「世界初よさこいアンバサダーに認定。カナダで踊っていたよさこいが世界のよさこいへ」 田中恵美子さん(カナダ滞在歴14年)|私のターニングポイント第9回

 オーストラリアに語学留学をした後、日本語教師の資格を取りカナダに渡り、現在はトロント市内で語学学校を経営しながらよさこいを世界に広める活動をしている田中さん。本場高知でよさこいの魅力に触れ、その素晴らしさを世界中に広め、人々を笑顔にしたい。国際チームを立ち上げよさこい祭りに参加すると心に誓ったという。

よさこいがあれば言語など国の壁を越えて世界中の人々と交流できる

 2006年名古屋でよさこいを始め、2007年カナダへ移住し、2011年にヒンクルゆりかさんと「桜舞トロント」を立ち上げました。2012年仕事でポーランドへ渡り、「桜舞ポーランド」を立ち上げ、ポーランドでは安倍前首相夫人が訪問された際の式典で演舞を行う等、よさこいが広がりました。

 2016年、高知県庁から“よさこいアンバサダーに桜舞ポーランドを認定したい。高知へ来てほしい。”とご連絡をいただき高知に行きました。1954年から続く「よさこい祭り」。海外で踊っていた私にとって本場高知でよさこい祭りに参加し様々な角度から体験させていただいたことは人生を大きく変える一歩となりました。

 町が一体となるこんな熱いお祭りがあることに感動し涙が止まりませんでした。

 国際チームを立ち上げるため、まず「カナダよさこい連・奏楓-KAEDE-」と「桜舞ポーランド国際チーム」を立ち上げ、世界12か国の63名の踊り子と2018年よさこい祭りに参加することができました。海外の国際チームがよさこい祭りに参加することは史上初でドキュメンタリー番組が制作されるほど大きな反響を呼びました。

 2019年には「高知県よさこいアンバサダー絆国際チーム」と改名し、世界18か国の100名の踊り子と、よさこい祭り、原宿表参道元氣祭りスーパーよさこいに参加しました。そして、高知県出身のコンテンポラリーダンサー瀬川貴子さんが代表を務める『カナダよさこい連・奏楓-KAEDE-オタワ支部』を立ち上げ、その活動は広がりを見せ、この度、日本大使館が制作したオリンピック関連ウエブサイトで紹介していただきました。

 2020年はパンデミックの影響で、よさこい祭りが中止となりましたが“コロナ禍で疲弊した人々をよさこいで笑顔にしたい!”という想いで、振付師7名と「よさこい8」を立ち上げ『HEY∞WA!』という作品を作りました。『HEY∞WA!』は世界中へ広がりつつあります。

やりたいことを多くの方に伝えていくこと、自分や仲間を信じて諦めずに進んで行くこと

 海外でのチーム運営は資金面など大きな壁があります。そんな私たちを救ってくださったのは高知県の皆様のあたたかさとよさこいへの愛でした。

 2016年、高知で老舗チーム「帯屋町筋」さんとお話した際に、ポーランドと日本の経済格差からチーム運営の難しさについてお話したところ「それなら私たちの曲を踊ればいいよ」とおっしゃって下さったことで交流が始まり、ポーランドの日本祭りで「帯屋町筋」さんの作品を披露しました。

 2018年には、「桜舞ポーランド国際チーム」がよさこい祭りに参加する際には、私の新聞記事に興味を持って下さった地元の大工・溝渕大記さんがお力を貸してくださいました。よさこい祭りに自分のチームで参加するのは初めてでしたが、高知の皆様のお力添えのおかげで実現しました。

代表が誰よりも努力すること

 国際チームの立ち上げは容易ではなく、時差や言語の違いなど苦労が絶えません。

 例えば、クラウドファンディングキャンペーンを3回行い、全て目標金額を達成しました。周りの方にご支援をしていただくためには、私自身が誰よりも努力する必要があり、頼りになる仲間を作ること、家族の理解を得ることが大事だと私は思います。

 今年は8月に高知で開催される「2021よさこい鳴子踊り特別演舞」に参加します。

 生き辛い日々は続きますが、少しでも多くの方によさこいで笑顔になっていただける様この活動を続けて行きたいです。

■ いまの自分に点数をつけるとしたら?

80点 たくさんの方々のお力を借りて、世界によさこいを広めることができているので。ただこれからできることは山ほどありますので、20点を残りの人生で埋めていきたいです。

■ もし人生をやり直せるとしたら、いつ?

 家族が経済難で苦しい時期があったり、大事な人を亡くしたりと色んなことがあった人生でしたが、それがあったからこそ今の自分があると思いますし、人生をやり直したいと思ったことはありません。

■ 社会人になってからのエピソード

 人見知りで団体行動が苦手でしたが、そんな私が変わったのは、知人を訪ねてロンドン旅行をしたことです。世界の大きさを実感し、英語を話したいと思うようになり、オーストラリアで英語を勉強し日本語教師になりました。

■ 人生で大切なことは?

 自分を信じ諦めずに進むこと。諦めず進んだことで今の自分があるからです。そして出会った方々を大事にし、助け合うことで、未来が開けて行くと信じています。

■ 将来の夢・ライフプラン

 人生をかけてよさこいを世界に広げ、世界中の人々がよさこいで少しでも笑顔になってくれたらと思います。カナダ、または世界のどこかでよさこい祭りを開催するのが私の夢です。そして、よさこいを生み出してくれた高知に恩返しがしたいです。

 今は高知県観光特使も務めていますので、よさこいだけじゃなく高知県の素晴らしさを世界中に広めて行きたいです。

-座右の銘: 諦めず信じて努力すれば叶わない夢はない
-好きな本: 『ダンス・ダンス・ダンス』『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』『ムーンライト・シャドウ』
-尊敬する人:思いやりを持って真摯に人や物事に向き合える人
-感謝している人と一言メッセージ: 世界中のよさこいに関わる方々。パンデミックで生き辛い日々が続きますが、こうして諦めず生きてこられたのは皆さまのおかげです。ありがとうございます!
-カナダの好きなところ: 世界中の文化を認め尊重し合えるところ