【数字で見る】みんな気になる恋の話!カナダの恋愛・ 結婚事情に迫る|特集「TORJA創刊150号」|数字で見るシリーズ

【数字で見る】みんな気になる恋の話!カナダの恋愛・ 結婚事情に迫る|特集「TORJA創刊150号」|数字で見るシリーズ

みんな大好き恋愛の話。多様性にあふれるカナダだからこそ、恋愛の仕方、結婚の考え方なども多様なものがあるのではないだろうか。アプリを使った出会いがトレンドである昨今、カナダのオンラインデート事情や結婚、コモンロー制度などについて数字を通して見ていこう。

#01. 3人に1人がオンラインデートを利用

オンラインデートのサイトであるeharmonyによると、カナダでは36%の人がオンラインデート(アプリやサイトを通したもの)を利用しているとのこと(2021年のデータより)。

データは18~34歳までを対象にしており、実に3人に1人がオンラインで出会いを見つけようとしていることになる。実際、現在交際している人の20%はオンラインでの出会いからスタートしたとデータは示している。

恋愛の相手との出会いで最も一般的なのは、やはり共通の友人などを通しての出会いだが(既婚カップルの63%がこの方法で出会ったと回答)、例えばバーやクラブで出会ったという人は女性では9%、男性では2%という統計もあり、オンラインを通した恋愛がいかに一般化してきているかがわかるだろう。

マッチングアプリなどオンラインを利用することのメリットは、自分と共通点のある人、好みの外見の人を簡単に見つけられ、選ぶことができることだと言えよう。アプリ利用者の64%が共通の趣味や生活習慣などがあるかどうかを重視すると回答しており、49%は顔や体などを見て相手を探すと答えている。

#02. アプリ利用者男性 52.4% 女性 47.6%

かなり主流となりつつあるマッチングアプリだが、ユーザーの男女比率はどうなっているのだろうか。オンラインデートサイトのeharmonyによると、男性利用者は52.4%で、女性利用者は47.6%。若干男性の方が利用者は多いものの、ほぼ同じ割合で男性と女性がアプリの中に存在していることがわかる。理想の相手に出会う確率は男女でそう大差ないと言えるだろう。

理想とする相手とマッチするため、ユーザーたちは必死のようだ。同社のデータによると、マッチングアプリ利用者の53%はプロフィールで嘘をつくと回答。例えば年齢、身長、体重、さらには仕事や収入にいたるまで実際よりも少し誇張したものを表示させる人もいるようだ。また、世界的な調査機関Opinionmattersの調査によると、女性の20%は今よりも若くて痩せていた時の写真をプロフィールに使っていると回答し、男性の40%以上は成功しているように見せるため仕事に関して嘘をついたことがあると回答している。最初はうまくいってもいずれ嘘がバレてしまうことになるかもしれないので、嘘もほどほどにした方が良さそうだ。

#03. アプリに使う費用、5年前の約2倍に

Statistaによると、カナダに住む人がマッチングアプリにかけるお金(総計)は年々増えている。2017年には総計3301万USドルだったものが、2023年には5991万USドルとほぼ2倍に増加。コロナ禍で外出が制限される中、オンラインでの出会いを求めることが一般化したという事情も背景にありそうだ。

アプリに支払う額はアプリによって異なり、例えば有名どころでいうとTinderは基本的に無料で使うことはできるものの、月約14ドル以上支払えば無制限に「Like(気になる相手に意思表示ができる機能)」を送る機能などを使うことができる。
Hingeは月約10ドル以上、Bumbleは月約17ドル以上を払うことで、無料プランよりも相手とマッチしやすい機能を使うことができるようになる。

ユーザーがある程度の額を出すことによって、より自分の求める人に出会う確率が高くなったり、自分をアピールすることにも繋がるのはメリットだ。

ちなみにTinderは月499ドルのサブスクリプションもあり、ユーザーは検索やより効率的なマッチングが可能になると同社は発表している。

#04. 42%が初デートはカフェ

スターバックスカナダの調査によると、カナダ人の42%が初デートの場所としてカフェやコーヒーショップを選んでいるということがわかった。

2023年に発表したデータによると、回答者のうち78%は、コーヒーショップはカジュアルで快適な空間であり、相手を知るために最適な場所だという理由を挙げている。さらに28%の人は、アルコールがないことが理由ともしている。

また、Z世代といった若い世代の人たちは、負担が少ないという理由からカフェを選ぶ傾向にあるという。

コーヒーを好むカナダ人らしく、やはり記念となる初デートは馴染みのあるカフェやコーヒーショップで過ごしたいという人が多いのかもしれない。

#05. 平均34.8歳で結婚が一般的
2019年は35.3歳 / 1968年は25.6歳

カナダでも晩婚化は進んでいるようだ。Statistics Canadaが2022年に公表したデータによると、2020年(最新データ)の平均初婚年齢は34.8歳。その前年の2019年には35.3歳を記録している。約40年前の1968年に25.6歳だったということを考えると結婚年齢は時代が変わるにつれて高くなり、20代よりも30代で結婚することを選択する人が増えていることがわかる。主な理由の1つには、内縁関係であるコモンローが一般化したからではないかとも考えられている。

カナダ全体でこの傾向は見られるが、地域差も激しい。例えば平均初婚年齢が最も低いのはマニトバ州で29.9歳。反対に最も高いのはケベック州の35.3歳で、マニトバ州とは5歳以上の差が見られる。このデータは2016~2020年の平均から割り出したものだが、その20年以上前である1991~1995年の平均を見てみると、興味深いことに全ての州で大きな違いは見られていない。2021年の国勢調査によると、ケベック州はコモンローによる内縁カップルが最も多い地域であるとわかっていて、これがケベック州の平均初婚年齢を上げている要因だと言えるだろう。ちなみにオンタリオ州は、2016~2020年の平均が31歳とカナダ国内では比較的若く結婚するカップルが多いようだ。

#06. カナダの結婚カップル44% 独身者数は増加傾向⬆

カナダ人の結婚、または独身の割合はどのくらいなのだろうか。2021年の国勢調査によると、個人世帯に住む15歳以上の14.5%が一人暮らしだった。前回16年の国勢調査では13.9%だったことから、独身率は微増したことになる。カナダ国内での結婚している人の割合は44.3%、コモンローの下で内縁関係にある人は12.6%、個人世帯やそれ以外の世帯などを含めたシングルの割合は29.1%、そして離婚や死別などを経験した人は14%だ。人口の56.9%は結婚、もしくはコモンローの関係にあることがわかる。トロントでは、婚姻関係にあるカップルは約48万4000組であり、そのうち53.9%に子どもがいる。子育て世帯は2016年には55.8%であり、子どもを育てるカップルの数は減少傾向にあることがわかる。

一方の独身者の数はというと、Statistics Canadaのデータによるとカナダ国内では年々一定数増え続けている。最新データである2022年は男性967万人、女性860万人がシングルであり、2021年に男女ともに少しだけ減少したものの、平均して1年に10万人ずつ独身者の割合が増えている現状がある。

#07. 9万人以上の同性カップル半数は婚姻関係

– 2006年~2016年同性カップル数60.7%増⬆
– トロントGTAエリア・全体カップルの1.5%が同性カップル・半数が結婚関係にある

カナダにおける結婚とは、男性と女性に限った話だけではない。2021年の国勢調査によると、2018年時点でおよそ100万人(人口の4%)のLGBTQ2+の人がカナダで暮らしている。結婚に注目して見てみると、9万5435人が同性カップル、3万2205人がトランスジェンダーまたはノンバイナリーカップルであることがわかった。2005年に世界で4番目に同性婚を合法化したカナダ。その結果として、同性カップルの数は2006年から2016年で60.7%も増加した。時が経つにつれて同性カップル、同性婚に対する認識が変わってきたということだろう。ちなみに異性との結婚率は9.6%の増加にとどまっており、カナダでいかに同性婚カップルが多くなっているのかがわかる数字だ。

2021年の国勢調査は、生まれた時の性別に加えたジェンダーに関する質問を初めて追加し、性の多様性に考慮したデータを公表している。トロントGTAエリアでは、全体のカップルの1.5%にあたる2万1505人が同性カップルであることがわかっており、およそ半数の47.8%が結婚していて、残り52.2%がコモンローの関係にある。2016年のデータにはなってしまうが、全体の同性カップルの12%は子育てしているという。

#08. 32%のカップルが婚約・結婚式を延期

晩婚化やコモンローカップルが増える中、そもそも終わりの見えない物価高の波や経済的な負担から、結婚することや子どもを持つことを諦める人が増えているようだ。

オンラインデートのサイトであるeharmonyが発表したデータによると、カナダ人は結婚と子どもについて「迫り来る不況の脅威」を考慮して決断を下しているという。約17%のカップルが婚約自体を延期したり、15%のカップルは結婚式を延期せざるを得ない状況になったと回答。住宅や車など生活に関わるものの値段が急激に高騰している中、結婚という段階に進むことが難しいカップルが増えている。

また、子どもについてはZ世代(1990年半ばから2010年初めに生まれた世代)やミレニアル世代(1980年代~90年代半ばに生まれた世代)の半数以上が子どもを持つことに前向きだということが調査によって明らかになったが、独身であるカナダ人の50%は経済的な障壁から将来的に子どもを望まないと回答した。

“幸せだ”と考えられていた結婚と子育てが、今の世代には“幸せではない“要素になってしまっているようだ。

#09. コモンローを選ぶカップルの割合、G7で1位

婚姻関係を結んでいなくても、法的なカップルとして認められているコモンロー(事実婚、内縁関係)。カナダはG7(カナダ、イギリス、アメリカ、日本、イタリア、フランス、ドイツ)の中で、コモンロー関係にある人の割合が最も高い。Statistics Canadaによると、カップルのうちコモンロー関係にあるのは23%でG7中1位。ちなみに、世界1位はG7には含まれていないスウェーデンの33%だ。トロントGTAエリアに絞って見てみると、2021年の国勢調査によるとコモンロー関係にあるカップルは2万2255人。前回2016年の国勢調査より13.1%増加しており、結婚という形を取らなくても内縁関係で問題ないという整った制度のために、内縁関係を選ぶ人を増やしている要因の1つと考えられるだろう。

また、内縁関係にあるカップルのうち子どもがいる家庭は50%。2016年の51.1%より若干減少した。Statistics Canadaがデータを集め始めた1981年には64%だったことを考えると、子どもを持たないという選択肢を取るカップルがかなり増えていることは明らかだ。専門家によると、コモンローを選択する人の年齢も高齢化しており、子どもを育てることに積極的ではないことが原因の1つではないかとされている。

#10. 25%はオープンリレーションシップに関心あり

Abrus Dataによると、恋愛に関する調査が行われた2022年当時交際中のカナダ人のおよそ3分の2(65%)は、パンデミック以降、結婚や婚約、新しい交際のスタート、離婚など何かしらの変化があったと回答している。

最近では「セカンドパートナー」というような、本命のパートナーとは別に恋愛関係にあるパートナーを持つ人も増えていることも知られている。

Abrus Dataの調査でも、一夫多妻制ではない関係やオープンリレーションシップ(本命の相手がいる状態で、お互いが他の相手と関係を持つことを容認する関係)を検討しているかという質問に対し、10%が「はい」、18%が「多分」と答えている。

ブリティッシュコロンビア大学が2019年に18~94歳までの2000人を対象に行った調査によると、10人に1人がオープンリレーションシップを望んでいることが明らかになった。

これは5年前の調査ではあるが、2022年のAbrus Dataではおよそ4分の1の人(28%)がオープンリレーションシップを検討していることを踏まえると、年々新しい形の恋愛に寛容な世の中になってきているのかもしれないと言うことができるだろう。多様な形の愛の形があっても容認される、それが現代の恋愛の特徴の1つのようだ。