諦めない、ハードルを乗り越えよ!|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

 私はバンクーバーでNPOの会長をしているのだが、ボランティアさんが20名ほど登録してくださっている。皆、海外の地で英語を学ぶだけではなく、もう一つ、成果品という土産を持って帰りたいのだろう。つまり海外での経験だ。しかし、そのハードルは高いとされる。それをどう乗り越えるか、2023年に向けた自己啓発の準備をしよう。

皆さんはアメリカの自己啓発家のTony Robbinsという方の名前を聞いたことがあるだろうか?

 彼の自己啓発本は1000万冊売れ、フォーブスで世界で最も影響力ある100人にも選ばれたことがある。そのTonyの秋のイベントに知人とオンラインで参加した。いや、正確には参加したのは知人で私はその3割ぐらいを同席させて頂いただけだ。今回のイベントは夏の講習の1週間1万米ドルに比べ4日間でUS400ドルと格安なのだが、それでも中身は濃い。何しろ4日間とも一日12〜15時間も行われるのだ。それもほぼぶっ通しで。

 私は3日目の後半と4日目をフルで参加したのだが、正直、それだけでも十分、影響がある。それは昨今、話題になるマインドコントロールに近いのかもしれない。一日15時間もずっとその主題とオンライン上、接している。会場には1000人ぐらいのリアルの聴衆がいて、ステージはロックコンサート会場のような派手な仕立て。要所要所でノリの良い踊りが入り、テーマソングと共に体を揺らし、こぶしを振りかざし、声を上げて一体感を作る。「君たち、わかったか!」と講演者が声を張り上げ、会場から「イェーイ!」の大反響、それが繰り返される。

 初めは懐疑的にみていた私もいつの間にか一人で踊っているのがおかしかった。いや、自分を違うステージに引き込むのだろう。もう一人の自分に憑依したようにその世界にのめり込む。
 その講習ではとにかく、前向きなことしか話題に上がらない。前進あるのみだ。講演者の経験話もドラマがかった内容が多いが主題は諦めずに頑張ったサクセスストーリーだ。

日本では宗教問題が話題になっているが、自己啓発は宗教ではないと私は考えている

 宗教は自分が乗り越えられないものを神などに託すことだが、自己啓発は本来自分が持っている潜在能力を引き出すに過ぎない。なので、仮にマインドコントロールだとしてもそれが良い方向に進むならそれをコントロールされることを否定する理由はない。

 以前、ライザップをすると素晴らしいボディとすっきりした体形になることで何十万円も使う人が続出した。何故だかわかるだろうか?もちろんプログラムも素晴らしいのだが、逞しく引き締まったカラダに自分もなれるというイメージトレーニングを介したマインドコントロールがそこにあるのだ。もう一つの理由は金額にある。高額の投資をしたので参加者は真剣に取り組むのだ。Tonyのイベントもかなり高額だが、それ故に一日15時間、寝る時も惜しみ、一言も聞き漏らさないように参加する。

 ちなみに私の友人は夏の1万ドルの講習に出席したのだが、「その効果はあったのかね?」と質問したところ、「10月の売り上げは史上最高だったのを忘れたのか?」と逆に指摘されてしまった。そうか、そこまで即効性が本当にあるかは疑問だが、結果はそれを示しているようだ。

「そうしたい」という明白な目標を持つこと

 私は日本人の採用面接を相当頻繁に行っており、Coopやワーホリの方が「ずっとカナダで仕事をしたい」と夢を語る人も多い。ではそれは可能なのか、といえば私はビザのコンサルではないので実務面の話はしない。ただ、確実に言えることは「そうしたい」という明白な目標を持つことだ。

 例えば先日面接した人は当地で看護師になりたいという。私がコメントしたのは「看護師に要求される英語レベルは相当高い。そのレベルに達しなくて泣く泣く帰国した人も多い。看護師が最終ゴールだとしてもまずはここの永住権を確保し、その間に英語のレベルを上げるといった段階を踏むプランを考えよ」と申し上げた。

 つまりどれだけの夢があったとしても飛べないほどのジャンプは誰も出来ないのだから刻むことも知恵の一つなのだ。しかし、永住希望者には割と無謀な夢を持つ人も多い。

 少し前に日本で定年退職されたご夫婦がカナダに移住して豆腐屋をやりたいと私のところに相談に来た。そもそもが飛躍しすぎている。個人経営の豆腐屋事業に英語も出来ないリタイアした方が退職金を突っ込むなど申し訳ないが「頑張って」と背中は押せない。その方は今、日本で意気揚々と豆腐屋をやっている。夢の実現にはフレキビリティを持たせることも重要であろう。

もう一つは「喰いつけ」ということを申し上げたい

 私の友人に30代半ばにしてカナダの巨大企業の主要部門の上級部長クラスになっている人がいる。彼女は日本の大学卒業後、就職をせず、まっすぐ当地に来た。CPAなどを取り、完全非日本語環境でがむしゃらに頑張った。話を聞けば聞くほど「凄い!」としか言いようがないキャリアだ。しかもそれは彼女が大学卒業後に自分の努力で勝ち取ったものだ。

 カナダに来て将来を悩んでいる人は多いだろう。そんな皆さんに一言、エールを送る。「買わない宝くじは絶対に当たらない。同様に挑戦せずして成功もない。限界まで努力せよ、ぶつかってもめげないでそのハードルを乗り越える。それは心地よいストレスになるはずだ」と。

 その挑戦は必ずや皆さんの人生のよき想い出になると確信している。健闘を祈る!