第一回 カナダジュニア剣道選手権が開催

 5月28日、アルバータ州カルガリーにて、第一回カナダジュニア剣道選手権(Canadian National Junior Kendo Championships)が開催された。2020年3月からのコロナパンデミック以来、全てにおいて初の剣道試合となった。カナダ全土から11道場、約85名のカナダ全土から集まった少年少女剣道家達がカルガリーに集結し、三日間に渡る合同稽古会、講習会も含め、試合当日は白熱した戦いを繰り広げた。

 オンタリオ州は周知の通り感染者数が多く、長期に渡り屋内での集まり等、コロナによる規制が厳しかったため、特に屋内競技である剣道においては防具を付けた練習はもとより、集まって練習をすることが中々できない状況が長く続いた。そんな中でも、各道場、Zoomを使用したトレーニングを定期的に行うなどして工夫を凝らしてモチベーションを失わないように努めた。世界的に見て、競技中におけるマスク着用の難点などを踏まえても、剣道は他競技の中でもかなり長い期間再開できていなかったのではないかと思われる。

 そのような状況も踏まえ、オンタリオ州で正式な剣道の練習が再開されたのは2022年3月くらいからであり、5月のカナダ選手権までには時間の限りがあった。すぐに参加者を募り、ジュニア選手権監督Bill Kim氏によって4月より定期合同稽古会が行われることとなった。2年の月日は子供たちにとって大きいものであり、身体的にも大きくなったお互いを確認してる姿はとても嬉しそうで、2年の苦しさを吹き飛ばすような、そんなエネルギーに満ちた稽古会が毎回行われた。

オンタリオ州審判先生方
オンタリオ州審判先生方
オンタリオメンバーと保護者の方々、先生方
オンタリオメンバーと保護者の方々、先生方

 オンタリオ州からは、3道場より11名が参加。試合形式には州対抗の試合もあるため、「チームオンタリオ」の編成も行われた。

オンタリオメンバーの結果は以下の通り

【個人の部】
Risako Harada(Toronto Kendo Club)
12歳以下の部第3位
Dhin Thana(JCCC Kendo Club)
14歳以下の部第3位
Rihiro Harada(Toronto Kendo Club)
14歳以下の部第3位
Taketoshi Miyamoto(Toronto Kendo Club)16歳以下(男子)の部第3位
Risako Harada(Toronto Kendo Club)・Daichi Soso(Toronto Kendo Club)・Lily Hoysak(Etobicoke Kendo Club) 敢闘賞

【団体の部(道場部門)】
JCCC Kendo Club(Filip Ivanovski、Hudson Lin、Julien Couturier) 第3位
Toronto Kendo Club(Lee Hesson、Taketoshi Miyamoto、Daichi Soso) 第3位 

【団体の部(州部門)】
Team Ontario(Dhin Thana、Rihiro Harada、Taketoshi Miyamoto、Filip Ivanovski、Hudson Lin、Daichi Soso、Julien Couturier) 第2位

カナダ全体で、現在子供の剣道人口は増加中

 ジュニア強化策の一環として2019年の6月には、カナダ剣道連盟主催によるベルギー遠征も行われた。ジュニアチームカナダを編成し、西部(監督:Makiko Ara氏(Renbu Dojo))と東部(監督:Koichi Miyamoto氏(Toronto Kendo Club))のそれぞれで強化練習が行われ、カナダは数名の入賞者も出した。子供たちやその親が中心となり、遠征費用の一部をファンドレイジングで募ったり、世界のジュニア剣道のレベルを肌で感じたり、学ぶことの多いとても有意義な遠征となった。

 現在オンタリオ州の半数以上の道場では子供クラスを設けており、週に1~3回の練習が行われている。日系人だけに関わらず、昨今はカナダ人からも入部希望者が増えてきている。中学生、高校生の入部者も増加している。

 オンタリオの剣道コミュニティーに特化すると、子供も大人も皆道場間の隔たりがあまりなく、道場間の交流も盛んである。それぞれの道場の指導者も現在は30~50代の若手の先生方が中心となり、次世代ジュニアの剣道教育に力を入れている。オンタリオ州のジュニア剣道人口はここ数年で増えてきており、パンデミック前は一年に数回の子供の稽古会や試合が行われていた。定期的な稽古会や試合は今後また再開していく予定である。

アフターパーティー
アフターパーティー

 私自身、小学生で剣道を始めた。当時は厳しい練習の中でも、仲間がいて苦楽を共にする経験は、本来の自分より何倍も強く成長させることができたのではないかと感じている。大人になった今実感するが、子供のうちは厳しい練習の中でも「楽しむ」ことが大事。武道という以外に、剣道に特化した礼儀作法や精神的な部分の鍛錬は、現代の子供たちが日常でなかなか身に着けられない部分でもあり、親御さんの中でもそこを目的にされている方も多くいる。また、自分の子供が始めたのを見ているうちに、自身も始めてみる、ということになった親御さんも多く存在する、そんな魅力的な武道でもあると言える。

2019年ベルギー遠征。チームカナダ
2019年ベルギー遠征。チームカナダ

 興味のある方、質問などありましたら、左記「Kendo Ontario」のウェブサイトに道場リストがあります。お気軽にお問い合わせください。
https://kendoontario.ca/

本文=宮本裕子(Toronto Kendo Club)