「3年後はどうなっているかわからない。人生は本当に予測不能。」高橋 有加さん ライター・カナダ歴1年半|私のターニングポイント第17回

人生でまさか海外で暮らすことになるとは思ってもいなかったという高橋さん。東京でフルタイムの仕事や子育てに励むものの離婚し、シングルマザーとして故郷宮崎に戻る。のちに再婚することになったご主人は出会った時にはカナダ行きが決まっており、高橋さんは子どもを連れて30年間想像したこともなかった海外生活に飛び込んでいくことになったという。

人生は一回きり

 専門学校を卒業後、日本の病院で理学療法士として約12年働いていました。二人の娘を出産後も産休・育休を経て、当たり前に理学療法士として病院へ職場復帰し、フルタイムで働いていました。

 シングルマザーとして地元・宮﨑で仕事を続けていた時に、後に結婚する夫と出会いました。出会った頃には、彼は仕事でカナダ行きが決まっていたのですが、なんとなく直感で“人生は一回しか無い。子供たちにもすごい経験させてあげられるかもしれない”と思い、迷わずカナダ行きを決めました。ベタかもしれませんが、本当に“人生は一回きり”だと思いました。なんの迷いもありませんでした。

成田空港にて
成田空港にて

 驚いたのは実家の両親や友人たちです。「一体何周先に行くつもり?」と友達に言われたこともありました。カナダに移住することは私の中で全くの想定外でしたが、でも、なんだかやれる気がする、やってみないとわからない、やるならとことんやってみよう、という謎に根拠のない自信で溢れていました。

 両親からは、不思議と一度も反対されませんでした。むしろ反対する人たちを説得してくれました。本当は反対したかったかもしれないのに、私たちのことを一番に考えてくれた両親には感謝の気持ちでいっぱいです。

トリニティ・ベルウッズの桜を見に
トリニティ・ベルウッズの桜を見に

友人の輪に馴染めない中学時代
子供たちを一人で育てていくと決めた時

 人生の“どん底”は、今思えばいくつか挙げられますが、いつも「今が一番しんどい」と思っていました。最初のどん底は中学生の時。友人の輪に馴染めなくて休み時間に一人で過ごす時間が本当に苦痛な時期もありました。次のどん底は子供たちを一人で育てていくと決めた時。とにかく自分を奮い立たせないとすぐ壊れそうな精神状態だったので、気合いで生きていました。

カナダでの言葉の壁

 そして、カナダに来てもどん底を味わいました。言葉の壁、そして自分の無力さです。今はもちろんどん底ではありませんが、まだまだ底から上がりきれているとは思っていません。

 でも振り返れば、過去の「今が一番しんどい」と思うことを、全部乗り越えてきているから今があるんだと思います。きっと、今苦しいこともこの先乗り越えられると思っています。

最も必要で最も欠けていたことに気づく

 本当に片言レベルでカナダに移住しました。勢いだけはあったものの、いざカナダに来てみると自分の出来なさっぷりに何度も心が折れました。本当に何をするのも嫌で、誰とも喋りたくない日もありました。

家族で雪だるま作り
家族で雪だるま作り

 そんな時に、いつも夫が背中を押してくれて、「もっとアグレッシブに行かないと」と言われながら学校のことも手続き関係のことも全部を任され、やや強引にやらざるを得ない状況に追い込まれました。その時は「なんでそんなこと言うの?」と腹を立てたりしたこともありましたが、カナダでの生活に慣れてくると、私にとってそれは最も必要で最も欠けていたことだったんだと、気づくことができました。

■ いまの自分に点数をつけるとしたら?

30点 カナダに移住したばかりの頃と比べると、英語やアグレッシブさなど、ずいぶん克服できつつあると思います。点数にするのは難しいですが、それでも今の自分に満足できているわけではないので、これからの自分の伸び代に期待して30点です。

■ もし人生をやり直せるとしたら、いつ?

 やり直さなくていいと思います。その時その時で自分にできるベストな選択を選んできた、と自信を持って言えます。

■ 人生で大切なことは?

 楽しくて毎日が充実している時も、これは踏ん張らないといけないぞ、という時も「これを乗り越えれば経験値が上がって成長する」と捉えるようにしています。
 辛かったり、しんどい時もありますが、乗り越えて得られるものは絶対自分の糧になると思います。

■ 学生時代のエピソード

 どちらかというと、受身で集団の中にいても聞き役になることが多い学生時代でした。よく言えば聞き上手、悪く言えば自分の意見をあまり言わない。でも熱が入ると誰よりも喋るタイプでした。中学ではバスケットボール部のキャプテンも務めていました。ただ、元々周りをグイグイ引っ張るタイプではない人間なので、人の上に立つことは苦手だと、その時はっきり痛感しました。裏方でサポートする仕事が性に合っていると思います。

■ 将来の夢・ライフプラン

 田舎で好きなことをしながら自然に囲まれて暮らしたいです。

-座右の銘: 神様は乗り越えられる試練しか与えない
-好きな本: 本はほとんど読みません。
-尊敬する人: 夫:海外に連れ出して凝り固まった私を変えてくれた人です。
両親・義母:いつも見守ってくれていて、愛情を感じています。私の道標です。
-感謝している人と一言メッセージ: 九州にいる家族。遠く離れていると感じないほど繋がっていると感じています。いつも応援してくれて、支えてくれてありがとう。
-カナダの好きなところ: 自分の意見をしっかり発信しつつ、人への配慮ができる人が多いような気がします。人の目も気にならないし、住んでいて楽なので好きです。