カナダと日本の水素戦略について[ジャパン・ソサエティ主催]ビジネスレポート

 2021年10月31日からグラスゴーで開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)においても脱炭素に向けた議論が活発化する中、11月9日(カナダ時間)、ジャパン・ソサエティはBLG弁護士事務所と共催で、日本とカナダの水素社会に向けた取り組みについて議論するウェビナーを開催した。

 ウェビナーの冒頭には、ジャパン・ソサエティから専務理事の奥澤氏、また、BLG法律事務所のパートナーおよびESG(環境Environment、社会Social、ガバナンスGovernance)チームのメンバーであるコッカー氏と、エネルギーチーム代表のブライアン氏から開会の挨拶があった。

 基調講演は、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)大平英二氏より日本の動向について、また、カナダの産学連携であるカナダ水素燃料電池協会マーク・カービー氏は、カナダの水素事業の概要について発表した。続いて、産業界の事例として伊藤忠インターナショナル茅野社長、米州住友商事会社・エネルギーグループ蛯原ユニット長が講演した。

 伊藤忠・茅野社長は、インターパイプラインとマレーシア国営石油大手ペトロナスのカナダ子会社と共同で行うアルバータ州における日本輸出向け燃料用アンモニアの商用生産についても発表した。また、住友商事・蛯原ユニット長は、豪州、日本での取り組みや国内外の企業との新たな技術に関する協業事例などについて説明した。

 プログラム後半には、カナダの水素関連企業である、パワーテックラボ、ネクスト・ハイドロジェン、ハイドロジェン・オプティマイズの代表者からサービス内容について発表と全講演者を交えた質疑応答形式のディスカッションが行われた。モデレーターのカルガリー大学法学部チェアニング助教授は、カナダの水素ビジネスはどのようにして競争上の優位性を獲得できるか掘り下げた議論をし、政策づくり、インフラ整備、製造・輸送・貯蓄における新技術の応用の必要性について意見が交わされた。製造業に強みのある日本とエネルギー輸出国としてのカナダの間でのシナジーを活かしていくためにも、このような議論の場を設けていくことが大切であると締めくくられた。