イーライ・ロス監督が制作した ホラー映画『ホステル』石本真梨亜さん(岡山県出身・カナダ在住歴14年)|思い出の一作

 いつもと変わらない日常の中で何気なく観た映画、読んだ本、耳に入ってきた音楽、これらの作品たちもふりかえってみればいまの自分を創り上げてきたパーツの一部なのかもしれない。思い出の一作では、心に残っている作品、今まで生きてきた中で影響を受けた作品をカナダでさまざまなジャンルで活動されている日本人の方に紹介してもらう場所だ。

 今回は、バンクーバー在住で英語の発音矯正の講師をされていて、SNSでもクスッと笑える有益な情報をシェアされているまりあさんにお越しいただきました。

自分に合う英語勉強法をみつけるきっかけとなった作品

石本氏: 今でこそ英語を教えることを仕事にしている私ですが、実は高校卒業まで英語が全く出来なかったんです。18歳くらいのときに英語学習を本格的に始めたときはリスニングも難しかったので周りが使っているようなオーディオを使ってリスニング勉強してみたのですが、何を言っているのか分からないし、飽きてしまうことがありました。

 そんな時にホラー映画を克服するためにイーライ・ロス監督が制作したホラー映画『ホステル』を観ました。ホラー映画は比較的会話も少ないので英語字幕をつければ全体的に理解出来ることを知りました。例え会話が聞き取れなくてもある程度何が起こっているかは把握しやすいので飽きることなく私に合っていると思いました。そこからドラマや映画を英語で、英語字幕をつけて観るようになり、自分の英語力も上がっていったように思います。

感情を使った英語学習

石本氏:  特に、私は「楽しい」とか「怖い」という感情が入ってないとどうしても集中出来ないのですが、ホラー映画は勉強として観ていてもやっぱり怖いという感情が湧きますし、でも観たいという好奇心もあるので退屈しづらいと思います。それに、感情とともにインプットされた情報は忘れにくいので英語も覚えやすいという利点があると思います。その当時、18、19だったのもあって汚い言葉を覚えたいという願望もあってホラー作品には結構汚い言葉が出てくるのでそれをモノマネして身につけたりしていました。(笑)

英語講師になったいまも影響していること

石本氏: 英語を教えている身なので英語の勉強をしていないとどうしても罪悪感を感じてしまうことがあるのですが、ドラマなどをただ観るだけだと既知の単語がほとんどなので新しい発見などもなくただ楽しいだけになりがちなんです。なので、自分に負荷を掛けるために映画やドラマよりも難しい単語が出てくる洋書を読むようにしています。でも、普通の本だと気分がのらないと読み進めるのが億劫なときもあるんですよね。それが、読書に対して気が進まないなと思っても1回開くとどんどん読めてしまうのがホラーなんです。なので、ホラーは英語勉強し始めた当時はリスニング、今はリーディング勉強に役立っていると思います。

 それと、怖い作品というのは性格の悪い人が出てきがちなんです。現実では性格が極悪な人に会うのってなかなか珍しいと思うのですがホラー作品には頻出するのでそこから性格の悪い人は、何を言うのか、どんな考え方をしているのかをインプットして自分が仕事で使う教材作りにも反映させています。

コメディとホラーの要素が散りばめられた教材

ーお笑いもお好きだというまりあさんがシェアされている表現紹介の例文もクスッと笑えたり、頭に残りやすい設定のものが多いですよね。

石本氏: とにかく退屈なものを作りたくないという気持ちがあるのでそこには気をつけてレッスン内容やシェアするものを選んでいます。英語初心者の方にも楽しく学んで欲しいので「対話」を使って英語表現の例文を作ることが多いのですが、私の脳がコメディとホラーで出来上がっているのでその二つの要素が入って少しダークな部分も感じられるかと思います。対話で登場してくるキャラクターも性格が悪い人の特徴をつめたグサッとくるようなことを言うキャラクターなどもいてそういうキャラクターがいると話が作りやすかったりしますね。

これからの目標と夢

石本氏: 正しい発音を楽しく身につけてもらいたいという思いで、「発音」と「ロープレ」専門のオンライン英会話「えいまり」として活動しているのですが、どうやったら発音のメカニズムを分かりやすく勉強してもらえるか考えて実際のプライベートレッスン以外にもインスタグラムで音声ありの「リンキング」動画を出していたり、ラジオや、電子書籍で具体的に説明したりということにも挑戦しているのでそういったプラットフォームを通してもっと沢山の人に「えいまり」の活動を知ってもらうことが目標です。私の中で、実際に叶えられそうなものは「目標」、手が届かなそうなものが「夢」だと思っているのですが、大好きなお笑い芸人の方たちとロケをしたり、大喜利をしたいなぁという夢を抱いています。

【石本真梨亜さんプロフィール】
 岡山県出身バンクーバー在住。20歳の時にNY州に渡米。その後カナダやイギリスで、大学やロースクールで勉強。現在は発音など英語を教える「えいまり」で活動中。
  インスタグラム @marimari_zombie