トロントの本屋さん2023年5月『終止符のない人生』『変な家』『なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。』『ブルーピリオド』

トロントの本屋さん2023年5月『終止符のない人生』『変な家』『なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。』『ブルーピリオド』

今月は、反田恭平さんインタビュー、Japan Foundationポスター展、Doors Openの特集なのでそれにちなんだ話題にしましょう。

まずは2021年にショパンコンクールで2位に入賞された反田恭平著『終止符のない人生』(幻冬舎)です。本著は、反田さんの幼少から入賞までや数々のコンクールの裏側、留学体験を辿ります。また日本初の株式会社オーケストラ「ジャパン・ナショナル・オーケストラ」を設立された氏が、音楽で食べていくには、未来の音楽についても綴っています。バンクーバーでも5月21日にコンサートが開催されます。トロントは5月24日ですね。どちらにも都合が付かないという方はショパンコンクール公式YouTubeチャンネルにて予選会から本選、インタビューなどが視聴できます。ちなみに同コンクール優勝者はカナダ人ピアニスト、ブルース・リウさんでした。

雨穴著『変な家』(飛鳥新社)は、ホラー作家兼YouTuberでもあり覆面作家である著者のデビュー作です。中でもYouTube動画「(不動産ミステリー)変な家」がバズり、その動画をもとに本作が生まれたようです。さて、本作はオカルト専門のライターしている雨穴に、家を探している知人から相談事が持ち込まれます。それは、中古物件の間取りの中に奇妙な空間があって気になるからと。雨穴は知人の設計士にその間取りを見てもらうと更に不可解な箇所が浮かび上がる。筆者=語り手で綴られるため、この家は本当に存在するのか?フィクションとノンフィクションの境界の曖昧さが不気味さを醸し出しています!次作の『変な絵』(双葉社)も大ヒットしているようですよ。

筒井美希著『なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。』(エムディエヌコーポレーション)本書は、デザインに興味があるという人からプロのデザイナーの方までデザインって楽しいと実感できる内容になっています。実例と共に編集とデザインの関係性を伝えるChapter1、デザインのコツを7つ道具に例えて解説するChapter2、言葉・色・写真などデザインの要素を示すChapter3で構成されています。どのページも具体例で示されているので、正になるほど!と納得できます。特に冒頭にある、「どんな人に、何を、なぜ、いつ・どこで」を具体化するフローチャートは目的を整理するために、私もよくお世話になっています。


山口つばさ著『ブルーピリオド』(講談社 既刊13巻)はアニメ化もされた美術漫画です。主人公の矢口八虎は、飲酒・喫煙もするけど成績はトップクラスな優等生です。そのせいか、達成感を得られず毎日を淡々と過ごします。ある日美術室で見た絵に魅せられ美術部に入部することに。描くことにのめり込み、美大受験のために予備校にも通い始めます。ライバルでもある仲間達と切磋琢磨しながら一心不乱に作品を生み出す様は圧巻です。創作の葛藤や裏側も知ることが出来きます。

それでは、また次回お会いしましょう!