上映とオンライン上映を併用して実施されてきました。2020年は世界的に映画興行が止まったような状態だったせいか、2019年以前なら300本から400本近くあった上映作品が、2020年9月に開催された第45回映画祭では約50本にまで絞られました。2021年には上映作品が約200本にまで回復し、2020年に比べるとオンライン上映より現地上映の比重が大きくなりましたが、やはりコロナ禍に大きく影響された映画祭となりました。

King St沿いの上映会場Princess of Wales Theatre(2019年撮影)
King St沿いの上映会場Princess of Wales Theatre(2019年撮影)

 今年のTIFFはどうなるのか。もしかすると、開催規模は2019年以前に近い水準にまで戻るのではないか。私はそんなふうに思っています。というのも、今年は4月初旬の時点で早くも映画祭情報が発表されたから。2019年以前は、TIFF公式アカウントで4月上旬に映画祭情報が出始め、5月から早くもTIFF会員向けの映画祭チケット先行販売が開始されていました。

 ところが2020年と2021年は、最初に映画祭情報が発表されたのが6月下旬。また、TIFF本拠地の映画館TIFF Bell Lightboxが開館した2010年以来、2019年までは11日間の開催だったところが、2020年と2021年は10日間の開催となっていました。今年はTIFFの開催期間が9月8日~18日で、11日間の開催に戻ります。

 また、2019年以前は映画祭の前半日程でKing Stの一部を歩行者天国にして開催されていたFestival Streetが、今年ついに復活します。こういった状況を考えると、いよいよ2019年以前のような映画祭が戻ってくるのではと期待できます。

 こんな明るい状況で喜ばしい限りですが、ひとつ不安なのは、私は今年、日本からTIFFに行けるのか?という点。コロナ以前に比べて航空運賃は割高になっているし、出入国の手続きはややこしそうだし、円安でカナダドルは値上がりしているし。どう考えても前途多難です。