トロントのファッショニスタ34人に聞いた今季、流行る「ファッショントレンド予報」|特集「気になるアレコレ、モノコトトコロ」

 ベストシーズン到来、トロントに待ちに待った夏がやってきた。気候の変化とともに街ゆく人々のファッションも夏めいていく。人々は、どんな服を着てこの夏を楽しむのだろうか。今季のトレンドを掴むため、ダウンタウンを颯爽と歩くお洒落な男女に声を掛けてファッションスナップを撮り、今のトレンドや彼/彼女らが欲しいものを取材した。お洒落な人は常に季節やトレンドを先取りしてファッション楽しんでいる。取材を通して見えてきたトロントならではの志向や価値観から今季のトレンドを読み解いていく。

【調査方法】
対象: 16~33歳の男女34人
場所: ダウンタウン(イートンセンター/College Station)
期間: 6/6-10

【インタビュー内容】
①名前
②年齢/職業/国籍
③今日のコーデポイント/ブランド
T: Tops、P: Pants、S: Shoes
D: Dresses、B: Bag

トレンド予報1.
Trend Item

この夏のHOT ITEM
 インタビューするなかで街のお洒落な男女が現在、注目しているアイテムやヒットの兆しが見えてきた。

トレンド01.Crop Top & Pants 6票

  今季は、ハイウエストに代わってローライズパンツといったローウエストのパンツが流行中。そのため、クロップド丈トップスに下はバギーパンツを合わせたスタイルへとトレンドがシフトしていく予感。

トレンド02.Summer Dresses 5票

  夏らしさをカラフルなワンピースで演出したいと考える人が多い。今の夏は、サマードレスを着た女性が街に溢れるだろう。

トレンド03.Linen 4票

 日本でもリネン素材のアイテムが流行しているように、シンプルなデザインと夏に適した快適な素材のリネンは、トロント女子の間でも人気であることがわかった。また昨今では、サステナブルに対する意識が高まりによってリネン素材に注目が集まっているのかもしれない。
New Trend【newトレンド】

現地のアパレル店員、オススメアイテム カウボーイブーツ

 女の子の夏の定番スタイルといえば、サマードレスか白Tにショートデニムを合わせたカジュアルスタイル。そのため、後者のスタイルにカウボーイブーツを合わせたい。

 いつもの定番スタイルにカウボーイブーツを合わせる事で一気にこなれ度を演出する事ができる。トレンドを知り尽くしたアパレル店員が次に狙っているアイテムは、日常のスタイルを華やかにさせるプラスワンアイテムだった。アパレル店員は、歩くマネキンとして買い物客の視線を集める存在でもある。そんな彼女らが今、注目しているカウボーイブーツは、今後トレンドとして上がってくるだろう。

トレンド予報2.
トレンド志向

トレンドをつくる彼/彼女らの志向と価値観

「サステナブル思考」「カジュアルな装いとプライス」

 トレンドは人々の考えによって影響され、作られていく。今回、取材をする中で、人々はサステナブルに対する意識が高く、それがファッションにも影響しているという事がわかった。また、人々が意思決定をする際に服装とプライスに対する「カジュアル志向」がある事もわかった。これらについてそれぞれ、詳しくみていく。

01「サステナブル×ファッション」

 SDGsをきっかけに消費者や企業の間ではサステナブルが最近のキーワードとなっている。そのため、ファッション業界においてもサステナブルファッションが推進されている。

 サステナブルファッションとは、持続可能な社会の実現のために、ファッションという切り口のもと取り組む行動のことである。企業は、環境に配慮した衣類を生産すること、そして消費者は環境に良いファッションを積極的に取り入れることが求められている。

 今回の街頭インタビューで服を選ぶ時に重要視することは何ですかと質問した際、価格やデザインなどの一般的な回答もあったが、多くの若者がサステナブルと回答した。

 サステナブルに対する意識の高まりは世界的なものだが、この考えが生活者一人ひとりにまで浸透し、行動として表れているかといわれると日本ではまだ実現できていない事だと思う。

 しかし、トロントでは街を歩く若者の口から価格やデザインといった回答と肩を並べて、サステナブルを意識して選んでいると答えた事実があり、多くの若者に意識が浸透している事がいえる。

サステナブルを意識。私たちはビンテージが好き!

  ビンテージの商品は、上記の理由の他にも一点ものなので他人と被る心配がなく、個性を主張できてファッションセンスも高いアイテムである。ビンテージの商品を身につける事は、自分のオシャレ度をアップデートしながらサステナブルにも貢献できる、一石二鳥の選択である。

ハンドメイドでファッションを楽しむ

  サステナブルは古着を着る事だけではなく、あえて購入せずにハンドメイドで服を作ることでも貢献できるという発想が新しかった。 ハンドメイドで服を作ったりリメイクをしたり、またもっと手軽な手段でいえばハンドメイドの商品を買う事でもサステナブルに貢献できる。古着には少し抵抗があるという人も、ハンドメイドなら未使用品であるため、ハードルが下がるのではないだろうか。

新作と古着に垣根がないカナダ

  日本でもカナダのように古着屋への垣根が低くなれば、サステナブルを意識して買い物をする若者がさらに増えると考える。

02「カジュアルな装いとプライス」

きれいめカジュアル/エレガントカジュアル

 きれいめカジュアルとは、リラックス感のあるアイテムときっちり感のあるアイテムを合わせた気負わない上品なスタイルのこと。男性は、上品なシャツとスラックスにスニーカーを合わせ、女性はデニムにジャケットを合わせるなど全体のバランスを上手く取りながら清潔感のあるスタイルにまとめている印象があった。

きれいめカジュアル/エレガントカジュアル

ストリートカジュアル

 ストリートカジュアルにきちんとした定義は無いが、一般的にはゆったりとしたルーズなシルエットで動きやすいファッションのことをさす。ストリートカジュアルというジャンルの中でも男女それぞれであるスタイルが流行している事がわかった。

男子「バギースタイル」

 バギースタイルとは、ダボッとしたアイテムで全身をコーディネートしたスタイルのこと。バギーパンツは、股上が深く、お尻から裾にかけて深くゆったりしたデザインが特徴である。バギー(baggy)の由来は、バッグ(袋:bag)のようにぶかぶかで太い事から名付けられた。

男子「バギースタイル」

女子「Y2K」

 Y2Kファッションとは、「Year 2000」の略で2000年頃に流行したスタイルのこと。ミニスカート、ショートパンツ、クロップトップス、ミニサイズのバッグなどが当時流行した。最近、このスタイルが若者の間で再び流行していきている。これはカナダのみならず世界的に流行しているスタイルであり、日本でも多くのファッション誌で取り上げられている。

女子「Y2K」

  男子は上下ともにだぼだぼシルエットのバギースタイルが流行中であるのに対し、女子は上がピタッとしたシルエットのものに下はゆったりしたものを選ぶタイト&バギーのスタイルが流行中であることがわかった。また、日本よりもカナダの方がよりカジュアルな傾向にある。

バギースタイルに合わせるアイテム

・カラフルtops→アフリカンスタイルに挑戦したい。
 カラフルなショートパンツにシャツなどセットアップで楽しみたい。
・スニーカー
・キャップ

トレンドをキャッチするメディアと人

 ここまで今季流行するトレンドアイテムやその元になる人々の思考について紹介をしてきた。街の若者は、何を参考にし、誰に影響されて服を選んでいるのだろうかトレンドが生まれる発信源を紹介していく。

トレンドをキャッチするメディアと人

メディアからわかる、男女のファッションに対する影響度のちがい

男子「自分のスタイルを確立したい」

 メディアや人を参考にするのではなく、自分の好きなものやスタイルに合うものを選ぶと回答した人がほとんどだった。そのため、好きなブランドでトータルコーディネートをしたり、自分のスタイルを大切にしている人が多い印象。

好きなブランドでトータルコーデ

女子「メディアとインフルエンサーを参考に」

 女子は、主にInstagramやTikTokでインフルエンサーのファッションを参考にしている事が多く、メディアや人の影響を受けて意思決定をしている印象を受けた。

Price:カジュアルなプライス不動の人気を誇るファストファッション

 服を選ぶ時に重要視することは何かという質問に対して多くの人が「プライス」と答えた。また、この回答の結果としてよく買うブランドは何かという質問でZARA、H&M、Forever21といったファストファッションだと答えた人がやはり多かった。プライスに対してもカジュアルさを求めている事がわかる。

ベースは、ファストファッション

ファッションを通して唯一無二の存在を目指す

今、男性もミニポーチがキテイル!

 女性のミニポーチが流行しているように男性もミニポーチを持つスタイルが流行中。

ファストファッションの王様:ZARA

  他にも、ファストファッションの中だとH&Mにくらべて質が良く、長持ちするだという理由やカラーやデザインの豊富さとスタイリッシュなデザイン性が気に入っているといった理由があることがわかった。

女子に圧倒的人気のARITZIA

 ARITZIAは、カナダ・バンクーバー発のレディースブランドでトロントでも有名。
 多くの人が取材でこのブランドがお気に入りだと回答し、カナダの若者に圧倒的な支持を集めている。

 豊富なカラー展開、クオリティの高さとデザインの良さから多くの人に支持され、また、ファストファッション程ではないものの買い求めやすさも理由に挙げられていた。

 今回は、今季流行るトレンドアイテムの予想と彼/彼女らの価値観や志向について述べてきた。キーワードは、「サステナブル」そして「カジュアルな装いとプライス」。

 トロントのファッショニスタは、カジュアルでコストパフォーマンスが良く、環境にも配慮した服を好んで選ぶようだ。皆が注目しているスタイルやアイテムを選んで流行に乗ってみても良いし、自分が良いと思うものを選び、こだわりを持つことも素敵なことだと思う。

 トロントの特徴である社会の多様性はファッションにも反映されていて、すべてのファッションが個性であり、そのひとらしさでもあると思う。さあこの夏、あなたは何を買いにいきますか。

 最後に取材にご協力いただきました皆様、誠にありがとうございました。