【第22回】披露宴と婚姻届|私、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話

【第22回】披露宴と婚姻届|私、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話

前回は、たいへんおめでたい「授かり国際結婚」について紹介しました。今回はさらにおめでたい結婚披露宴と婚姻届のお話です。

結婚したらどこで暮らすか?

カナダで知り合った二人が国際結婚する時、「結婚後二人が暮らす国」について話し合われることは、ほとんどないようです。もともとカナダへの移住やカナダでの国際結婚を視野にカナダを訪れていた女性にとって、カナダで暮らすこと=夢が叶うこと、というわけなのかもしれませんね。

しかし、結婚は期限のない契約です。一度カナダで暮らすことを選んだら、夫と共に日本へ再移住することは容易なことではありません。たとえ婚姻関係を解消したとしても、夫婦に子供がいた場合、日本人の母親がカナダ人の父親の許可を受け、子供と共に日本へ移り住むことは、ほとんど不可能であることをこれまで幾度となくお話してきましたね。

ですから、国際結婚を決める前に「結婚したらずっとカナダで暮らすことになる」可能性をよく理解してほしいと思います。そもそも「移住」とは、他の国に永住するために祖国を去ることであり、単なる「引っ越し」や「試しに住んでみる」のとは、覚悟の大きさが異なってしかるべきですね。移住も結婚も人生最大級の覚悟であることをしっかり自覚してください。

おやおや、すっかり説教臭くなってしまいましたね。前置きはこれくらいにして、披露宴と婚姻届についてのお話を進めましょう。

披露宴はどこで行うか?

さて、熟慮に熟慮を重ね、カナダを永住の地に選んだとします。そこで次に決めなければならないのは、結婚式についてですね。時代がどのように移り変わっても結婚披露宴は多くの女性の憧れです。しかし披露宴の準備は一筋縄ではいかないことをご承知おきください。

結婚式会場を探したり、ウェディングドレスを選んだり、晴れの日をすみやかに進めるためのウェディンチーム(ベストマン、ブライドメイドたち、そして参列するゲストたちを案内するアシャー)を決めたり…、さらにはゲストリストや招待状の作成などなど、あわただしい準備が待っています。

これらの煩わしさを避けるため、デスティネーション・ウェディング(リゾートホテルなどで行う小規模のセレモニー)は、ますます人気があるそうです。また、日本での結婚披露宴も人気が高いそうです。日本の親戚や友人へのお披露目は、花嫁にとって至福の時であるに違いありません。

このように、披露宴は、近年ますますクリエィティブになっており、様々な規模や様式があるようです。何れにしても結婚披露宴は、それぞれのライフスタイルによって自由に演出できますね。

婚姻届はどこで出すか?

ところで、結婚披露宴と婚姻届はまったく別のものです。婚姻届を個人の責任で提出する日本と異なり、オンタリオ州では、マリッジ・オフィシエントの前で結婚することで法的な婚姻手続きを代行してもらえます。

オンタリオ州で婚姻手続きを行う場合のマリッジ・ライセンスの取得法やマリッジ・オフィシエントの役割などをお知りになりたい方は、本誌2016年8月号をご参照ください。また、日本でカナダ人との婚姻を届ける場合には、マリッジ・ライセンスに代わる独身証明書(婚姻要件具備証明書)を入手する必要があることは、本誌2017年8月号でご紹介しました。

婚姻届けを出す場所はどちらでも構いません。しかし、配偶者としての権利を守るためには、日本でもカナダでも、婚姻届けを出しておくべきでしょう。オンタリオ州の婚姻は総領事館に届け出ることで、日本での婚姻はサービス・オンタリオに登録することで、日本とカナダ双方で正式な婚姻関係であることが認められます。

結婚披露宴は、「二人の覚悟を大切な人々に知ってもらうための儀式」、婚姻届けは、「二人の覚悟を社会的に認めてもらうための契約書」なのです。