【10月1日開催 日系企業就職イベント】 「トロント・ジャパン・ジョブフェア」|特別インタビュー 主催者MYNDS代表・海野 芽瑠萌さん|特集「わたしはTIFFも楽しんで就活も頑張る! 」

【10月1日開催  日系企業就職イベント】 「トロント・ジャパン・ジョブフェア」|特別インタビュー 主催者MYNDS代表・海野 芽瑠萌さん|特集「わたしはTIFFも楽しんで就活も頑張る! 」

日系企業とトロント現地に住む学生や求職者とのマッチングにはまだまだ大きな可能性。
大学・カレッジ卒業後に得られる就労ビザを活かしてカナダ現地で日系企業に就職する機会を広げたい。
【開催情報】
開催日: 2023年10月1日(日)
時間: 10:00 AM – 4:00 PM
会場: Novotel Toronto North York, Gibson Ballroom(3 Park Home Ave, Toronto)
アクセス: TTC Line 1 “North York Centre” 駅直結
(日本語) https://careerforum.net/ja/event/tor/
(英語)  https://careerforum.net/en/event/tor/
カナダの経済首都で最大都市であるトロント。北米第三の都市としても知られ、グローバルに展開する大手自動車や電機メーカーをはじめ、日本を代表する大手商社や金融機関がカナダ本社を構えている。近年では、カナダのイノベーションハブとしてAI・人工知能などのスタートアップ業界でも日本から注目を集めている。そのトロントで10月1日に現地求職者と日系企業のマッチングを図る就職フェアが開催される。主催をしている留学・教育関連のコンサルティングを事業とするMYNDS社代表の海野さんに話を聞いた。

ー昨年2022年に開催された第一回目はトロント日本商工会が主催し、MYNDS・海野さんは運営委員の一員でした。この「トロント・ジャパン・ジョブフェア」を企画・開催するに至った経緯を教えてください。

去年、商工会の一部の理事の中で、せっかく日系企業がこれだけトロントにあるので、カナダにいる留学生や大学生に対して企業とつながる機会を提供できないかということが始まりだと聞いています。その中で留学生や学校に対してコネクションがある私の方へ告知協力・学生担当という役割での協力を依頼されました。商工会事務局と有志10名以上で運営しましたが、学ぶことが多く、実りあるイベントとなりました。

ー第二回目となる今年2023年は主催がMYNDS社となります。留学・教育コンサルティング事業を手掛けるMYNDS社ですが、主催に至る経緯やMYNDS社が主催となることによって生まれるメリットなどを教えてください。

去年の実行委員は有志を中心とし、商工会の会員企業は無償でブースの提供が行われました。また、名だたる企業の担当者の方に登壇いただいた座談会も、みなさんお忙しい中ボランティアで来場者のために講演をしてくださいました。

留学生にとっても非常に良い機会となり、日系企業とトロント現地に住む学生や求職者とのマッチングにはまだまだ大きな可能性があると感じました。同時に課題点も多く見えて来たので、1回で終わりではなく継続していければと思い今回は主催に立ちました。

一方で、私たちの本業はイベント会社ではないので、今年は昨年時に達成し切れなかった企業と求職者のマッチングを意識しています。特にカナダの場合は、大学やカレッジなどを卒業すると現地で仕事ができる就労ビザを受け取ることができるので、カナダ現地で日系企業にそのまま就職というようなパスが多く生まれると有意義だと考えています。

ー普段から留学生と向き合っていると思いますが、就職転職やキャリアアップといったテーマは多くの留学生にとって関心が高いです。カナダそしてトロントという地でジョブフェアを開催されることの意義や、学生にとってどのようなチャンスや可能性が拡がるとお考えですか?

情報を早く取ることができること、そして選択肢を認識する、という2つが重要だと思います。私もこの仕事を15年していますが、大学生などの学生留学でも社会人経験者の留学でも多くは帰国してから就職活動をスタートされることが多い傾向です。もちろん今の時代はオンラインでもできるのですが、やはりモチベーションを保つのはとても難しいことです。

具体的に何かステップがあることで、必ずしも具体的な就職に至らなくても次の一手へと進めるスピードが早くなります。さらに求人情報や募集要項を見ることで、「具体的な自分が持っている選択肢」を早々に認識することができます。

その時点では足りていなくても、「ではどうすればいいのか」という考えに早めに頭を切り替えることができます。漠然と「英語を身に付けたらよい就職ができる」という時代はとっくに終わっていると思いますので、現実的な情報を仕入れて、具体的なステップを取ることが何より重要だと感じます。

ボストンキャリアフォーラムなどで
実績あるディスコ社が開催協力!

ー今年は海外で学ぶ日本人留学生をはじめとする日英バイリンガル対象のジョブフェア「ボストンキャリアフォーラム」などを運営する株式会社ディスコが協力しています。具体的にどのような取り組みや支援が行われているのでしょうか?

株式会社ディスコが提供する「CFN」というシステムの一部を使用させて頂くことになりました。これにより事前に企業とのやり取りを行うことが可能になりました。

昨年は途中で申し込みを締め切らないといけない程に一気に参加の申し込みがありましたが、一方で当日ノーショーの方もいらっしゃったので、締め切り後にイベントについて知った方に参加枠を渡せたらと悔しい思いをしました。他のジョブフェア運営者に聞くと、コロナ後のこういったイベントでは参加率7割というのはむしろ良い方で、5割ということもあるようですので実行委員の認識も甘かったのは反省点でした。

また、もう1つの課題点として企業側が求める人材や、求職者側が求めるポジションでミスマッチが生まれていた点も感じました。 今年度はできる限り多くの方に参加していただき、事前のプランニング時間も含めてより良いマッチングを生むことを目標としています。

ディスコ社の最も有名なイベントである「ボストンキャリアフォーラム」には、カナダからも毎年多くの学生が参加しているそうです。23年度のボスキャリの開催は11月ですので、このトロントのフェアに参加した方が同じシステムでそのままボスキャリにも参加して、良い出会いがあるとそれも嬉しいですね。

ー基本的には幅広い年齢層や職歴の求職者が参加可能だと思いますが、その中でどのような人目的意識や考え方を持った人材がジョブフェアで有意義な時間の費やし方ができると思いますか?

去年は座談会エリアもあったことから、まだ就職については情報集めの段階という方も多くいらっしゃいました。また、カナダでの就職活動には慣れておらず、とりあえず企業のブースに座ってみるという参加者もいらっしゃったと思います。私自身もカナダの就職フェアをいくつか視察しましたが、決してそれが悪いということではなく、どのような会社がどのような求人を出しているかなど情報集めとして出かけることで、いわゆる【場慣れ】することも大事だと思います。

一方で、スーツで履歴書と名刺を持ってブースを回り、1対1でしっかり話をして印象を残す努力をしていた求職者もいました。フェアでのふるまい方を知っていて、いきなり結果を出せる方は少数でしょうが、大切なことは「何をする」つもりで参加されるかを自分自身で決めて、そのための準備と心づもりをしていくことだと思います。

ジョブフェア2022年(1回目)の概要

前回のイベントの様子

2022年は、13企業において48のポジションでの求人募集があった。来場者は177名、商工会主催による日本語での告知が中心になったことから、日本語を母国語とする人が75%ほどだったが、カナダ人で日本語を理解する人材の参加も見受けられた。

カナダにおいて日本人が活躍する場を
作っていける機会を提供し続けるMYNDS

ー海野さんご自身は留学業界で15年というキャリアを持ち、日々留学生と向き合っておられますが、カナダにおける就職・転職そしてキャリアアップに必要なスキル、考え方などを教えてください。

私自身はカナダでは就職ではなく、起業という道を選んでいるので個人の体験談や主観的な意見がない分、客観的に分析をした意見はできると思っています。

その上でまず一言で表すなら、北米における就職と日本のそれは全然違うということです。ルールの違うゲームをしに行くのだと思って、まずはルールブックを読んだ方が良いと感じます。日本の就職活動の当たり前は、カナダの当たり前ではありませんのでルールを知らないといつまでたってもゲームに参加できない、参加しても勝てないということになりかねません。

レジュメひとつとっても、一目見て「これで出したら無理だ」と思うものがあります。私も英語は完璧ではありませんので、決して英語の上手い下手で話しているわけではなく、内容が事実しか書いておらずアピールがない(=日本の穴埋め式の履歴書の感覚が抜けていない)ものを見ると、「あぁ、もったいない!」と感じます。

他にも、「コネクションの使い方・ネットワーキングの大切さ・職歴の見せ方、リファレンスの考え方・ボランティア経験の使い方・転職への考え方・キャリアパスの描き方」などのトピックは、時代に合わせて少々のアップデートや変化はあるものの、基本的なアドバイスやルールは15年ほどを経てもそれほど変わっていません。そのルールを理解せずに日本式を少々タッチアップして就職活動に臨んでも、結局は「なんかうまく行かない」となってしまうと思います。

ー他方で、日本帰国を前提とした留学生も多いですが、帰国後の就職・転職を考えた時に必要なスキルやアドバイスを教えてください。

留学生の帰国後の就職を扱うエージェントや、キャリアコンサルタントがおっしゃるのは、「英語」「留学経験」というキーワードを一度捨てる、ということじゃないかなと思います。企業は英語が話せる人材を求めているのではなくて、大前提として「仕事ができる人材」を求めているので、英語を勉強したから英語を使える求人ではミスマッチが起きやすいようです。

留学経験者は今や多いので、留学したから視野が広い、対応能力がある、などもアピールとしては手垢がついています。そのため、直近で最も力を入れたはずの「英語」や「留学」というキーワードを抜いて、「人材として自分をアピールする何か」を留学中に用意することや、「留学前の自分から変わらない一貫したもの」を提示できるかが重要になってきます。

ー昨今、留学のスタイルも多様になっていますが、カナダでの移民(永住権)を念頭にした留学のカタチもこの数年多く見受けられます。これから留学をするそのような考え方の人に対してプランニングのヒントや賢く留学するノウハウを教えてください。

「移民したい」をまず夢・目標として掲げるのはとても良いことだと思いますが、転職や結婚など人生の転機と同様、移民は決してゴールではありません。無尽蔵にお金・時間をかけられるのであれば達成できるかもしれませんが、実は移民も逆算していくと、具体的に「英語力・仕事経験・予算・時間制限・リスク」など、それにどこまでコミットするか今の自分の状態を分析し判断することが必要になります。実際、その中には目を背けたくなるような事実もあります。例えば年齢のポイントなどはどうやっても動かせないですから、早いタイミングで冷静に事実を元に現実的なプランを組むことが、「できたらいいな」だけで終わらせないコツになると思います。

ーMYNDSはキャリアアップなどを目的としたカレッジ進学や長期留学の顧客が多いと聞きます。そのような方にとっても今回のようなジョブフェアは貴重なものだと思いますが、今後貴社が目指す方向や手掛けていきたい事業について教えてください。

私たちの現在の職種はいわゆる留学エージェントということになるのですが、 今後も留学のみを扱っていくというつもりではありません。これまでは、日本人が海外で活躍するためにまず身につけるべきツールとして英語(語学)・留学が大事でしたが、ずいぶんと日本人の英語力も上がり、また通訳・翻訳のツールも発達しています。今回のジョブフェアなどを通じて、具体的にカナダにおいて日本人が活躍する場を作っていけるような仕事ができたらと思っています。