日本の漫画や関連コンテンツがカナダでウケる理由〜本屋さんのビジネスにみる漫画・アニメコンテンツ

日本の漫画や関連コンテンツがカナダでウケる理由〜本屋さんのビジネスにみる漫画・アニメコンテンツ

 秋の夜長といえば、漫画も欠かすことができない魅力的なコンテンツだ。昨今は日本の人気漫画やアニメは、海外でも人気で、ここカナダでも多くのファンを虜にしている。
 店長・堀内雅樹さんにお話を伺った。

J-Townにある本屋「BlueTree Books」の店長であり商品の仕入れを担当している堀内さんはこんな人

 日本では法人用不動産の仲介を行っていたという。クライアントは、各業界の重役ということもあり、不動産屋は物知りで全ての方と話ができるよう知識をつけるよう指導を受けていたこともあり、様々なことに常日頃から興味を持つよう心がけているという。前職の感覚を役立てて、書店の仕入れも幅広いジャンルの中でどんなものがトレンドになっているのかというリサーチのもと、商品を選定している。

漫画売れ筋ベスト10

推しや自分が感情移入できるキャラが見つかりやすい

ベスト10に挙げた漫画のどのような点がカナダの消費者にうけているのでしょうか?

 これらの大部分の作品は、日本でアニメ化されており、オンラインで世界中に配信されているという点が大きいと思われます。この手の読者は若年層が多く、基本的には物語の設定は誰か悪者がいて倒しに行くという設定を担っていることが多く、分かりやすい点でも好まれる傾向にあります。

 また、アイドル同様に物語内の登場キャラが多いということで、推しや自分が感情移入できるキャラが見つかりやすいという意見もあります。作者を含めキャラの名前がユニークなのもこちらでウケている要因なのかもしれません。

 逆に人気のないコンテンツでいうと、恋愛ものは日本ほどは人気がないように感じます。やはりカナダと日本では恋愛の順番に対する概念などが根本的に違うというところで理解されにくいようです。もちろん、全員がそうというわけではないですが。

漫画やゲームが、アニメ・映画・ドラマ化されメディア露出されることにより、今まで関心のなかった方が原作を読み返すという動き

ビジネスの側面からお話を聞かせてください。仕入れでは、リサーチと分析、そして売れ筋を予想することによって取り扱い商品を選定されているとのことですが、具体的にどのような考え方なのか教えてください。

 先述のアニメ化の話に関連しますが、日本でアニメ化される作品というのは当然漫画やゲームなどでアニメ化される前にある程度人気があった作品ということになります。その際にアニメ・映画・ドラマにてメディア露出されることにより、今まで関心のなかった方が原作を読み返すという動きが起こりますので、そのタイミングに合わせてカナダや海外でも認知が始まり人気が出始めるように思われます。

 日本でアニメ化前の初動の人気を捉えているカナダの消費者はさほど多くないと思います。当然こちらでも日本の情報に敏感な方も多くなりましたが。

 売れる商品を選ぶという観点ではあまりマニアックすぎるわけにもいかないので、大衆化されている意味でも広くアニメ・映画化などされているということは一つの大きな参考になっています。

 他にも売れている漫画には自分が思ういくつか共通の物語設定の要素が存在しているので、仕入れる際は最低でもその中の2つ以上の要素が重なるものを選ぶようにしています。

例えば、「時代が未来」、「半分機械(ロボット)、「空飛ぶ車」など。

漫画のアート・原画集や設定資料集が人気

貴店には漫画以外にもさまざまな漫画・アニメグッズやブランドムックなどの日本関連コンテンツを求めて特にアジア人の方が多く訪れているように見受けられます。売れ筋やその背景を教えてください。

 書店ということもあり、取り扱い商品は本がメインではありますが、その中でも漫画のアート・原画集や設定資料集が人気です。その理由に関しては、関連グッズは全て集めたいという気持ちやカッコいいからなどのファン心理が挙げられると思います。

 また、少し複雑な気持ちではありますが、漫画はオンラインで見るけれど、画集はオンラインでは見れないからこれだけは実物を買わざるを得ないという状況も推測できます。美術館で○○展に行った際に実物は手に入らないけど記憶にも残したいという記念という意味にも近いかもしれません。

 雑誌に関しては毎月入荷していますが、ブランドブックも同じものが継続して発行されることはほぼないので、何が定番商品というのは存在しませんが、その中でも長く継続して取り扱っているのが売れ筋商品となっています。

今後はどのような商品を取り扱っていく予定ですか?

 現在力を入れ始めているのがコミックの特装品(漫画とは別に本にオマケがついてくるもの)になります。日本でも最近コミックにもオマケがついてくるようになっており、当然電子書籍にはついてこない特典なので差別化という意味でも今後は積極的に入荷していく予定です。

 同じような意味ではオマケ付雑誌やブランドブックも既に店頭に並んでいますが、そちらに関しても今後はより一層商品数を増やしたいと考えています。

 一方で、これらの商品は発売から数日で日本のオンラインストアでも売り切れとなります。ものによってはオンラインで販売されることなく売り切れてしまうケースもかなり多いです。人気の物はほとんどそうです。また、コミックに関しましてもそうですが、出版社がある程度発行数数を制限しているので、売り切れの物がかなり多く、欲しいものが欲しいときに買えるという市場にはなっていません。ですので、消費者の動きよりも少し早めに人気の出るものを予想し商品確保しておくというのが腕の見せ所となるような気がします。

最後に貴店の特徴などを教えてください。

 当店はJタウン内にて日本語書店を運営しています。99%以上日本語の書籍の商品ですが、ありがたいことに日本人の方、ローカルの方にもご利用いただいております。日本の書籍は店頭になくても市場流通しているものであれば1~2週間ほどで取り寄せることができます。

 また、本以外にも雑貨や日本の商品の輸入代行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。少人数にて運営しておりますが、その分フットワーク軽く、早くレスポンスさせていただくよう心がけております。限りあるスペースではありますが、皆様の関心のあるものを紹介していきますので今後ともよろしくお願いいたします。

Blue Tree Books

3160 Steeles Ave E, Markham(J-Town内)
905-415-0611
info@bluetreebooks.com
https://bluetreebooks.com/