People. 10 Ex アートディレクター/ グラフィックデザイナー 岩本光平さん|カナダワーホリを超えて30代になった今

チャンスも多いがリスクも多い

 カナダ生活も終盤へ差し掛かかり仕事を通してカルガリーやモントリオールへ出向いたり、活動の幅を広げるためにアメリカ・ニューヨークやサンフランシスコのデザイン事務所などを訪ねたりと、行動範囲や交友関係も広げていました。

 ワーホリなどの一時滞在者が多いトロントでは、限りある滞在時間の中で「結果を出そう」「なにかアクションしよう」といった意思が渦巻いています。その流れにうまく乗ることで、思いがけない結果が得られる事がありました。

 ただそれは良い面ばかりでなく、リスクも隣り合わせです。フリーランスの立場から見ると、

  • 活動に見合った報酬が貰えず搾取される。
  • よくわからない派閥闘争の板挟みになる。
  • 金銭トラブルで裁判にまで発展する。

など、自分も含め様々なトラブルに直面する人たちを見ました。

 そのため僕の場合は、法律に詳しい友人に仕事用の契約書や書類を監修してもらうなど、リスクを減らす努力をしていました。リスクさえ回避できれば、カナダはすごくチャンスのある環境だったなと思います。

カナダ生活をどうデザインするのか

 視覚表現で言語を超えられるか。という想いから始まった僕の旅ですが、周りの協力を得ながら課題解決する日々はとても有意義で、人生経験や素敵な出会いが大きな財産となっています。

 トロントを離れた今でもオンラインで一緒に仕事をしたり会話や相談をしたりと、当時と変わりない関係が続く友人も多いです。

 言葉や文化の違いはあれど、同じ方向を向いた「仲間」ができたことが、僕がカナダ生活で得たものだと思います。

 前回、私のデザインの定義は「現状から良い方向に導くプロセス」と書きましたが、これはいつも自分の人生にも当てはめて考えています。

 人生をどうデザインするのか。カナダ生活をどうデザインするのか。ワーホリを超えて30歳になった今でも、それは変わりなく続けています。

アートディレクター/グラフィックデザイナー 岩本光平さん
ki design 代表.
Twitter: KOHEI_Designer
instagram: @kohei_iwamoto188