こんにちは。10月号は、エキナカを特集されるそうで、駅にまつわる本を紹介していこうと思います。
交通系YouTuber 綿貫渉著『怒鳴られ駅員のメンタル非常ボタン 小さな事件は通常運転です』(KADOKAWA)から紹介していきましょう。バス会社、鉄道会社で勤務した経験を持つ著者が勤務する側と利用する側の考えがかけ離れていると感じたことが本著を書くきっかけの一つにもなっているそうです。鉄道会社の基礎知識が分かる第1章、苦情、緊急停車や酔客対応と闘う第2章、切符売り場ガチンコ勝負な第3章、違法行為、線路内への落し物、台風直撃に奮闘する第4章、退社までを綴った第5章立てとなっています。
バンクーバー、トロントでも駅員さんというより警備員さんが巡回に来る程度で、日本の改札、プラットフォームで何かあったら直ぐに聞けるのとは少し違いますね。
柳美里著『JR上野駅公園口』(河出書房新社)は、2020年 に全米図書賞 翻訳文学部門受賞した作品です。1933年、「天皇」(明仁、現在の上皇)と同じ日に生まれた男の生涯を描く作品です。男は東京オリンピックの前年に出稼ぎのために福島から上京し上野駅に降り立ちます。高度経済成長の中を生き、その最中に家族を亡くし上野でホームレスとなった男は何を見たのでしょうか。
「山手線シリーズ」として他にも6作あります、他の駅も気になる方は是非、手にとってみてはいかがでしょうか?
宮沢賢治著『新編 銀河鉄道の夜』(新潮社)は、小学生の国語で勉強した時以来で再度読みましたが、記憶とかなり違い驚きました。再読の度に発見があるとはよく言われますが、それをヒシヒシと感じます。
少年・ジョバンニは、姉と病弱な母と暮らしており、家計を支えるために朝と晩に働いています。父は仕事で家から離れていますが、級友や職場の人からは良からぬ噂を立てられジョバンニはいじめられています。そんな中、同級生のカンパネルラはでクラスの人気者でジョバンニのことを守ってくれ友達です。ある夜、町はお祭りで賑わっていますが、仕事が終わらないことを級友にかわかわれカンパネルラにもつれない態度をとられ、逃げるように丘へと走ります。すると汽車に乗車しているカンパネルラを見つけてジョバンニも追いかけるように銀河鉄道へと足を踏み入れます。
こちらは表題作の他に13編を収録した文庫本で、注釈も付いており宮沢賢治の世界をより良く分かるようになっています。
かっぴー原作、nifuni漫画『左ききのエレン』(集英社 全24巻)は実写ドラマ化もされた漫画です。広告代理店のデザイナー・朝倉光一は、3億円のプロジェクトのプレゼンに勝利するものの、若いから経験不足との理由で外されてしまいます。絶望の中向かった先は地元・横浜で…、学生時代の過去と共に思い出したのは、美術館の壁に描かれた才能溢れるグラフィティアートでした。
エキナカや駅周辺は、広告やデジタルサイネージで溢れています。それらもこの漫画のようにクリエイターがしのぎを削って生み出した作品だろうなと思うと、じっと鑑賞してみたくなりませんか?
それでは、次回お会いしましょう!