第4回 バンガードカナダのETF「VRIF(Vanguard Retirement Income ETF Portfolio)」に興味津々|みらいのカナダ株式投資大作戦

第4回 バンガードカナダのETF「VRIF(Vanguard  Retirement Income ETF Portfolio)」に興味津々|みらいのカナダ株式投資大作戦

 こんにちは!今回は2020年9月に発売されたETF「Vanguard Retirement Income ETF Portfolio(ティッカー:VRIF)」について紹介します。

 VRIFは資産運用会社「Vanguard Investments Canada」のETFで、カナダや日本を含む全世界の株式と債券に分散投資しつつも、毎月一定額の分配金を受け取れる特徴を持っています。

 2020年9月末現在、日本にはVRIFと似たETFがありません。そのため、「おもしろいなぁ」と思い、今回取り上げようと思った次第です。

VRIFとは

 VRIFとはVanguard Investments CanadaのETFで、主に老後の収益の獲得と、貯蓄を長持ちさせる目的で作られました。老後のお金の悩みは日本もカナダも同じですね。

 Vanguard Investments Canadaとは、世界的に有名な資産運用会社であるバンガード・グループ(The Vanguard Group, Inc.)に属するカナダの資産運用会社です。バンガードは世界で初めてインデックスファンドを設定した「ジョン・ボーグル」氏が創設しており、理念や低コスト(低経費率)商品を提供している点でファンの多い企業です。

 さて、VRIFとはカナダや日本を含む世界中の株式と債券に分散投資を行うETFです。この商品は主に次のような特徴を持っています。

  • 設定時は利回り4%を目標
  • 毎月一定の金額を分配
  • 経費率0.29%

 今回はVRIFの特徴である「分配金」「投資先の分散性」「値動きの抑えられた配分」についてみていきましょう。

分配金を重視

 VRIFは分配金を重視しています。分配のタイミングは毎月で、しかも一定額の支払いを予定している点で特徴的です。

 現在資産形成中の方にとっては、分配金はさほど必要ないかもしれません。一方、毎月の収入が安定しなかったり、そもそも引退して収入が限られていたりするならば、VRIFの分配金は魅力的かもしれません。あなたはいかがでしょう?

 VRIFは設定されたばかりの2020年9月に1口あたり0.083333カナダドルの分配を行いました。仮に1年間この金額を受け取れると仮定した場合、設定時の価格(25.1119カナダドル)から利回りを求めると3.98%になります。この利回りは目標利回りとほぼ同等です。

広い分散性

 VRIFは資産の50%を株式、残りの50%を債券に投資します。厳密にはカナダ市場に上場する8本のVanguard CanadaのETFに投資しており、その8本を通じて、世界中の資産に投資する形になっています。

 例えば、VRIFの債券部分のうち、特に比率が高いのはVanguard Canadian Corporate Bond Index ETF(VCB)です。このETFは金融機関を中心とするカナダ企業の社債に投資します。

 もう一例を挙げると、VRIFの株式部分のうち、特に比率が高いのはVanguard FTSE Developed All Cap ex North America Index ETF(VBG)です。このETFは日本株や欧州株に投資しており、VRIFの投資先が北米資産に偏りすぎるのを防いでいます。

 結果として、VRIFに投資した資産の約35%はカナダ国内の株式や債券で運用され、残りはカナダ国外の株式と債券で運用されます。このように、世界中の株式と債券に広く投資し、高い地域分散性を獲得しているのがVRIFの特徴です。

値動きの抑えられた資産配分

 VRIFは元本保証ではないので損失を抱える可能性もあります。しかし、VRIFの株式50%、債券50%という配分は「あまり攻めてない」点で好意的な印象を持ちます。

 実は分配金収益を重視する商品は、高い分配金を得るために危険性の高い商品に投資することが多く、金融危機などで大きな損失を抱える可能性があります。

 そのため、VRIFのように全世界へ分散投資を行いつつ、分配金として魅力的な利回りを確保するのは難しいと筆者は思うのです。

 もし、2020年3月の世界的な株価下落時にVRIFを運用していたら、約11%の損失を抱えたはずです。この損失は同時期に36~37%の損失を抱えた米国株式(S&P500)や日本株(米ドル建て)に比べるとかなり抑えられたものです。

まとめ

 今回は「Vanguard Retirement Income ETF Portfolio(ティッカー:VRIF)」について解説しました。関心を持ちましたら、Vanguard Canadaのウェブサイトなどもご覧になってみてください。
 仮にVRIFを運用せずとも、VRIFの配分や、VRIFが投資しているETFにも目を向けてみると、資産形成のアイディアが思いつくのではないか?と筆者は感じています。特に分配金収入が欲しい場合には、一度チェックしてみてください。

 次回は、トロント証券取引所に上場するセクターETFの話題を紹介したいと考えています。