カナダ国民・ 在住者が直面する6つの課題|特集「カナダ移住で知った生活デメリット」

カナダ国民・ 在住者が直面する6つの課題|特集「カナダ移住で知った生活デメリット」

課題3 揺らぐTTCの安全性

メンタルヘルス・アルコール・薬物中毒・ホームレス問題が関係?!

2月9日にTTCのタウンホールミーティング(経営陣が従業員と直接対話する場、または対話集会)が行われ、ニュースになった。電車やバスの利用者や従業者もターゲットになっていることについてTTCは「原因がまだわかっていないが、この事件の多さはトロント全体の問題である」とコメントしている。住民のメンタルヘルスやアルコール・薬物中毒のケア、ホームレス問題などが関係しているのではと示唆した。

だがミーティング参加者の中には、「もしメンタルヘルスが問題ならばどうして警察の力にお金を注ぐのか?メンタルヘルスサポートの団体に協力を求めるべきなのでは?」と指摘する人もいた。そのほかにも、ホームレスは暴力の加害者なのではなく、多くの場合は被害者なのだと抗議する者もいた。ホームレスを取り締まるのではなくホームレスシェルターとウォーミングセンターを増やすことやドラッグとアルコール中毒者への手当を増やすのが正当という意見も見られた。

このタウンホールミーティングを機会にTTC経営陣と従業員は「安全」とは何かを考えるきっかけになったのではないだろうか。

最近トロントではTTCだけに限らずあらゆる界隈と時間帯で強盗、窃盗、暴力、ひき逃げなど数えきれないほどの事件が起きている。これから市全体が考える安全の形が注目されるであろう。

課題4 物価(プラスアルフア)が高い

カナダ人が退職するには170万カナダドルの貯金が必要?!

日本からカナダに来てすぐに目立つ違いは物価の高さだと想像する。物価の高さを特に感じるのはスーパーだ。2月には牛乳の価格が大幅に高騰し、1月に比べて14.9%も高くなっている。4リットルの牛乳が4.69ドルから5.39ドルに値上げ。牛乳同様、カナダではチーズも高い。どちらも政府が作れられる量をコントロールしているため高値になっている。また、気分転換に旅行でもしたいと思っても航空券もホテルも高騰。家賃も食費も上がるばかり。財布の中身は軽くなる一方だ。

ちなみにBMOが2月に発表した調査によると、カナダ人が退職するにはなんと170万カナダドル(1.7億円ほど)の貯金が必要だという。この数字は2020年の調査結果に比べて20%程度多く、インフレの影響がよくわかる。

カナダ北部で信じ難い現状

ノースウエスト準州、ヌナブト準州、ユーコン準州、この3つの準州とそれらに隣接するサスカチュワン州北部にあるフォンドゥラック・ディネ先住民が住む地域などでは道路や鉄道が整備されていないため食糧などの一般的な必需品は飛行機で運ばれてくる。物流費が高く、食料費がおぞましく高騰している。
例えば24本パックの飲料水が53ドル、サラダ用カット野菜が14ドル、4Lの牛乳が8ドル以上、みかん一袋15ドルなど、都会の物価より3倍ほど高い。健康的なものが買えず糖尿病になる人も多いという。燃料代も上がり、狩りに出かけるのにも一人2000ドルかかるそうだ。「他の町に出て買って帰ればいいのでは?」と思う方もいるだろうが、フォンドゥラックからサスカトゥーンまでの飛行機代は片道900ドルもする。厳しい貧困で心と身体の健康を失われつつある先住民らは、自らの文化を持続していくのも難しく感じるという。

タバコの値段の高さと大麻の買いやすさ

そのほかに日本と比べて驚くのはタバコの値段の高さと大麻の買いやすさではないだろうか。カナダではタバコが一箱15ドルほどで、日本の約3倍する。タバコが買える場所自体も限られていて喫煙者は肩身が狭いのでは。

だが対照的にカナダでは大麻が合法化されており、トロントなどでは至る所にディスペンサリーがある。実は大麻の価格は国境を越えたアメリカより30%も安いそう。供給に余裕があることと、アメリカに比べて大麻にかかる税金が低いことが理由だ。タバコは高くて買えなくても大麻は買い求めやすい、となると残念なことに全体的には喫煙による公害や健康被害問題は解決していない。

チップフレーション(Tipflation = Tip + Inflation)

日本から離れた生活でもう一つ親しみがないことといえばチップ文化ではないだろうか。コーヒーショップやレストランなどで、決して義務ではないが心遣いとして払うチップ。しかし最近ではクレジットカードで決済すると18%、20%、22%、25%など自動的に4択から選ぶシステムになっていたりする。カスタマイズ出来る方法もあるが、店員がずっと見張る中じっくり考える余裕がなくなる人も多いのでは。実はカナダ人はパンデミック前と比べてより多くのチップを支払っていることがわかっている。以前の標準は15%だったが、今では20%だそうだ。コロナでレストランやカフェの経営が苦しくなったのを利用者は理解した上でチップをより多く払うようになったそう。

残念なことに、チップのほかにも気をつけないといけないことがもう一つある。それはいろんな種類の税金だ。カナダにはGST(Goods and Services Tax –連邦消費税)、PST(Provincial Sales Tax –州税)、とHST (Harmonized Sales Tax – GSTとPSTを組み合わせた消費税)が存在する。ケベック州にはQST(Quebec Sales Tax)もある。GSTのみカナダ全土で5%だが、PSTは払わなくて良い州もある。PSTとHSTの税金率も州による上、どの組み合わせで払うかも異なる。ちなみにオンタリオ州は合わせて13%。カナダで生活すると、あらゆるところで出費が嵩んでしまう。

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