カナダで初めて公認ティーソムリエになった15人のうちの一人 Raelene Gannonさん インタビュー | 特集「紅茶、飲む?」

茶葉を料理に活かしたレシピ本の著者であり、ティーの世界で起業したインフルエンサー。


2010年にジョージ・ブラウンカレッジのティーソムリエ課程を修了したRaelene Gannonさんはカナダでも有数の有名ティーソムリエだ。2015年には“tea from cup to plate”という茶葉を使ったレシピ本を出版した、この分野でのパイオニア。今回はお茶のことを熟知したRaeleneさんに茶葉を使って料理をするコツや彼女のレシピ本についてお話を伺った。

料理が好きなことと、食べることが好きだからこそ、
それをもっと共有したくなり、レシピ本の出版に至りました

tea from cup to plateの表紙

■お茶を使ったレシピ本を出版するきっかけを教えてください。

私はジョージ・ブラウンカレッジでティーソムリエ課程で勉強していたのですが、その授業の中でお茶と食べ物の組み合わせについて学ぶことがありました。その時、「お茶と食べ物の組み合わせを考えるくらいなら、いっそのこと混ぜてしまってはどうだろうか?」とふと思ったことがきっかけです。それに加え私はFoodie(食べ物に関心が強い)なので、まずは自分でお茶を使って料理をしてみることが少しずつ増えていきました。

また、人それぞれメディテーションの方法があり、私にとってはそれが料理なのです。どんなに嫌なことがあった日でも、料理をしてお茶を飲む、それだけで精神的に落ち着くことができます。料理が好きなことと、食べることが好きだからこそ、それをもっと共有したくなり、レシピ本の出版に至りました。

■トロントでは茶葉を使って料理をすることは一般的でしょうか?

少しずつポピュラーになってきていると思います。私のレシピ本は2015年に出版されたのですが、書き終わるのにおよそ3年掛かりました。ですが、実際に茶葉を使った料理について講演を行ったり記事を書き始めたりしたのは、私がジョージ・ブラウンカレッジを卒業した2010年あたりのことです。たぶんですが、私が熱心に他の人に茶葉を料理に使うことを話していたから、その時から少しずつ広まっていったのかもしれません。私自身がカナダにおいてこの分野のパイオニアかどうかははっきりとは言えませんが、2010年頃にはまだ新しかったこの料理も、私の長い間行ってきた取り組みで少しずつ認知されてきたのであればとても嬉しいです。

■メニューはどのように考えましたか?

最初の頃は正直に言いますと、わからないことばかりで自分でも悩んでしまうことが多かったです。ですが、試行錯誤をしていくうちに、茶葉は乾いた状態か、濃い目のお茶にして使うことができるということに気が付きました。

それぞれの使い分けですが、例えばお菓子作りでバニラを使う必要があるとします。私はバニラを使わず、濃い目に淹れたお茶で代用しています。この時にちょっとしたコツがあります。茶葉を置いておく時間を長くすることで濃い目に淹れるのではなく、茶葉の量をテーブルスプーン2杯分入れるなどしてお茶と水の量で濃さを調整する必要があります。緑茶であれば2分間、ブラックティーであれば5分間ということになりますね。規定の時間より長く置いておけば確かに濃くはなりますが、それと同時にお茶のえぐみも出てきてしまうことを覚えておいてください。

■料理にはどのような茶葉がおすすめですか?

先ほどのお話にもありましたが、バニラを使うのであればおそらくお菓子作りをするだろう、という予想ができますよね。この場合はお菓子作りに合いそうな茶葉を選びます。乾いた茶葉でも、お茶にした状態のものでも両方使うことができます。私の場合はショートブレッドを作るときはアールグレイの茶葉を使うことが多いです。乾いた茶葉を砕いて生地に混ぜたり、濃い目のお茶をバニラの代わりに使っています。お菓子作りでアールグレイがよく使われているのでわかりやすいとは思いますが、このお茶は初心者にとって一番扱いやすいのではないでしょうか。私もつい最近アールグレイを使ったヴィーガン用のシナモンロールを作りましたが、とてもおいしくできましたよ。

Raeleneさんが料理に使う乾いた状態の茶葉とお茶

また、私は自分の食生活をヴィーガンに変えていこうとしているのですが、その一環で肉を全く食べていません。そうすると、ビーフストックやチキンストックも使えないことになります。そこで私が使っているのがお茶のストックです。この時使っているのはブラックティーですが、このお茶さえあればお肉を使ったストックが無くても美味しい料理は作れます。お茶自体がとても濃い味をしているので、うま味をプラスしてくれているように感じます。

お茶を選ぶときのコツですが、もしインド料理を作るのだとしたらチャイ等のインドからきたお茶を、和食を作るのであれば緑茶や玄米茶等の日本から来たお茶を使ってみてください。作る料理とお茶の両方が同じ地域から来ていれば、まず合わないということはありません。

■日本茶を使ったレシピで何かおすすめは?

ほうじ茶は乾いた状態でもお茶の状態でもどちらでもいける、使い勝手のいいお茶ですね。玄米茶も、こんがりとしたはっきりとした風味があるので、この2種類のお茶であれば、お菓子だけでなく普通の料理にも使うことができます。

私のレシピ本にカイエンペッパーを使ったクラッカーとショートブレッドがあるのですが、カイエンペッパーの代わりにほうじ茶を使ってみても美味しく出来上がると思います。

健康にもいいお茶が、自分の味覚の幅を広げる手伝いにもなるのであれば、お茶を料理に使ってみない理由がないですね

■茶葉を使って料理をするとどのようなメリットが?

大きく2つのメリットがありますね。1つ目は、節約になります。先ほどから何回かバニラの例を出していると思うのですが、バニラの価格が近年高くなっています。既に2年前と比べてもおよそ2~3倍ほど価格は上がっていますね。私のようによくお菓子を作り、人工甘味料を避けたい人たちにとっては嬉しい話ではありません。ですが、ここでお茶を代用することで節約もできますし、人工香料を使わずに体にやさしい料理がつくれます。

2点目はより多くの味に触れることができることです。バニラというのは味のプロフィールやカテゴリーが一種類しかありません。ですがそれに対してお茶は一口飲むだけで甘みだけでなく渋みや他の様々な味に触れさせてくれます。健康にもいいお茶が、自分の味覚の幅を広げる手伝いにもなるのであれば、お茶を料理に使ってみない理由がないですね。

アールグレイのボールクッキー

■レシピ本を出版された以外にもtea and all its splendourを起業したり、Young Living Essential OilsでEssential Oil Educatorとして活動されていますが、それぞれの内容を教えてください。

tea and all its splendourはお茶を取り扱っている会社ですので、他の茶葉を取り扱うお店やカフェ、レストラン、そしてホテル等にお茶を提供しています。それ以外にも、私がレシピを考案してサイトに載せたり、茶葉をブレンドしたり、オペレーション全体をみたりしています。勿論、お店の方でなく個人の方でも購入していただけます。お茶の楽しみ方といえば茶器も当然含まれてくると思うのですが、そちらも数点扱っています。茶葉を使ったレシピも定期的に更新しています。難しいレシピではなく、誰もが気軽に作れるものばかりです。

Raeleneさん監修のチョコレートは全部で7種類

また、お茶はまだよくわからないという方のためにお茶の用語を解説しているページもありますので、興味のある方にはそちらもご覧いただけると嬉しいです。サイトに掲載されているものはどれも私がティーソムリエとして自信をもって選んだものばかりですので是非一度サイトに遊びに来てください。

Young Living Essential Oilsで活動を始めたきっかけはバニラの価格高騰と入手の難しさを知ったことがきっかけでした。活動を始めてから私自身、初めて知ることばかりでした。例えば、エッセンスとエッセンシャルオイル、そして人口甘味料の違いやバニラのエッセンシャルオイルというのはバニラの抽出方法が他の植物とは全く違うのでまず手に入らないということ。ここでの活動を通して私自身が新しい味と出会ってレシピの幅を広げていくのは勿論ですが、Educatorとして学んだ勅使を皆さんと共有していくことがとても楽しいです。

より体に優しくて美味しいレシピを
提供することが私の使命だと思っています

■今後の展望は?

2015年にレシピ本を出した時、私はまだヴィーガンではありませんでした。ですので、お肉を使った料理がたくさん掲載されています。そのレシピの中からヴィーガン用に変えられるかを試して、そのうちヴィーガン用のお茶を使ったレシピ本を出版したいです。

また、Young Living Essential Oilsで知ったエッセンシャルオイルをお茶に加えて新しいブレンドを作ったり、レシピを作ったりもしていきたいです。より体に優しくて美味しいレシピを提供することが私の使命だと思っています。

■TORJA読者へのメッセージをお願いします。

もし好きなお茶が既にあれば、それをどうやったら料理に使えるかを是非一度考えてみてください。最初はお茶と一緒にお米を炊いたり、ショートブレッドやクッキーを作ってみたりすることでそのお茶の使い方がだんだんと見えてくると思います。とにかく失敗を恐れずに一度試してみてはいかがでしょうか。

料理があまり好きじゃなくて億劫な方もこれを機会に試してみたら意外と料理が好きになるかもしれません。料理好きではない方の中には同じような味にしか触れてこなかった方が多いように私は感じています。お茶のように、様々な風味が混在するものを使って料理をすることで皆さんの生活がより豊かになれば嬉しいです。


Raeleneさんの厳選した茶葉、茶器、レシピはこちらから
teaandallitssplendour.com

Essential Oilについて詳しく知りたい方はこちらから
youngliving.com/en_CA