第28回 カナダ市場を見るなら知っておきたい「S&Pトロント総合指数(S&P/TSX Composite Index)」のおさらい|みらいのカナダ株式投資大作戦

第28回 カナダ市場を見るなら知っておきたい「S&Pトロント総合指数(S&P/TSX Composite Index)」のおさらい|みらいのカナダ株式投資大作戦

 こんにちは!みらいあせっとです!今回は、カナダ市場を理解する上で大切な「S&Pトロント総合指数(S&P/TSX Composite Index)」について、簡単な特徴解説と、資産形成への活用方法を紹介します!

 あなたの資産形成のお役に立つと嬉しいです。それでは一緒にみていきましょうー!

S&Pトロント総合指数とは

 S&Pトロント総合指数は236社(2022年10月時点)の株価から算出される株価指数です。236社すべてがカナダ籍の企業ですから、「カナダの経済的な健康度を示す指標」の1つとも言えます。

 この指数は1975年を1,000ポイントとして設定され、現在までに18倍以上の18,621ポイント(2022年10月17日)まで上昇しました。カナダ市場の株価はずっと上がり続けてきたのですね。

 指数を構成する236社の比率は「浮動株時価総額加重型(Float-adjusted market cap weighted)」で決まっています。236社の株価の合計値を236で割って求めるのではなく、ある銘柄の影響は大きく、一方である銘柄の影響は小さく抑えられているのです。

 では、今S&Pトロント総合指数でもっとも影響の大きい企業ってどの企業だと思いますか?
 答えはRoyal Bank of Canada(RY)。Royal Bank of Canada以外にもカナダには大きな銀行がいくつかありますよね。いずれの銀行もトロント総合指数に与える影響は大きく設定されています。


 S&Pトロント総合指数の上位10銘柄を見ると、金融やエネルギーなど、昔ながらの企業が並びます。これはカナダ市場に投資するにあたって、1つの重要な特徴です。この話はまた後半部分で紹介します。

 ちなみに2020年はShopify(SHOP)がもっとも大きな企業でしたが、現在は上位10銘柄からも外れてしまっています。企業の規模(時価総額)に応じて、指数への影響度合いが常にコントロールされているのですね。

トロント総合指数を資産形成に使うには

 では、S&Pトロント総合指数をどう資産形成に活用するか。
 例えば、ETF(上場投資信託)を使うとS&Pトロント総合指数に「投資」できます。S&Pトロント総合指数が値上がりすれば利益を得て、値下がりすれば損失を被る、みたいな運用ですね。

 S&Pトロント総合指数に連動する、カナダ籍のETFには次のような商品があります。

  • iShares S&P/TSX Capped Composite Index(ティッカー:XIC)
  • BMO S&P/TSX Capped Composite Index(ティッカー:ZCN)

 iShares S&P/TSX Capped Composite IndexはS&Pトロント総合指数と同数の236社に一括で投資できる商品です。S&Pトロント総合指数と同じように値動きし、1年間で約3%の分配金を受け取れます。

 BMO S&P/TSX Capped Composite IndexもXICとほぼ同じ商品です。最大の違いは、XICは米国企業のブラックロックが運用しており、ZCNはカナダ企業のBank of Montrealのグループ会社が運用している点です。

 このようなETFを使って「投資」すると、カナダの経済成長を投資のリターンとして受け取れます。もし、「株式投資は難しい」「どの企業を選べばよいのか」と悩んだら、「ETFや投資信託(Mutual Fund)を使って市場に丸ごと投資する」という方法もぜひ知っておいてほしいです!

こんな点に注目してみよう

 さて、S&Pトロント総合指数を資産形成に使う時に注目すると良い点を簡単に紹介しますね。

 2008年の世界的な金融危機以降、高いパフォーマンスを出したのはアメリカのハイテク企業でした。一方、2021年から2022年にかけては、金利上昇や記録的な原油高の影響で、S&Pトロント総合指数が恩恵を受ける場面もありました。

 このように、産業ごとに得意な経済状況、不得意な経済状況というのがあります。S&Pトロント総合指数は金融やエネルギーの影響が強い指数ですから、現在の経済状況が金融やエネルギーにとってどうなのかを調べてみると、どういう時に値上がりし、どういう時に値下がりするかの要因が見えてくるかもしれません。

まとめ

 S&Pトロント総合指数はカナダ市場の健康度を表す株価指数で、資産形成にも活用できますというお話でした。

 ところで、この話題、実は連載1回目で触れたものです。というのも、わたくしごとですが、実は両親が相次いで病気になってしまい、相場どころではなくなってしまいました涙。なんだか高齢化社会の縮図的なものを感じています。

 というわけで、今回は最近の相場の話題ではなく、トロント総合指数の解説を改めて取り上げました。
 現状は、なかなか先行き不透明感の続く状況ですが、長期投資なら良い投資タイミングになるのでは?と考えています。