新型コロナ禍の今観るとまるで予言としか思えないほどのリアリティ『コンテイジョン』

9年前の映画が「新型コロナのいま」をリアルに映し出していると話題

COVID-19パンデミックとなってから話題になっている映画『コンテイジョン』は、2011年に公開されたスティーヴン・ソダーバーグ監督の作品だが、9年前の映画が新型コロナウイルスによってもたらされた2020年の今を如実に描いていると注目されている。

乾いた咳の音、カメラが映す出すドアノブや接触場面が新型コロナ禍にいる私たちに恐怖を与える

COVID-19感染拡大のため非常事態宣言の最中にいる私たちは、外出を自粛し人との接触を可能な限り避け、衛生に最大限に気を遣うものの、感染者数・死亡数は世界で増加中だ。

ストーリーは、香港へのビジネストリップから帰ってきた女性が急死し、ハグをしていた息子も咳き込み死亡する。隔離される夫が見る変わりきった日常、ウイルスが原因で続々と死亡していく人々、今や報道でよく知ることとなったCDC(疾病予防管理センター)やWHO(世界保健機関)の研究者、買い占め、医療従事者の感染、医療現場の崩壊など、パンデミックとなった今私たちが実際に体験したり、ニュースで見ている現実がそこには描かれている。

さらに物語はデマや陰謀論をネットで拡散させる自称ジャーナリスト、都市封鎖により街が暴徒化され強奪・強盗が繰り返される様子、ワクチンを狙った誘拐事件などパニックに陥った人々の心理と現代社会の混乱が絶妙にストーリーに組み込まれていっている。

出演は、マット・デイモン、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ローレンス・フィッシュバーン、マリオン・コティヤールといった豪華キャストの演技力はもちろんだが、思わず「こわい!」「わかる!」といった言葉を発してしまうほどのウイルス感染のポイントを絶妙に写しだすカメラワーク、そしてドキュメンタリータッチな演出がフィクション映画であることを忘れてしまうほどリアル感満載だ。

フィクションとは思えない、リアルなラストに作り手のメッセージを感じる

映画を見た方ならお分かりだと思うが、この『コンテイジョン』の物語は、なぜか「2日目」から始まり、映画のラストに最後に1日目が用意されている。ブルドーザーによって木々がなぎ倒され、コウモリが飛び立ち、ブタ小屋、食肉マーケット、レストラン、そして・・・・・。

このラスト数分は強烈なメッセージを感じざるを得ない。環境問題と現代社会にも警笛を鳴らしているのか?いずれにせよ、「あ〜リアルすぎて怖かった!」というのが正直な感想だ。現在ネットフリックスで観ることができるので、外出自粛中にいかがだろう。