2020カナダを振り返る心あたたまるストーリー|特集「ニュースがヒント」

2020カナダを振り返る心あたたまるストーリー|特集「ニュースがヒント」

 暗いニュースが多かった2020年。コロナ禍だろうがパンデミックだろうが、いつの時代も人の優しさは私たちの心をあたためてくれる。

STORY 01
息子に自信を…!

 アルバータ州エドモントンのストーニープレインに住んでいる8歳の男の子とそのお父さんのお話。男の子には側胸部半分を覆っている生まれつきの大きなあざがあり、人目をいつも気にしていた。そこで息子に自信を持ってもらいたいという思いから、お父さんは全く同じ大きさのタトゥーをいれることにした。1日数時間で終わる普通のタトゥーではなく合計30時間を要し、また側胸部だったため痛みに耐えるのに必死だったそう。それでも息子に自分の生まれつきのあざを気にして、普通の子供たちと一緒のようにじゃれ合い遊べなくなってほしくなかったがゆえに思いついた案。息子には知らせていなかった。

 最近一緒にプールに行った際、シャツを脱ぎ息子に見せると「かっこいい!」と答えた。その日から彼は、自分のあざを気にすることなく無邪気に遊ぶようになり、笑顔が良く見られるようになった。

STORY 02
困っている人々にもクリスマスギフトを

 ブリティッシュコロンビア州サレーに住む夫婦のお話。彼らは、コロナの影響で苦しんでいる人々のために贈り物を提供するという広告をCraigslistに投稿し、それが反響を呼び、今年のクリスマスギフトのヘルパーとしてオファーしている。その夫婦は今年、お互いへの贈り物をやめ、代わりにクリスマスギフトを購入するのに困難を経験している家族のためにお金を使うことを決めた。まずGoFundMeという募金活動をはじめ、一家族数百ドルを集め、子供たちのクリスマスを明るくするためのものを用意した。受け取る人は、シングルマザーやパンデミックで親を亡くした家族など様々である。安全でみんなに楽しいホリデーを過ごしてもらいたいという思いから始まった活動は、夫婦自身もハッピーにさせた。

STORY 03
フロントラインで働く人々のために

 アルバータ州に住む13歳の男の子が、昨年のクリスマスでもらった3Dプリンターを使い医療従事者用のPPE(個人用保護具)を製造した。地元でコロナに打ち勝つために必死に戦っている人々に恩返しをするために作り出した。カナダ保健省からの承認が得るまでの間に男の子は数百のPPEを製造したという。男の子はPPEが承認されるまで時間が要することは理解しながらも、将来的に使うことができ、最前線で働く人たちに役立つものとなってほしいと願っている。

STORY 04
団結のハート

 人気観光地ナイアガラフォールズ。コロナの影響で観光客が減少し苦しい状況が続いている。しかし、ナイアガラフォールズのホテルは、みんなでパンデミックと戦おう、また打ち勝とうというメッセージを込めた「ナイアガラハートオブホープ」と銘打って滝をライトアップしている。ナイアガラフォールズの観光局がFacebookで「ホテルとカジノは希望と連携のしるしとして輝く心を照らしている」と投稿した。コミュニティーとしてコロナの拡散を阻止するために団結して戦おうというメッセージを掲げて毎日ライトアップされている。

STORY 05
ドライブバイバースデー

 カルガリー消防署はコロナの影響で盛大に誕生日会が祝えない人々を元気づけようと、あるサービスを始めた。そのサービスとは、家の外でサイレントライトが鳴り響く誕生日ソングなどの祝福を行ってくれるというもの。ドライブバイバースデーという、4歳から12歳までの子供、または75歳以上の誕生日を迎える人々を対象としている。ソーシャルディスタンスを保たないといけないこの世の中で誕生日会を開催することは難しいが、いつもと違った形での祝い方で笑顔を運んでくれるだろう。

STORY 06
フードバンクカルガリー

 アルバータ州カルガリーの「フードバンクカルガリー」ではペットのための募金や寄付活動を始めている。

 パンデミックの中でもビジネスを継続することができているという恵まれた環境の中にいる人々がたくさん寄付している。彼らは継続することができているというありがたさから誰かの役に立ちたい、何かできることがあるはずだと願い活動を始めた。

 人間がペットをお世話できる資金やモノがそろっていないと、ペットたちはほったらかしにされ、捨てられる可能性がある。そんな悲惨なことを阻止するためにフードバンクに送られてきた寄付品は多くの人の役に立っている。

STORY 07
恩返し

 シリア難民としてカナダに来た青年は、ハリファックスでの迅速な適応を支援してくれたコミュニティーやスポンサーファミリーから多くのサポートを受けていると述べた。「ハリファックスの人々は歓迎的で協力的であり、彼らはずっと親切で助けてくれた」という。そこで感謝の気持ちを込め、恩返しをしたいという思いからスポンサーしてくれた人のためにグロッサリーピックアップサービスを始め、コロナの影響でグロッサリーストアに行くことが難しい人々をサポートしている。今ではたくさんの人が彼を頼りにしている。

STORY 08
ナーシングホームがTim Hortonsに!?

 プリンスエドワードアイランド州ベルファストにあるナーシングホームがTim Hortonsに変わった。ナーシングホームのスタッフたちはコロナの影響で外出を余儀なくされ笑顔が少なくなったところに、Tim Hortonsのコーヒーや甘いドーナッツをそろえたウィンドー、またドライブスルーのようなセッティングを再現した。外に出ることができないけど、何とか楽しんでもらおうとして始めた企画は、みんなの笑顔があふれたナーシングホームとなり大成功に及んだ。

STORY 09
シャチの救世主!

 バンクーバー島とブリティッシュコロンビアのメインランドの間に浮かぶガルフ諸島のエバという名前のシェルター犬は現在、自身のユニークな才能を利用して、象徴的な海洋種であるシャチを救っている。

 エバの鼻はシャチのフンを検出するための完璧なツールであることが判明し、すぐに保護犬として登録された。これは海洋野生生物のフンを探すように犬を訓練するプログラムで、遺伝学や一般的な健康状態からストレスレベル、シャチの有毒化学物質の存在まで研究に不可欠な豊富な情報をもたらしてくれる。

 エバがシャチを救うための貢献の重要性を理解していることは難しいが、エバは絶滅危惧種の動物を回復させるための答えを探すのを手伝っているのは確かだ。

STORY 10
星が見たい…!

 トロントに住む8歳の小さな男の子は遺伝子の突然変異に起因する進行性失明の一種でとてもまれな障害に苦しんでいる。光を感じることができず、視野がだんだんと縮小していき、彼の夜の視力は非常に限られていた。ほとんどの人が当たり前と思って見ている、星や空を横切る飛行機、または自分自身の足元は彼の見える範囲をはるかに超えていた。

 最近まで、彼の状態に対する効果的な治療法はなかったが、今では科学の進歩により、彼を含む多くの患者の視力が大幅に改善されている。彼が治療を受けてから1週間以内に変化が訪れ、1年間の治療を経て改善し続けている。彼は信じられないほどの自信を得ている。両親の助けなしで服を着ることができ、暗い時でも着ることができるようにまで回復した。彼の願いは暗い空に浮かぶ輝いた星をみること。もうその日が来るのも夢ではない。