数字で見るカナダのミレニアル世代

数字で見るカナダのミレニアル世代

 動向・消費・考え方など数年前から世界中で注目を集めてきたミレニアル世代。政治経済や社会に対して大きなパワーを持つミレニアル世代を数字で見てみた。

#01

23-38

 そもそも「ミレニアル世代」というのは何歳から何歳までのことを指すのか。これを疑問に思っている方も多いのではないだろうか。米国のピュー・リサーチ・センターによると、「ミレニアル世代は、1981年生まれから1996年生まれまで」、つまり2019年時点で23歳から38歳までのことを指すそうだ。23歳と言えば大学を卒業したばかり、一方で38歳と言えば既に家庭を持っている人も少なくない。「ミレニアル世代」といえど、その年代が意外にも幅広いということがうかがえる。

#02

$44,093

 この金額はStatistics Canadaの2016年の調査により出されたミレニアル世代の一世帯あたりの収入の中央値だ。日本円(1カナダドル=83円)に換算するとおよそ366万円。この金額は一世代前の「ジェネレーションX」(1965年生まれー1980年生まれ)の3万3276ドル、そしてさらにもう一世代前の「ブーマー世代」(1946年生まれー1964年生まれ)の3万3350ドルを両方とも上回る。

#03

4人に3人

 ミレニアル世代の4人のうち3人、つまり75%もの人が高校を卒業後にさらに上の高等教育を受けている。この数も収入同様、一つ前の世代の「ジェネレーションX」の数を上回る。ちなみに「ジェネレーションX」ではこの数字が約半数にとどまっていたそうだ。しかしながら、高等教育にかかるコストの影響で前の世代よりも多くの借金を抱えているミレニアル世代。収入が多いほど不安が少ない、ということではなさそうだ。

#04

14倍

 この数字は2016年の時点で家を所有しているミレニアル世代と所有していないミレニアル世代の純資産の差だ。前者の純資産の平均が26万1900ドル(およそ2170万円)なのに対し、後者は1万8400ドル(およそ152万円)とその差は歴然。実際、貧富の差が大きくなりつつあるのもミレニアル世代の特徴らしい。また、家を所有していないミレニアル世代の中で個人の純資産が家を所有しているミレニアル世代の平均を超えているのは8%しかいない。この壁がいかに厚く高いものなのかが明らかだ。

#05

27倍

 これもまた、貧富の差を表す数字である。これはミレニアル世代のうちの純資産が最大の25%と最小の25%の一人あたりの純資産の差で、具体的には、上端の25%は一人あたり25万3900ドル(およそ2100万円)だったのに対し、下端の25%は一人あたり9500ドル(およそ78万8500円)だった。この差は一つ上の世代「ジェネレーションX」における差の二倍以上なのだが、この貧富の差の拡大はミレニアル世代のみならず、カナダにおける全ての世代に共通する課題だという。

#06

27%

 ミレニアル世代はカナダの人口において一番大きな割合を占め、その割合は27%になる。一方で、日本では同年代にあたる25歳から39歳までの人口の割合が全体の16.3%(2019年12月現在)と、その割合がいかに低いかがうかがえる。

#07

$35,400

 この金額はカナダのミレニアル世代が抱える借金の中央値だ。先ほどもあった「高等教育」による借金の中央値に加え、家賃や物価の高騰など、特に都市部において様々な要因がカナダのミレニアル世代の財布を圧迫していることがわかる。この金額は「ジェネレーションX」が抱えていた借金の中央値である1万9400ドルの二倍に迫る勢いだ。収入が増えている一方で、借金も増えているので、前の世代に比べ生活が豊かになっている、とは言えないのが現状だ。

#08

87¢

 これは、2015年時点でカナダのミレニアル世代の男性が稼ぐ1ドルに対して同年代の女性が稼いでいる金額に値する。性別による収入の差はまだ埋められていないものの、20年前だと男性が1ドル稼ぐに対して女性は78セントしか稼いでいなかったというのだから、その差は縮まりつつある。2019年にはクリスティア・フリーランド氏が外務大臣に選ばれるなど、政界においても女性が活躍した年でもあった。2020年にはこの差がさらに縮まることを期待したい。

#09

60%

 2011年時点で20歳から24歳だった人のうち、親と共に暮らしている人の割合がおよそ60%だった。この割合は高く聞こえるかもしれないが、25歳から29歳になるとこの割合はおよそ25%と激減。しかしながら、やはり60%という割合は高いようで、1981年の同年代を対象に行われた同じ統計によると、その割合は40%ほどにとどまっていたそうだ。これもやはり、都市部の家賃や価格の高騰が影響しているとみられる。

#10

30s

 2010年に行われた調べによると、20代の女性に比べ30代の女性の間の出生率が高かったことが明らかになった。このような結果は統計が開始されて以来初めてで、カナダでの出産高齢化が進んでいることがよくわかる。日本も同様で、2018年度においては30から34歳のおよそ33万人が出産をしたのに対し、25から29歳のおよそ23万人に留まった。出産年齢の高齢化の理由について、男女共により多くの人が大学院や専門学校など自身の教育により多くの時間をかけているということが挙げられている。

#11

1/3

 カナダにおけるオンラインショッピングのうち、購入の33%がミレニアル世代によるものである、という事実が明らかになった。今となっては当たり前のように普及しているオンラインショッピング。ミレニアル世代のみに焦点を当てると、そのうち35%もの人が一年の間に25回以上利用していて、その大半(51%)はパソコンではなくスマートフォンなどを通しているという。ミレニアル世代の特徴の一つでもある「幼い頃からデジタル機器に触れ、慣れ親しんでいる」ということがよくわかる数字でもある。

#12

57%

 2015年の投票において、ミレニアル世代のおよそ57%が投票に行ったという数字が出ている。また、18歳から24歳の間においてもおよそ57%の投票率を記録。この数字は2011年の投票に比べ18.3ポイントも上昇したそうだ。いかにミレニアル世代の政治への関心が高いかうかがえる。現在、カナダにおける有権者の中で一番大きい割合を占めているのもミレニアル世代だ。一方、日本における平成29年度の参議院議員選挙では、20代の投票率が33.85%にとどまり、30代の投票率も44.75%と半数にも満たない。

写真:Designed by Freepik
資料: CBC、Statistics Canada、Huffington Post、Macleans、Broadbent Institute、The Canadian Encyclopedia、Canada Post