これからどうなる?トロントエリアの鉄道|特集「歴史とロマン、カナダの鉄道・駅物語 」

これからどうなる?トロントエリアの鉄道|特集「歴史とロマン、カナダの鉄道・駅物語 」

ニオン駅では2021年に12年かけた駅の改良と開発プロジェクトが終了したばかり。YorkとBayコンコースが建て替えられ、新しいバスターミナルも出来たばかりだ。利用者の喜びも束の間、 2022年1月下旬にはまた新しいプロジェクトが発表された。YorkとBayに続く南コンコースの建設やホームの面積の拡張などが2025年末まで続く。駅ビルだけでなく路線に関しても次々に新しい工事が行われている。これから完成または建設スタート予定の鉄道プロジェクトを見ていこう。

Ontario Line

ダウンタウンから北東に位置するScience Centreから南は East Harbour、そして西は Exhibitionまで走る地下鉄が建設中だ。 GO Transit やLine 1、Line 2、Eglinton Crosstown(Line 5)、そしてさまざまな路面電車やバスにも連結することが期待の的だ。2019年に州政府が計画を発表。今年に入ってやっと大きな工事が始まったばかりで完成は今の所2031年と推測されている。

GO Expansion

既存するGO Transitサービスを改善するため、どの路線でも15分間隔で列車が来るように本数を増加。現在本数が少ない週末やラッシュアワー以外の時間帯の需要を満たす、または増やす計画だ。そのほかにもバリーとキッチナー、ウィットチャーチ=スタフビル、レイクショア・イースト、レイクショア・ウェスト線の車両がディーゼルカーから電動のものに変わる予定。今年6月にはレイクショア・イースト線が20キロ東のダラム地域まで延伸されることが発表されたばかり。プロジェクト全体で150キロメートルもの新しい線路が加えられ、さらに橋やトンネルも作られる。この計画は2025年から2030年までの間に何段階かに分けてスタートを切る予定。かかる時間はおよそ10年なのだとか。

Eglinton Crosstown LRT (Line 5)

この新しいストリートカーの路線は今年中に開通するはずだった。住民はもう12年もこの工事を見てきているので、今になってのオープン延期にがっかりしている。Eglinton Aveに沿って作られているこのLine 5は地下と地上で走る予定。西はMount Dennis、東はKennedyまで続く。25駅のなかにはLine 1のEglinton West 駅(開通後に名前がCedarvaleに変わる)と東のEglinton駅と交差し、乗り換えが便利になる。終点のKennedyでもLine 2と3へのアクセスが可能になる。しかし今年4月に工事で260項目もの欠陥があることがニュースになっており、その翌月には建設を任されている「Crosslinx」がTTCとはもう関わりたくないと言っていることが判明。トラブル続きの中、今年中の開通は不可能だろうと言われている。

Waterfront East LRT

ユニオン駅からBay Stを南下、Queens Quayに突き当たってから東はDistillery LoopのCherry Stまで続き、「Western Port Lands」と呼ばれる埠頭までを行き来する予定。2018年に計画が承認されてからずっと保留になっている。

High Frequency Rail

現在カナダには日本の新幹線と同じスピードで走る「High Frequency Rail」の計画が進んでいる。もし建設されればトロントとオタワ、モントリオール、ケベックシティをより早く行き来できるようになる。連邦政府の交通大臣オマール・アルガブラ氏によると、3つのコンソーシアム(共同事業体)が計画書を提出済みだが、工事は2030年代半ばまで始まらないという。

SmartTrack

前トロント市長ジョン・トーリー氏が提案したこのプロジェクトはトロント市内を郊外と結ぶGO Transitを市内でもっと活躍させようとして始まった。西のGO Transitキッチナー線からMount Dennis、Bloor、King-Libertyを通って南下し、Union Stationからまた北東へDanforth、Scarborough、Finch-Kennedyなどの駅を通ってウィットチャーチ=スタフビル線に続く予定。考えはOntario Lineによく似ていて、Line 1、2、5や GO Transit、バス、路面電車など全てをつなぐ路線だ。2014年にトーリー氏が市長選挙に出ていた頃から考案しており、市長を務めていた間も少しずつ実現のために計画が承認されてきた。しかし彼のスキャンダルによって市長の座はオリビア・チャウ氏に変わり、これからも計画が進むのかが懸念される。