一度は訪れたい!名所と呼びたい鉄道観光スポット|特集「歴史とロマン、カナダの鉄道・駅物語 」

一度は訪れたい!名所と呼びたい鉄道観光スポット|特集「歴史とロマン、カナダの鉄道・駅物語 」

気分はまるで博物館
TTC Museum Station

トロントエリアに住んでいて、まだこの駅で降りたことがない人は必見!Line 1 Yonge-Universityのこの駅は1963年に開業。ロイヤル·オンタリオ博物館の真下にあるためこの名前が付けられた。オープン当時はLine 2 Bloor-Danforthと同じようなクリーム色と青のデザインだったが、2008年の改装工事でガラリと雰囲気が変わった。柱のデザインにはトーテムポールやエジプト神話の冥界の神オシリス、ギリシャはパルテノンにあるドーリア式の柱などがある。ホームに到着するわずかな瞬間だけでもワクワクするこの駅は平凡な日常にときめきをもたらしてくれる。

North Toronto Stationはおしゃれすぎる「LCBO」

Courtesy of Toronto Public Library

サマーヒル駅を降りてすぐYonge Stを南に歩くと大きな「LCBO」がある。その酒屋の店舗が入っているビルは昔「Canadian Pacific Railway」のノース・トロント駅として活躍していた。ここもユニオン駅と同じボザール様式のデザインで、時計塔と3階建てのメインターミナルがある。1916年に開業したが世界恐慌の影響で1930年に閉業。早くも翌年の1931年から政府が酒屋を運営した。1915年9月9日、この建物の建設作業が始まった時に当時のトロント市長によってタイムカプセルが埋められた。その100年後の2015年にカプセルが開けられ、その中には当時のトロントの地図や新聞、コインなど50点ものアイテムが見つかっている。2015年にもまたタイムカプセルが埋められ、その時はローカルの新聞や雑誌、地図に加え携帯電話の「BlackBerry」や「iPhone」が入れられた。現在「LCBO」の店舗をして使われていることにちなんでお酒のボトルも添えられたそうだ。今でもすぐそばに貨物列車が通るため、駅としての雰囲気は十分に残っている。ビル南側の入り口の上には「Canadian Pacific」という文字が浮き彫りになっているリリーフも要チェック。

列車が宿泊施設に!
Tatamagouche, NS:Train Station Inn & Railway Dining Car

一見「たまごっち」と読み間違えてしまいそうな街の名前だが、ノバスコシア州にあるこの宿泊施設はカナダ中を走ったあらゆる列車を改装してできた場所なのだ。カブース(車掌車・緩急車)やボックスカー(貨車)の中に大人2人と子供2人が使えるベッドとバスルーム、そして小さいキッチンスペースが付いている。施設内にあるダイニング・カーで食事を取ることができるのも魅力的。鉄道ファンにはたまらない観光スポットだ。

北米唯一の「デンタル・カー」が見られる
Railway Museum of Eastern Ontario

オンタリオ州オタワ近くのSmith Fallsというエリアにあるこの博物館の建物はもともと1912年に建てたられたカナディアン・ノーザン鉄道の駅だった。駅が使われなくなった後の1979年、「VIA Rail」によって解体が打診されていた。そこで立ち上がったのはローカル市民のビル・レサーフという男性。彼は「Save Our Station」という会を始め、1985年まで「VIA Rail」と交渉をし続けて買い取りに至った。それ以来駅は国定歴史建造物に指定されている。

ここの何がユニークかというと、「Dental Car CNR 15095」がディスプレイされていること。「Dental Car」とは1951年から 1977の間にオンタリオ州政府が立ち上げた「旅する歯医者」プログラムの列車で、スクール・カーのように歯医者が住み込み、移動しながら北オンタリオの子供たちの治療にあたった。この列車は北米で唯一残されているデンタル・カーだ。その他にも機関車やダイニング・カー(食堂車)、点検用車両、雪かき車などもあるのでいろいろ楽しめる。

近未来的なTTC
Yorkdale Station

 コンクリートとステンレス鋼の構造にガラスの屋根、ここはTTCのどの駅とも違う別世界。角が丸い窓は飛行機や宇宙船を思わせる。1960年代、モントリオールではメトロの建設が始まり、どれもアート作品が目立つおしゃれな駅が作られた。それまでどれも同じようなタイルと色合いで作られてきたが、モントリオールに対抗するようにTTCも建築事務所にデザインを委託し始めた。この駅を任されたのは建築家のアーサー・エリックソンで、彼の代表作の中にはトロントのRoy Thomson Hallやブリティッシュコロンビア州バーナビーにある Simon Fraser Universityがある。国際的な作品では1970年に開催された大阪万博のカナダ館のデザインも手がけ、外壁を一面の鏡で覆う斬新なデザインで注目を浴びた。彼はYorkdale駅のデザインで1982年に「Governor General’s Award for Architecture」という賞をとっている。