【第9回】「明日の暮らし」と「将来の展望」|私、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話

【第9回】「明日の暮らし」と「将来の展望」|私、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話

「カナダ人の夫はやさしくて家事や育児に積極的、 生まれてくる子供は可愛いハーフ…憧れます、国際結婚!」

国際結婚やカナダ人男性のイメージを独身女性にたずねると、しばしばこんな応えが返ってきます。そんな彼女たちが、カナダ人男性と出会ってしまったら、国際結婚へ一直線なのも無理はありません。

恋愛中の、とにかく彼と一緒にいたい時期に、「もし」や「たとえば」が忍び寄るスキはありません。まして、「何もかも彼に任せておけばよい…」という希望的観測が、極めてリアリティに欠けていることを知る由もないでしょう。国際結婚を決めたばかりの女性の多くは、国際結婚の外輪がやっと見える程度で、結婚後の生活が具体的に描けていないようです。そこで、今回のテーマは、国際結婚を決め「カナダへ嫁ぐ」ことになったあなたが、どんな心構えができるかについての提案です。

国際結婚と生活力

生活力とは、単に経済的な後ろ盾を指すのではなく、社会生活を営むのに必要な能力のことを指します。まずは次の質問に答えてみてください。

1、夫となる男性の年収を知っていますか?
2、結婚後の生活費はいくらでしょう?
3、二人の貯蓄総額はどれくらいありますか?

日本で暮らす婚約中の女性であれば、「32歳の彼は、国立大卒で上場企業に勤務、年収は600万円。貯蓄は二人合わせて500万くらい。結婚後は今彼が暮らしている賃貸マンションで暮らし、私も仕事を続けます。生活費をなるべく切り詰め、5年後には通勤時間1時間以内の場所に分譲マンションを購入したいと思っています」くらいの返答がすぐに返ってくるはずです。

日本で結婚を考える時には、必ず考える「明日の暮らし」や「将来の展望」が、相手が外国人になったとたん、影をひそめがちなのはどうしてでしょう。

国際結婚して夫の国で暮らす場合、相手の生活力にも自分の自立心にも無頓着になりがちです。 

先の「夫の国で暮らすのだから、生活のことは彼に任せておけばよい」という思いが、影響しているのかもしれません。また、冒頭のような国際結婚に対するイメージから、国際結婚をどこかしら夢物語のように捉えているのかもしれません。

けれども、国際結婚を決めたなら、即刻そんなイメージから脱却し、あなたの生活力の源となる自立心と想像力を駆使してもらいたいものです。

ライフスタイルとビジョン

あなたがカナダで生活するなら、 「国際結婚すれば、専業主婦になれる」という妄想だけは早めに捨てましょう。そうすれば、先のことが具体的に考えられるようになるはずです。

結婚後、どんな仕事ができるかしら? 二人で暮らすための家賃っていくらかしら?生活費ってどれくらいかかるのかしら?…などはどれも、日本で暮らしていたなら、真っ先に考えることですよね。国際結婚であるならば、これに加えて、常に「もし…」「たとえば…」に目を据えることのできる冷静さも大切です。

人のライフスタイルはそれぞれ異なります。どんな道をどう選ぼうと、誰からも文句を言われる筋合いはありません。でもビジョンに欠ける生き方を選ぶと、しんどいことも多いです。まして母国語が通じないところで暮らすのであれば、なおさら自分と自分の暮らす社会をしっかり把握する必要があるように思えます。

そのためには、夫婦、夫の家族や子供も含めた家族、そして職場やその他のコミュティなど夫婦が生活する社会の三つに心を配る必要があります。

国際結婚への提言

まず、日常生活での役割分担や相手への期待について、夫となる男性と話し合うことは、明日の暮らしを成功に導くために欠かせません。

さらに、夫や自分の家族との付き合い方や、子供は欲しいのか、いつ頃何人くらい欲しいのか、子供たちに日本語を教えたいのかなどを語り合うことで、二人が家族となってゆくための方向性が徐々に見えてくるはずです。

そして社会との関わり、例えば就職、ボランティア活動などに目を向けてください。新しい場所で、家庭以外に自分の居場所を得ることは、見過ごされやすい、けれども大切なことです。

外の世界と繋がり、人間関係を築いてゆくことを過小評価しないでください。言葉の壁や海外生活の不自由さ、そして何より、言葉にならない焦燥や孤独は、夫の愛情だけでは埋められません。

国際結婚を決めたあなた、5年後、10年後、20年後…あなたはどんな自分でありたいですか。