【注目】カナダ 先月3月の雇用率が過去最悪を記録 新型コロナ影響

【注目】カナダ 先月3月の雇用率が過去最悪を記録 新型コロナ影響

2020年3月の雇用率は5.3%減、100万以上の職が失われた

カナダ統計局は、国内の3月の雇用率は5.3%減、100万以上の職が失われ、失業率はおおよそ7.8%に達したことを発表した。これは経済学者が想定していた失業数50万の2倍にも及ぶ。さらに1ヶ月間の失業率でみると、過去最悪を記録した2009年1月の失業率を今回を上回った。

また、2月の失業率2.2%から7.8%という1ヶ月間の上昇率は、その記録が始まった1976年から今までで最大であるという。カナダ統計局は続けて、その統計の取り方から実際の非雇用状況はさらに悪いであろうとしている。というのもこの100万は公式に職が失われた数でこれに加えて厳密に言うとまだ解雇はされていないが、労働時間が少なくなった人口が130万人、さらに80万人の仕事量が通常の半分以下であったとした。

また、先月の始めに職に就いていたもののその後失業した人口が21万9千人と考えられているが、ビジネスの閉鎖や自己隔離の影響で職探しに戻らなかったため今回の統計には含まれていない。このような人口を含めると先月の失業率は8.9%にものぼり、影響を受けた人口は全部で310万人と考えられる。

レストランの10軒に1軒がすでに閉店、80万件もの職が失われる。

この経済活動の急降下は1998年の雨氷性(フリージングレイン)暴風雨によって特に影響を受けたオンタリオ、ケベック州の状況に類似しているとされるが、それでも今回の失業数はその8倍以上である。また、今回どの州も失業数が出ているがその3分の2がオンタリオとケベック州からきており、それぞれ40万3千件、26万4千件に及ぶ。

49万6千人もの失業者が低所得労働者、39万2500人の失業者が15歳~24歳の若年層、29万8500人が25歳~54歳の女性

経済活動の急降下で最も悪影響を受けた仕事は宿泊関連とフードサービスの分野で約4分の1縮小したという。続いて文化・芸術・レクリエーション関係の仕事で13%、教育関係は9%、卸売・小売業の産業は7%の減少が見られた。興味深いことに天然資源と農産業は国内の食料サプライチェーンの強化のために仕事数が7千件増えた。

一番影響を受けたレストランやホテル業と卸売・小売業は合わせて失業した職の半分以上を占めており、49万6千人もの失業者(完全失業者と労働時間を失った者を含む)が低所得労働者であることが明らかになっている。経済的困難時において特にこれらの労働者は持ちこたえることが難しいとカナダ統計局は述べており、また、39万2500人の失業者が15歳~24歳の若年層と29万8500人が25歳~54歳の女性だという。

国中のロックダウンである程度の経済的影響は予想されていたもののここまでの急降下は驚きであると専門家は語る。さらに今後も失業率は悪化することが予想されている。しかし、少しの希望があるとすればカナダ統計局によると労働者は6ヶ月のうちに仕事に戻れることが期待されるためこの失業数は一時的なものである可能性が高いということである。また、政府も中小企業を対象とした財政支援策やある程度の収入が減少した企業に対して緊急賃金経済援助策を発表しており、エアカナダを始めとした航空会社も再雇用を発表している。

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本文=TORJA特派員 川田英奈