【数字で見る】新しい年には何がある?2024年注目の数字はこれだ!|2024年新年号特集

【数字で見る】新しい年には何がある?2024年注目の数字はこれだ!|2024年新年号特集

待ちに待った2024年。新年を迎え、気持ちを新たにカナダで新しい挑戦をする人、カナダでの生活を始めようと思っている人などさまざまだろう。年が変われば、国の政策も経済も環境も一緒に変化するものだ。今年はカナダにとって、そして私たちにとってどんな1年になるのだろうか。いくつかの項目について、それぞれの数字に注目して見ていこう。

1. 移民目標数 48万5000人

読者の中にはカナダでの永住を目指している人も多いはず。移民大国カナダだが、2024年に目標としている新規移民数は48万5000人で、過去最多の移民数となった2022年の43万人(2023年のデータ未集計)よりさらに多い水準を目指していることがわかる。

カナダ政府が昨年11月に公表したImmigration Levels Planでは、2024~2026年の移民受け入れ計画を詳細に明かしている。この計画によると、政府としては現状維持で移民を相当数受け入れるとしている。内訳としては、エコノミッククラスと呼ばれる職歴や学歴、英語力などを考慮した上での移民カテゴリーが全体の58%にあたる28万1135人、カナダ人や移民の家族として申請するカテゴリーでは11万4000人(全体の24%)、そして難民や人道的理由などから受け入れる移民は8万9865人(全体の19%)となっている。気になるエクスプレスエントリーに絞ってみてみると、目標として11万700人を掲げている。

政府としては医療、技術、貿易、農業など特定部門での移民を増やすことで経済成長を支える意図がやはり大きいと言えよう。2025年、2026年の移民受け入れ目標数を見てみても、今後のカナダは毎年約50万人の移民を安定的に受け入れる準備が整っていて、それだけの移民チャンスが移民を目指す外国人にはあると考えることもできる。

2. 学生ビザ残高証明 2万635ドル以上

留学先としても人気のカナダ。先日、学生ビザ申請に関して大きな変更点が発表された。2024年1月1日以降、学生ビザを申請する際には申請者1人につき初年度の授業料+渡航費に加え、2万635ドル以上の残高証明が必要になるとのこと。この額は過去20年で変更はなく、2023年までは最低でも年間1万ドルが必要とされていた。しかし、物価上昇の激しいカナダにおいて、年間1万ドルでは後日資金が不足してしまう学生も多いということから、2024年からは低所得基準の75%に相当する金額の残高証明を持っているということを証明しないと、学生ビザが申請できなというふうに変わった経緯がある。これまでより2倍の残高が必要になったとうことで、かなり金銭的に余裕がないと厳しいかもしれない。

学生ビザに関しては、2022年11月15日~2023年12月31日の間は週20時間の労働許可が時間に制限なく働けるよう一時的な措置がとられていたが、この措置も2024年4月30日まで延長されることが発表されている。すでにカナダに滞在している留学生や2023年12月7日時点で学生ビザの申請書を提出している申請者に限ったものではあるが、将来的には学生ビザにおける労働時間数を週30時間に引き伸ばす検討もしており、学生にとっては金銭面で非常に助かるだろう。

3. カナダ人1人目!宇宙飛行士が月周回飛行へ

2024年11月、ついに初のカナダ人を乗せた月周回飛行が実現することになる予定だ。米航空宇宙局(NASA)とカナダ宇宙局(CSA)は、半世紀以上ぶりとなる月面探査計画「アルテミスプロジェクト」の2段階任務を遂行する宇宙飛行士4人を発表していたが、そのうちの1人がカナダ人のジェレミー・ハンセンさん(47)だ。ジェレミーさんはカナダ陸軍大佐で、カナダ人として初めて月に向かうことになっている。彼らのミッションは、月軌道を回って地球に帰ってくることで、任務期間は約10日を予定している。人類が月まで“旅行”したのは、1972年のアポロ計画が最後である。今回このミッションが成功すれば、カナダとアメリカは月の裏側に行った唯一2つの国として歴史に記録されることになる。今回の宇宙飛行士の中には、月の軌道を飛行する初の女性宇宙飛行士、初の黒人宇宙飛行士も選ばれており、「最もダイバーシティのある月へのミッション」(科学専門誌)とも言われている。

4.食品の物価上昇2.5~4.5%予想

カナダでは、日々食品の価格が上がってきているのをよく実感する。実際、2023年には2022年よりも5.9%物価が上がったというデータがある。このトレンドは2024年にも続くとみられているものの、物価上昇率は少し緩やかになるという見方が強い。

カナダの研究者などによって毎年公表されている食品価格報告書(Food Price Report)によると、全体的に食に関わる物価は2.5~4.5%上昇する可能性が高いとみられているものの、昨年の上昇率予想(5~7%)と比べると低くなるという。より細かく内訳を見ていくと、最も上昇率が高いと考えられているのはベーカリーと肉類と野菜で5~7%、次いで海鮮物とレストランの3~5%、そして乳製品とフルーツもそれぞれ1~3%上昇すると予想されている。実際2023年にはベーカリー8%、野菜7.6%などかなり急激に物価上昇が起こったため、今年もある程度の覚悟は必要だ。報告書の中では、2024年の4人家族の平均的な食費は1万6297ドルと2023年より最大702ドル増える可能性があると予想されている。しかし専門家の1人は、2024年の食品価格はわりかし落ち着いたものになるだろうと話していて、もしこれが本当であれば昨年より少しだけ家計への圧迫感は少なく感じられるかもしれない。

5. 住宅価格10%⬇ 住宅販売10%⬆

食にかかるコストも税金もなにもかも上がり続けているカナダだが、今年は住宅価格が下がるだろうというニュースが飛び込んできた。予想したのはカナダのTDバンク。2024年には住宅価格が10%下がるだろうと発表した。これは、ブリティッシュコロンビア州とオンタリオ州の不動産市場が従来の予測よりも大幅に緩和されたことを受けての予想とのこと。例えばオンタリオ州では2023年5月の販売比率は63%だったが、10月には39%に急落。急激な供給増によって販売減が長期化していると考えられる。

また、不動産ブローカーのRe/Maxによると、2024年のGTA地域での住宅価格は3%下落するとみられている。2023年に平均販売価格が5.9%下がっており、そういった背景を考慮しての下落予想だという。一方で、住宅販売自体は10%以上増加するとも言われていて、マーケット競争が激しくなる可能性が示唆されている。トロント地域で住宅を購入するなら最低100万ドルは必要だと言われる昨今だが、2024年は購入のチャンスが巡ってくるかもしれない。

6. GDP成長率0.9%

その国の経済状況を考える時、GDP(国内総生産)というのは1つの大きな指標となる。2020年のパンデミック時にマイナス5%の成長率を記録してしまったカナダだが、2021年には5%に上昇(The World Bankのデータによる)。しかし、昨今も経済が停滞しているといわれているカナダ。2022年には3.4%、2023年には1.1%という非常に低い伸びを見せるにとどまった。

そして2024年はそれ以上に低い成長率を見せるだろうと予想されており、なんと0.9%という見方がされている。

全世界的にGDP成長率が減速するとみられているのは事実だが(中国経済の低迷などで2024年の世界予想は2.7%)、カナダ国内でGDPが1%を切るのは、2020年を除けば2015年の0.7%以来9年ぶりだ。

山火事などの自然災害による損害、労働者によるストライキなどの一過性のもの以外にも、インフラの影響、雇用が鈍化したための高い失業率(2009年以来最大)などさまざまな要因から、カナダ経済は緩やかに景気後退の流れに入ってしまったと考えられるだろう。

7. TTC以外でも$3.3で移動可能に?!

ちょっとした朗報がTTCから届いた。トロント市内でのみ運行しているTTCだが、GTAエリアでの乗り換え時に二重料金が発生しないようOne-Fareプログラムへの参加を前向きに検討中というのだ。一度トロントを出てマーカムやミシサガのようなGTA地域に出て乗り換えてしまうと、乗り換え2時間運賃無料の区域外になってしまうため、TTCの一般運賃$3.3に加えてその交通機関の運賃をプラスで支払う必要がある(例えばヨーク地区を走るYRTに乗り換える場合、YRTの料金$3.88がかかる)。

TTCが考えているのは、TTCとGOトランジット、または他の交通機関を利用する場合、乗り換え時の運賃を支払うことなく2時間の乗り換えを利用できるようにするというものだ。早ければ2024年初頭にも開始されるというOne-Fareプログラム。これにより、GTAにも気軽に足を運ぶことができるようになるだろう。

8. 成田−カナダ西部の直行便週3

カナダと日本を結ぶ飛行機の路線が2024年には大幅に増えることが決定している。トロントに住む人にとっては直接的に関係するニュースというわけではないかもしれないが、成田空港とバンクーバーを結ぶ路線が新しく誕生する。日本航空傘下のLCC(格安航空会社)であるZIPAIR Tokyoは、3月から週3で成田−バンクーバーで運行を始め、最終的にはデイリー便(週7日)の運行を目標としている。日本国内のLCCが日本とカナダを結ぶ路線に就航するのは初めてということで、カナダへ来る留学生、労働者、永住者などの数が増える中では非常に嬉しいニュースとなった。

また、2023年にウエストジェットの初アジア路線として成田−カルガリーを結んだ路線について、現在は冬季運休入りしているが、2024年4月3日から運行便数を拡大して再開することが決定している。こちらも週3で運航しつつ、デイリー便を目指している。カナダと日本の距離が近づくのは良いところだが、この勢いのままトロント−日本の直行便も増えるよう願いたい(現在はANAとエアカナダにデイリー便あり)。

9. プライムレート4.5%に引き下げの可能性

物価が上がる中、金利上昇もカナダではホットな話題の1つだろう。Bank of Canadaのオーバーナイトレート(無担保コールレート、金融機関同士が1日で満期を迎える超短期の資金調達や資金供給を担保を預けず行う取引)とプライムレート(銀行が企業に貸し出す際の最も優遇された貸出金利)の2010~2023年のデータを分析してみると、2010年から2021年まではいずれの金利にも大きな差はなく、ある程度安定したレートを保っていたことがわかる。

しかし2022年以降プライムレートがそれまでの約2倍である4.2%にまで上がったことからオーバーナイトレートも1%前後だったものが一気に2%にまで上昇。2023年の平均はプライムレートが7%、オーバーナイトレートは約4.7%とここ20年で最高レベルに達している。

2023年6月にはプライムレートが7.2%に達してそれを維持しているBank of Canadaだが、2024年には金利が引き下がるとの見方が濃厚で、年末までには4.5%まで下がると考えられている。現在カナダ経済はあまり良くない状態にあるとみられているが、金利が下がることで少しずつ景気を上向かせる方向に進むことが望まれる。

10. 車の保険料20%⬇可能に?

車を購入したら、必ず保険には入らないといけないもの。毎年上がり続け2023年には月平均1500ドル以上かかると言われている自動車保険だが、オンタリオ州ではその保険料を下げることができる措置が2024年1月から始まった。オンタリオ州で登録している車両は全て自動車保険への加入が義務付けられていて、「強制保険」とそれ以外の「任意保険」にわけられる。強制保険には4つあるが、そのうちの1つ「無過失保険(Direct Compensation Property Demage)」について任意保険としてオプション制にするようルールが変更された。

もともとこの無過失保険は、交通事故で受けた車のダメージを修理するのに、加害者に対して賠償を請求せずに自分の保険会社に対して請求するもの。この保険への加入義務がなくなることで、自動車保有者らは現在の保険料の10~20%(年間数百ドル)は節約できるだろうと専門家らは考えている。しかしデメリットとしては、万が一事故が起きたとして、どんなに自分に過失がなかったとしても被った損失は保証されない。保険料を下げるか万一に備えるか。個人の選択に任される。