People.20 vol.3「カナダにはいろんな日本人がいた。」Shuma Janさん(映像作家/ディレクター)|カナダワーホリを超えた今

カナダにはいろんな日本人がいた。絵を描いている人、歌や ダンスをやっている人など現地で会う日本人はみな自由な気がした。

 僕は今、岡山と東京の2拠点で生活しながら映像作家・ディレクターとして活動している。映像を始めたのもワーホリへ行った当時、約10年前のことだった。いろんな日本人に出会う中で僕はから揚げを揚げている男と出会った。彼はトロントで初のJapanese Street Foodのお店Gushiのオーナーであり、そのお店はMarket707という変わった場所にあった。

 Market707は貨物用のコンテナを店舗にしているお店だ。日本、韓国、カナダ、フィリピン、ギリシャなど世界中の料理を味わえる場所だった。彼とは気が合い、お店を手伝ったり、唐揚げの研究のためにいろんな店を巡ったり、イベントを企画したりとても面白い体験をした。

 特に印象に残っているのは路上でYouTubeを撮ったことだ。僕らは店の前で毎週イベントをすることにした。ミュージシャンを呼んでみたり、みんなで仮装をしてみたり、そして料理対決と称して各店舗のシェフにスープを作ってもらい、それを道行く人に審査してもらうという番組のようなものを収録していた。毎週試行錯誤をしながらやっていて、初回と最後だと結構違う。

 日本の道で同じことをやっていても見向きもされないか、下手したら嫌な顔をされそうだが、トロントの人たちは結構楽しんでくれていた。座って見てくれる人にインタビューとかリアクションを撮影させてもらったりもしていたがみんなノリが良くて何かに挑戦するにはいい環境だったと今になって思う。

 前回の記事でトロントでの経験は自分の未熟さや無力さを痛感したものだったと書いたが、思い返してみるとそれでも楽しんで色々やっていたようにも思う。しかし10年たった今。見えているものも変わった。できることも増えた。またトロントを訪れたらどんな楽しいことができるだろうか。