第3回 ETF(上場投資信託)を通じてS&Pトロント総合指数に「投資する」方法|みらいのカナダ株式投資大作戦

第3回 ETF(上場投資信託)を通じてS&Pトロント総合指数に「投資する」方法|みらいのカナダ株式投資大作戦

 こんにちは!この記事では、カナダの代表的な株価指数である「S&Pトロント総合指数(S&P/TSX Composite Index)」の過去の成績を使って、もしもS&Pトロント総合指数に投資したら、どのくらいの利回りで運用できたかを紹介します。

 XICはアメリカの資産運用会社である「ブラックロック」が設定した、トロント証券取引所に上場する金融商品の1つです。XICは223のカナダ企業に投資しており(2020年9月時点)、この商品を買うことで、223のカナダ企業に投資したのと同じ効果を得られるんです。それでは詳しく解説しましょう!

XICへの投資をシミュレーション

 第1回に紹介したように、XICはS&Pトロント総合指数とほぼ同等の成績を得られるように作られています(厳密にはXICはS&P/TSX Capped Composite Indexという、S&Pトロント総合指数を少しカスタマイズした指数と同じ成績になるように作られています)。少し、過去の実績を見てみましょう。

 例えば、2010年1月4日のS&Pトロント総合指数は11953.83ポイントでした。一方、同日のXICは1口18.83カナダドルです。

 それから約10年半が経過した、2020年9月8日時点のS&Pトロント総合指数は16383.6ポイントで、2010年1月の時点から約37%値上がりしました。一方、同日のXICは1口26.15カナダドルで、こちらは約39%の値上がりを記録しています。

 両者の値動きを重ねてみると、XICとS&Pトロント総合指数が同じように値動きしていることがわかります。つまり、XICに投資することで、S&Pトロント総合指数とほぼ同等の運用成績を得られたことになるのです。

 これならわざわざカナダの企業を調べて株を選ばなくても、XICを1つ買って、あとはS&Pトロント総合指数の動向をチェックすれば十分だと思いませんか?

 S&Pトロント総合指数とXICの値動きが似ている背景には、冒頭で述べたようにXICがS&Pトロント総合指数同様に220を超えるカナダ企業に投資している点にあります。XICは、この220を超える企業を保有する比率(いわゆる「ポートフォリオ」)がS&Pトロント総合指数のものと似ているので、運用成績も似ているのです。

分配金ももらえる!

 ところでXICは年4回(3月・6月・9月・12月)分配金を出しています。これは私たち投資家がXICを通じて投資している企業の配当金を原資にしていて、XICの保有口数に合わせて投資家に分配しているものです。

 分配金の利回りは3.41%(2020年9月8日時点)。もしXICに100口投資していたら、2,615カナダドル(1口26.15カナダドル × 100口)の投資額に対して、年間約89カナダドルを受け取れる計算です。年4回の分配ですので、1回あたり20カナダドルちょっと(税引き前)といったところでしょうか。

 つまり、XICへ投資することで、XICそのものが値上がりして得られる利益(キャピタルゲイン)と、XICから分配金を得ることで得られる利益(インカムゲイン)の2つの儲け方があるのです。

 よりスピーディに資産形成を行うならば、得た分配金はそのまま何らかの金融商品に投資するのが最適です。しかし、時には受け取った分配金でちょっとした贅沢をするのも資産形成の一興かもしれませんね。

支払う手数料も気にかけてみよう

 ここまではメリットを中心に紹介しましたので、デメリットも解説しましょう。XICを含むETFのデメリットの1つは、運用にコストがかかる点です。

 XICを含むETFには経費率(Expense Ratio)と呼ばれるコストが設定されています。これは、XICの運用会社が私たち投資家の代わりにカナダ市場の株を買ったり、投資家向けに各種レポートを作成・発行したりするために必要なコストです。

 このコストは、運用成績から自動的に引かれています。経費率の分だけ運用成績が悪くなるのです。

 ただし、XICの経費率(Management Expense Ratio)は0.06%で、これは様々なETFの中でもかなり低い部類に属します。

 もう1つのコストは、証券会社を通じてXICを購入する際に、購入手数料(Sales chargeやTrading commissionsなど)がかかります。そのため、毎回小口ずつ買うよりも、ある程度お金を貯めておき、半年ごとにまとめて買うというスタイルのほうが、最終的に支払うコストを抑えられると思います。

まとめ

 今回は「iShares S&P/TSX Capped Composite Index(ティッカー:XIC)」に投資した時のメリット(キャピタルゲインやインカムゲイン)やデメリット(経費率などのコスト)の話題を解説しました。運用のイメージが少しでも伝われば幸いです。

 次回は、S&Pトロント総合指数の話題から離れ、多様な種類があるカナダのETFについて、もっと詳しく見ていこうと思います。