気になる「不正出血」の主な原因と検査の種類

気になる「不正出血」の主な原因と検査の種類

慣れない海外生活で、体調を崩すという人は多い。鼻水や咳など一般的な風邪のようにある程度原因・対処法が分かる症状ではなく、ググればググるほど心配が膨らむ症状の一つが「不正出血」ではないだろうか?

「不正出血」はカナダ渡航前には経験したことがないという人が多く、「月経不順」「おりもの異常」と並んで多い婦人科の症状。友達には相談できなかったり、どんな検査をするのか分からないという理由で受診を躊躇する人がいる。

「不正出血」とは、本来の月経周期以外に出血があること。様々な原因が考えられるが、病気のサインである可能性もあるので早めに受診するようにしよう。

不正出血の主な原因

排卵期出血

排卵時におきる少量の出血。病気ではなく、ピルなどの避妊薬の服用で改善される。

月経不順

無排卵性月経など卵巣機能不全で排卵の周期が安定せず、月経以外に少量の出血がおこる。これもピルなどで周期を整えることで、改善される。

クラミジア感染症

性感染症の一つで、不正出血以外にもおりもの異常、腹痛などの症状がでる場合がある。抗生剤の内服で治療する。

子宮頸がん・子宮体がん

子宮頚管及び子宮の奥のがん。

子宮筋腫(特に粘膜下子宮筋腫の場合)

良性のコブだが、子宮内にある場合は内膜に影響するため、月経以外に出血することがある。

妊娠

妊娠初期には少量の出血がおきる場合がある。月経と勘違いして、妊娠に気付かないという人もいる。

不正出血の理由は上記だけでなく、子宮頚管ポリープなどその他にも様々な病気が考えられる。

主な検査の種類

不正出血で受診する場合、どんな検査を行うのかが気になるところ。不正出血は診断が困難とされている。月経との区別が困難であり、患者自身も月経なのか不正出血なのかが分からない状態で来院することが多い。そこで大事なのは詳細な問診。出血の周期性、持続性、量、痛みの有無、既往歴の有無などを聞かれ、妊娠の可能性や性行為の有無、避妊薬などの服用状況なども詳しく聞かれるので、スムーズに的確に答えられるように準備しておこう。

下記の検査はすべてのケースで行う訳ではないが、問診の上、医師が決定する。

内診

膣内に指を入れて、卵巣や子宮の様子を確認する。膣鏡(クスコ) と呼ばれる器具を利用し視診する場合もある。

妊娠検査

簡単な尿検査で陽性・陰性を確認する。

超音波検査

お腹の上から検査するものと、膣から検査する場合がある。

血液検査

全身性の病気がないかを確認する。

細胞診

子宮頚部や体部の組織を綿棒状の棒で採取し検査する。

子宮鏡検査

子宮内にカメラを入れ筋腫やポリープなどを観察する。

不正出血は外陰・膣からの出血、子宮頚部や子宮内からの出血に分けられる。まずはそれを特定し、出血の原因を探していく。

先に記した通り、不正出血は原因を突き止めるのが意外に困難である。普段から基礎体温を測り、子宮頸がん検診などの定期検診を受けることで、診断を早め治療を行うことができる。また、自己判断で大丈夫だろうと決めつけるのは危険。検査を受けて、何もなければそれに越したことはありません。普段から自分の身体の変化には敏感になり、必要に応じて受診するようにしましょう。

鶴 慶子さん(RN-日本、RPN-オンタリオ州)

日本で9年看護師経験を積んだ後、渡加。ジョージブラウンカレッジナーシングコースを卒業後、オンタリオ州看護師免許を取得。現在はトロント市内の医療機関で看護師として勤務する傍ら、日系コミュニティー向けの医療サポート会社WELLNESS KIZUNAのクリニカルディレクターとして活躍中。