枯渇性エネルギー → 再生可能エネルギー|特集「キラリと光る北米デジタルトランスフォーメーション」

枯渇性エネルギー → 再生可能エネルギー|特集「キラリと光る北米デジタルトランスフォーメーション」

#11
より「環境に優しい」ニッケルを

 電気自動車の製造を手掛けるテスラは、カナダの「Giga Metals」という企業と提携を結んだ。「Giga Metals」が取り組んでいる主な事業は、ニッケルを採掘するプロジェクト。しかし、従来のニッケル採掘とは異なり、「Giga Metals」では水発電を活用している採掘方法を用いている。これにより、より「環境に優しい」ニッケルを実現。テスラは今回、そんな「環境に優しい」ニッケルを自社のバッテリーに使用するために提携を結んだという。ニッケルは電気自動車のバッテリーに欠かせない材料だ。テスラは全社的な取り組みの一環として、自社における二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量削減を目標としている。そうした目標とGiga Metalsの事業内容が合致した結果が今回の提携に至ったと思われる。この提携のニュースを受け、Giga Metalsの株価は2日間で200%上昇したともいわれ、その期待の大きさが窺える。

#12
「潮」の満ち引きにより生み出される新たなエネルギー

 カナダの政府が「潮」の満ち引きにより発電をする潮力発電の産業に投資することが発表された。より環境に優しい「クリーンエネルギー」に投資することはもちろんだが、雇用の創出、経済の活性化も政府の狙いに含まれるという。投資の額は940万カナダドルに及ぶのだとか。その中には、潮力発電の研究に携わっているマニトバ大学へのおよそ150万カナダドルの投資も含まれている。今回の投資を率いたカナダの天然資源相(Minister of Natural Resources)は「潮力発電のような新しい資源に投資することで、(中略)カナダ全土で雇用を創り出すことができる。潮力発電に投資することで2050年まで(目標としている)ゼロ・エミッションに貢献することができる」と前向きにコメント。カナダの温室効果ガスの排出量を大幅に削減する動きとして期待されている。

#13
アルバータ州がカナダのリーダー的存在に

 CBCの記事によると、アルバータ州はカナダにおける風力発電のリーダー的存在になることが期待されているという。専門家の話によれば、アルバータ州はカナダにおいても再生可能エネルギー産業の成長が特に著しい。現在、アルバータ州では多くのプロジェクトが計画されていて、これらのプロジェクトにより、5年後の2025年までにアルバータ州がカナダにおける再生可能エネルギーの中心的役割を担うことが期待されている。多くの再生可能エネルギーがある中、アルバータ州は中でも風力発電と太陽光発電の分野においてシェアが大きいのだとか。その割合は、オンタリオ州をも超えるという。また、アルバータ州は州として独自に「2030年までに石炭火力発電の割合をゼロにする」という目標も掲げている。その分、カナダ全土におけるフロントランナーとしての期待も大きいと言えよう。

#14
「再生可能ディーゼル」に寄せられる期待と不安

 アメリカの石油精製所の多くがカナダを拠点に「再生可能ディーゼル」を生産する計画を進めているそうだ。この事態を取り上げている記事曰く、「カナダの精製所が取り組む前にシェアを確保する狙い」を持っているアメリカの企業が多いという。「再生可能ディーゼル」とは、使用済みの調理用油や動物性脂肪を使用して作られるエネルギー源。自動車などに用いられる通常のディーゼルよりも、使用時に排出される温室効果ガスの量が格段に少ないため、環境的観点から近年注目されているエネルギー源だ。いまだに市場規模は小さいものの、ブリティッシュコロンビア州やケベック州でもいくつかの関連プロジェクトが企画されている。隣国アメリカの企業の多くがカナダへの進出を目論んでいることもあり、カナダにおける企業の再生可能ディーゼル市場進出の出遅れが懸念されていることも事実だ。

#15
RBCの持続的な社会への取り組み

 カナダの代表的な銀行の一つであるRBCが再生可能エネルギーへの転換へ踏み切ったことが話題になっている。同行は、長期的に再生可能エネルギーを購入・使用する契約を結んだそうだ。この動きは、カナダの金融機関として初めてのこと。具体的には、アルバータ州にある太陽光発電所で作られるエネルギーを使用するという。カナダ全土に支店や営業所を持つRBC。今回の動きに関して、RBCの担当者は「これをきっかけに銀行のクライアントやコミュニティが低炭素社会の実現へと動いていくことを願う」とコメント。RBCがカナダにおける再生可能エネルギーへのシフトの先駆者としての役割を担うことに期待を寄せていた。RBCとしては、2025年までに温室効果ガスの排出量を70%削減し、使用しているエネルギーを全て再生可能エネルギーに置き換えることを狙いとしている。

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