「大きな災害で発生する二次災害を考える」|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第129回】

2023年2月、トルコ・シリア大地震が発生しました。マグニチュード7.8の地震や、その後の大きな揺れにより、トルコとシリアの両国で大きな被害が発生しました。2023年3月現在で、両国の死者数は5万6000人以上になっているそうです。WHOによる推計では最大2300万人が被災したと言われています。日本などの先進国と違い、建物の構造もレンガ造りだったことや倒壊しやすい状況だったことも被害を大きくしているようです。

世界的に大きな地震はあっても、その国で建設されている建物の耐震構造がしっかりしているものであれば、ここまで大きな被害にはならなかったと思います。しかし、どこの国でもそんな状況は望めません。

日本も東日本大震災の時には、宮城県北部の内陸地域では、同じ震度の他の地域よりもかなり建物の倒壊がありました。これは建物自体の耐震性というよりも、地盤の弱さが影響したと言われています。確かに、東日本大震災前の宮城の地震でも、宮城県北と岩手県南の地域は地盤が弱いと言われており、警戒されていました。地盤の問題は、今住んでいる皆さんのところでも大きく影響します。

自分の住んでいる地域の地盤の強さなどは、知っておくことも大切だと思っています。トルコ・シリアのような大きな被害が、今後世界で起きないことを切に願います。ただ、今回のトルコ・シリアの大地震では、東日本大震災のような後のち大きな苦悩を背負う「津波」と「原発」の問題がありませんでした。これだけを見ても、東日本大震災が今だに問題を引きづっているのは、この2つが要因になっていると思います。

津波はすべてを奪い、さらには死者よりもおそらくもっとつらい「行方不明者」を大量に出しました。姿はなくとも、遺体も見つからない。その後を生きる残された遺族にとって、心の区切りをつけられず本当につらい思いを今でもしている方々は多いです。

また、原発は福島という言葉を世界に伝えました。しかし、それは大変重い十字架として今でも福島の皆さんを苦しめています。いまだに残る被災した原発が問題を無くすのは私が生きているうちには無理だと言われています。

大きな災害は世界中どこでもおこります。しかし、その大きな災害で発生する二次災害のようなものがどれだけ少ないかで、復興のスピードも変わると感じています。願わくば、世界からそういった災害がなくなることを祈っています。