カナダ、フードサプライチェーンにもパンデミックの影響。農業・食品業界に政府が2億5200万ドルの支援策。

カナダ、フードサプライチェーンにもパンデミックの影響。農業・食品業界に政府が2億5200万ドルの支援策。

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カナダ政府は、農業・食品業界に2億5200万カナダドルを支援すると発表した。畜産業者や感染対策が必要な食肉加工場に資金が提供されるほか、余っている農作物や乳製品を政府が買い上げ、食料援助の団体に配布する制度も新設するという。

新型コロナウイルスの影響でカナダのフードサプライチェーンにも影響が拡大

ポテトの余剰在庫に関しては先日紹介したばかりだが、新型コロナ感染対策のための規制で多くのレストランが閉店したりピックアップ・デリバリーのみになったことからフライドポテトの消費量が大幅に減り、国内のジャガイモが余剰している問題で、1000を超えるポテト栽培農家を代表する団体はビボー農業大臣にジャガイモ農業保護と国内の食料安全のため何らかの緊急的介入を要求した。

牛・豚肉、シーフードの国内供給がこれから減る可能性を示唆

一方で、ビボー農業大臣や専門家は牛・豚肉、シーフードの国内供給がこれから減る可能性を示唆している。国内の牛肉供給の相当な部分を占めているアルバータ州やオンタリオ州の食肉包装工場はパンデミックの影響で現在一時閉鎖であったり作業量を減らして稼働されたりしている。

牛肉に値段が上がる!?アルバータ州のカーギル食肉パッケージ工場が一時閉鎖

また、オンタリオ州で生産される豚肉の3分の1を占めるオンタリオ州の豚肉加工工場も今週から1週間閉鎖中だ。現時点でこのような食料がマーケットから品切れになることはないとされているが、供給の減少がある程度の製品不足につながったり製品の価格が上昇したりすることが考えられるという。漁業業界もウイルス拡大防止の規制やフードサービス業界からの需要の減少によりその生産を維持することができないと懸念している。漁業に出たい気持ちはもちろんあるものの規制に従った上でそれが利益になるかは確かではないという。

ジョンズ議員は、連邦政府が最終手段として需要が減ったシーフードやジャガイモを始めとした農作物の買い手になる“Canada Purchase Program”を制定するべきであると述べている。農家やマーケット、フードバンクの安全だけでなく国民の健康を維持するために、政府がこのように国内製品を購入することが大変重要で必要不可欠であるという。

政府はすでに国内の農業食品セクターをサポートする対策をいくつか制定している。ビボー農業大臣は、政府は国民が常に良質な食料へのアクセスを維持し生産者のそれぞれのニーズを聞きながらサポートできるように各州・準州と共に対策制定に力を入れていると述べた。

本文=TORJA特派員 川田英奈