People. 17 vol.2「ノリとスピードで進む」Tatsuya Kusabaさん BC Beer Trading LLC/CEO|カナダワーホリを超えた今

 到着からすぐに、ひょんな事から現地で留学生向けのDJパーティを立ち上げる話に巻き込まれ、人集めやらDJやら雑務やらを手伝うことになりました。日本では仕組みや予算、オペレーション先行で外枠の硬め作業から動くのが当たり前でしたが、完全に勢いというか「こういうイベント」への熱量だけで勝手に色んな人間や場所が巻き込まれていて、相互確認もする間も無くイベントが立ち上がっていきなり100人規模で集客したのは衝撃的でした。

カルチャーへのモチベーションの違い

 ここで強烈に直面したのは、そういったカルチャーへの渇きというか、有無を言わさない発信側と受け手側のモチベーションの高さ。発信側も周りの迷惑や失敗を顧みずにどんどん重要なことを決めていくし、受け手側もものすごい速さでコミュニティーに発信をして熱を持ってくるのを感じました。おそらく、根幹にあるのは日本と違って移民だらけのこの国では「何もしなければ孤独になる」ということが、コミュニティーやカルチャーへの渇きとして現れているのかなと思います。

 「求めていた違いはここなのかな」と思い、あらかた立ち上げが落ち着いたタイミングでNYとロンドンにも確認しに行ったのですが、こちらは正直、音楽イベントのレベルが高過ぎてとにかく遊んでいました。レベルの高さが生まれる根本的には同じことなのでしょうが、そんなことよりも楽しかったです。

立ち上げたものの置いていかれる感

 そんな楽しんだ外遊後にトロントに戻ったら、留学生向けのイベントはもうほぼ関わることがなくなりました。そこの一部のメンバーがより音楽やアートに特化したイベントを立ち上げていて、そちらに参加させてもらったのですが、ここで自分の中で大問題が起きていました。

 留学生向けにしろ、アート系のイベントにしろ、規模が大きくなるとよりスペシャリストを求められることです。自分は広く浅いタイプだったので、スーパーサブというかなんというか。規模やスピードについていくには、一度自分の仕事の役割の立場をどうするか練らなきゃいけないなと思い、一度帰国して日本で色々勉強し直すことにしました。