できたてビールで贅沢時間!個性豊かなクラフトビールとフードを楽しむTORONTO BREWERY BAR|特集 「ブリュワリー・バー&オンタリオ・クラフトビール 」

できたてビールで贅沢時間!個性豊かなクラフトビールとフードを楽しむTORONTO BREWERY BAR|特集 「ブリュワリー・バー&オンタリオ・クラフトビール 」

注ぎたてが最も美味しく感じられるクラフトビール。トロントでも近年たくさんのビールの醸造所「ブリュワリー」を店内に持つ「ブリュワリー・バー」が増えている。ビールに合わせた料理も用意しており、個性豊かなできたてのクラフトビールを飲みながら、創意工夫されたフードの数々を楽しめる店に注目してみた。パティオで過ごすのも気持ちいいトロントの夏を「ブリュワリー・バー」で楽しんでみては?!

醸造の熱気を肌で感じながら味わうビールは格別
Junction Craft Brewery

パティオで飲むビールは最高!
Junction Craft Brewery

緑に包まれた丘を登ると現れるその店は、店というよりも「工場」という表現の方が似合うノスタルジックな雰囲気をまとっている。醸造所はデストラクターと呼ばれる1930年代のアールデコ様式の焼却炉の中にあり、建物に入ると煮沸した麦芽の香りに包まれる。常時20種類ほどのビールがあり、それらは月ごとに更新されている。バラエティが非常に富んでいるので、それぞれ自分好みのビールを楽しむことができる。

おすすめはJunction Craft Pilsner。ヨーロッパの醸造に忠実な、水平ラガータンクで熟成された本格的なドイツのピルスナー。レモングラスの香りが特徴的な一杯となっている。同店が人々にとって集う場所となっているのは、その開かれた空間と人を招く姿勢からだろう。イベントやワークショップが頻繁に開催されている。しかもジャンルは、ソーセージやキャビアを味わうものから、石鹸を作るワークショップまで幅広い。

タップルームと小売店は毎週火曜日から日曜日まで営業しており、キッチンは木曜日から日曜日まで営業している。この日も、ご近所から来たというお父さんがお気に入りのビールを二本買って帰っていった。屋外には屋根付きのパティオがあり、トロントの歴史に思いを馳せながらビールを楽しむことができる。

150 Symes Rd
junctioncraft.com

ビールと一緒に楽しむことで味わいが深まるフードの豊富さも魅力!
Bandit Brewery

Dundas West駅から徒歩5分の住宅街には、ガラス張りのパティオが広がる。ドイツのビアガーデンにインスピレーションを受けたという。ビールはフルーティーで深みのあるブレンドビールが中心で、ほぼ毎週新しいビールにメニュー変更される。季節や醸造方法を細かく管理・調節することで、それぞれが個性豊かなビールを生み出している。NPO団体やフェスティバルとコラボレーションしたものもあり、Bandit Breweryのアクティブさが伺える。

フードの豊富さも魅力!
人気No1のCheese Curds

ビールは常時8~10種類ほどあり、併設されたボトルショップで購入することもできる。夏に飲むならと勧めてくれたのは「Mr Pink」というペールエール。スイカやハイビスカスを使用した、心地よい香りとすっきりとした後味が楽しめる。これからの季節にもってこいの一杯だ。
より良い変化を求め進み続けるBandit Breweryは、ビールだけではなくそれに合わせるフードメニューにも力を入れ常に改良を重ねる。ガッツリ系、スパイシー、あっさりしたものまで、好みに合わせてさまざまな料理を楽しめる。ベジタリアンやヴィーガンに対応したメニューもある。そんな当店一番の人気はCheese Curds。アツアツでサクサクの衣にかぶりつくと、濃厚なチーズが柔らかくとろけてくる。冷えたビールで流し込めば、夏の夜にはたまらない爽快感が味わえる。

2125 Dundas St W
banditbrewery.ca

隠れ家的雰囲気のスポットとして有名なブリュワリー・バー
Birreria Volo

トロントの西、リトルイタリーに潜む隠れ家的ブリュワリーをご存じだろうか。2016年9月にオープンしたBirreria Voloは、ダウンタウンにあるBar Voloの系列店だ。見逃してしまいそうなくらい通りに馴染んだ入口をくぐると、吸い込まれそうに細長い秘密の空間が現れる。内部はレンガ調で洞窟のような雰囲気は、まさにイタリアのワインセラーのようだ。この店のオーナーを務めるモラナ兄弟が北イタリアでお気に入りの醸造所を探しているときに偶然見つけたワインバーからインスピレーションを得ているそう。ゆっくりと相手に向き合って会話を楽しめる空間が生み出されているのが魅力的だ。

彼らの醸造所、5HL Brew Houseは7 St. Nicholas Stの路地にあり、伝統的な樽熟成エール、飲みやすいラガー、ホッピーエールを専門に醸造している。同店で味わえるのは、25種類ほどのタップ。タップの内容は入れ替わるが、ゴース、ランビック、セゾン、その他のワイルドエール、オンタリオサイダー、ナチュラルワインが中心となっている。割引など特別価格で楽しめる機会があるため、VoloのSNSをチェックしておくのをおすすめする。

25種類ほどのタップがズラリと並ぶ!
軽食も合わせて楽しむことができる

また、サンドイッチなど軽食も合わせて楽しむことができる。シェアプレートが多く、シンプルかつビールとの組み合わせの良いメニュー展開となっている。そして店内をさらに奥に進むと、裏パティオが現れる。「秘密の場所」と呼びたくなる静かな中庭。まるで秘密基地のような空間に、心を掴まれる人が多いという。ワクワクしながら会話を楽しめる、遊び心満載の隠れ家ブリュワリー・バーだ。

612 College St
birreriavolo.com

カナダらしさを全身で味わうことができるブリュワリー・レストラン
Avling

カナダを味わうことのできるブリュワリーがある。クイーン・イースト、レスリービルの中心部にあるAvlingは、明るく開放感のある店の中心に楕円形のカウンターがタップを囲んでおり、そこではゲストが隣の席の人やサーバーと会話を弾ませている。人とのつながりを大事にするオーナーの思いが体現された空間となっている。

上品な風味のある味わいに仕上げたビール
オススメはTuna Crudo!

タップは常時10種類、カクテルなどのオプションも合わせると16種類ほどが楽しめる。ドライだが上品な風味のある味わいに仕上げたビールは、バランスを大事にしながら丁寧に醸造している。ビールに使用している穀物やスパイスなどもオンタリオ州など国産で、ここでもオーナーのこだわりが垣間見える。さらに屋上には菜園があり、トマト、豆、ズッキーニ、サラダ菜などを自家栽培している。

屋上菜園
屋上菜園のツアーも要注目!!

シェフが手がけるクリエイティブな料理にももちろん地元の食材を用いており、ビールとのバランスが考えられていて、クラシックなものからアジア風までさまざまな料理が楽しめる。この幅広さも多文化ならではトロントらしい一面だ。

おすすめは、Tuna Crudo。BC州産のマグロを、お酢や塩で味わう爽やかな一品。Shadowplay Pale Aleと一緒に、さっぱりとした味わいを楽しんでほしい。また人気のエビトーストも外せない。カリカリした食感と塩加減で酒がすすむ一品となっている。

「地産地消は環境のためだけでなく、人とのつながりを大切にしたいと思っています。農家さんとお店とのつながり、来てくれるお客さんとのつながり、お客さん同士のつながりを生み出せる場所になれたら」とオーナーのMaxさんは話す。ホームページのRooftop Farmから、屋上菜園のツアーも申し込める。

1042 Queen St E
avling.ca

裏パティオも最高!ビールとの相性抜群のボリューミーな食事を楽しみたいならここ!
Mascot Brewery

St Andrew駅から徒歩5分ほどのところにあるMascot Breweryは、半地下の入り口からワクワク感が漂っている。店内に入ればあちこちから楽しそうな笑い声が上がり、活気に溢れている。ゲストは一体となり大きな液晶テレビでスポーツ観戦を楽しんでいる。サーバーの女性は「肩の力を抜けるような居心地で、マルチカルチュラルな空間です。誰でも大歓迎の気持ちでお待ちしています」と楽しそうに話す。

秘密基地のような裏パティオでチルしよう!

20種類ほどあるクラフトビールはどれも雰囲気が異なりユニークだ。パキッとした個性のある、それぞれが独立した味を持っているという。特にピルスナーのPILLYはチェコのピルスナーの爽やかな味わいを楽しめる、お店オススメの一杯だ。ウェブサイトでも特徴やおすすめの飲み方を紹介しているので、ぜひ自分の好みのビールを見つけてほしい。

20種類ほどあるクラフトビール
人気のフードメニュー「Bang Bang Cauliflower」

ここで人気なフードメニューはBang Bang Cauliflower。ビールで衣をつけたカリフラワーを揚げたもので、ピリッとほどよいスパイシーさが飲みたい欲を加速させる。ちなみに店員さんおすすめは、Double Smash CheeseburgerとFried Chicken Sandwich。Double Smash Cheeseburgerはその名の通りチーズたっぷりでボリューミー、Fried Chicken Sandwichはカリカリと食感が楽しい一品となっている。どちらもガツンとした味わいとボリューム感がビールとの相性抜群だ。

Mascot Breweryに来たら忘れてはならないのが、裏パティオ。店の前や店内からは見えず、これがまた遊び心をくすぐるポイントだ。バーカウンターを横切り、店の奥の階段を登っていくと、秘密基地のようなバーカウンターとパティオが現れる。外でドリンクを頼んでその場で楽しめるスタイルで、DJを呼んでイベントを行うこともある。

220 King St W
mascotbrewery.com

心地よい空間でリラックスしてこだわりのクラフトビールを飲みたいときは。
Muddy York Brewing Co.

閑静なビジネス通りに店を構えるMuddy York Brewing Co.は、長年にわたって100種類以上のビールを製造してきた。ここはその場で醸造した新鮮なビールを楽しめるタップルームで、テイスティングバーと持ち帰り用ビールに焦点を当てている。店内はリラックスした親しみやすい雰囲気で、造り手とも交流できる心地良い空間となっている。

店員のSusanさんは「ぜひお気に入りの一杯を見つけてほしいです。そしてネルソンにぜひ挨拶してください」と笑顔を見せる。ネルソンはこの店の看板猫で、彼の名前はホップ品種のネルソンソーヴィンにちなんでいる。店内では食べ物の提供はないため、土曜日や日曜日に外部からフードトラックなどを招致することで、料理と合わせてビールを楽しむ機会を設けている。

こだわりのクラフトビール
看板猫のネルソン

おすすめは、ソーセージを製造するLink Hausのポップアップ。Link Hausのソーセージは、職人技が光るさまざまな種類のものがある。一見王道の組み合わせだが、それぞれこだわりが詰まった一本と一杯なので、組み合わせによって全く違う風味を楽しむことができるのだ。これにぜひ合わせてほしいのは、ドイツスタイルの小麦ビール・Haberdasher Hefeweizen。今年のCanadian Brewing Awards で金賞を受賞した。Muddy York Brewing Co.では通常、店頭および小売店で約10~12の異なるブランドを取り揃えている。
ラガー、エール、スタウト、IPA などのクラシカルなスタイルが中心に展開していて、さらにフルーツサワーなどさまざまなタイプのドリンクも楽しめる。11ドルで飲み比べができるテイスティングセット・ビールフライトも注文できる。

22 Cranfield Rd
muddyyorkbrewing.com

ドイツやチェコスタイルのビールが好きな人にぜひ
True History Brewing

St Clair Ave Westの通り沿いにあるこの醸造所は、ラガービールを中心としたドイツやチェコのスタイルに焦点を当てている。ラガーの最も重要な要素である、プロセスと時間に重点を置いて製造をおこなっている。そしてその店名の通り、できる限り伝統的に醸造されているようにこだわり醸造所を設計している。

ラガー以外のものも飲みたい人には、バイエルン風のHefeweizenがおすすめ。バナナの明るいフルーティさとクローブの辛味を楽しめる。このビールは特に注ぎたてが最も美味しく感じられるため、その場で醸造されたものを飲めるのが嬉しい。そんなTrue History Brewingは、料理も常にメニューを変更や改良を重ねている。ビールと同じように、料理も親しみやすく心地よいものにしたいというこだわりがある。

醸造にも携わるオーナーのShierさんは「Matt(共同オーナー)と私のお気に入りの場所は、何時間も座っていられるような場所です。だからこの店も、誰もが快適に過ごせる空間にしたいんです」と話す。彼らが目指すのは「農家と祖母の家が融合した」温かな場所。ヨーロッパの農家やコテージからインスピレーションを得ながら、温かみのある木材や壁紙を多く用いることで、その雰囲気を作り出している。

昨今ぞくぞくと再開発が進んでいるこの地域は、さまざまな場所から来た人が時間を紡ぐすばらしいエリアだとShierさんは言う。夏の間はパティオも気持ちいい。この日もベンチに腰掛け、小皿に盛られた料理をシェアするゲストがいた。リラックスした様子でスッキリと飲みやすいビールを味わっていたのが印象的だった。

1154 St Clair Ave W
truehistorybeer.com