迫る2020年米国大統領選挙 民主党指名争いを繰り広げる候補者たちの大麻合法化におけるスタンスは?|特集「カナダ大麻合法化」から1年が経過して分かったこと

カナダ人も知らない(かもしれない!?)カナダの秘密を一挙公開!!

迫る2020年米国大統領選挙 民主党指名争いを繰り広げる候補者たちの大麻合法化におけるスタンスは?|特集「カナダ大麻合法化」から1年が経過して分かったこと

 22020年米国大統領選挙の最初の予備選挙まで残り約半年。大麻はかつてリベラルのみが支持する者だったが、この4年で米国の大麻に対する認識は大きく変化した。それは候補者の大多数が大麻合法化を推進していることからも明らかだ。

 カナダでも、米国民主党指名争いを繰り広げる候補者たちがトランプ大統領に挑もうと列をなしているのをハラハラしながらニュースで追っている方もいるのではないだろうか?今回はその候補者たちの大麻に関するスタンスをチェックしてみよう。

Bernie Sanders バーニー・サンダース

 すべての米国民への一律の医療保険適用や金融業界批判を提示し、最低賃金引き上げの政策を掲げているサンダース上院議員。乱立する民主党候補の中ではバイデン氏に続き、頭一つ抜き出た存在となっている。サンダースは2016年の選挙で大麻の合法化を支持した最初の主要党大統領候補で、20年前から大麻の合法化を推進し手織り、現在議会でのマリファナ正義法の主要なスポンサーの1人でもある。

 サンダースは現在大麻がコカインやヘロインなどの強力な麻薬と同じ範疇にあり、州によって規制物質法の下で依然として違法であることに関し、その区別が「正気ではない」と表明。「大麻の長所と短所を論じることはできるが、大麻はヘロインではない。大麻の禁止を終わらせなければならず、それは米国大統領としてやるべきことだ」と述べている。

Kamala Harris カマラ・ハリス

 カリフォルニア州の32代目州司法長官を務め、カリフォルニア州選出の上院議員に就いるカマラ・ハリス上院議員は、初の女性大統領を目指す候補者だ。ハリス氏は米国内の大麻関連法を改正し、有色人種のコミュニティに多大な損害を与える麻薬戦争の被害者を支援する法案に取り組んでいる。

 法案は「大麻の機会再投資および免責法」と題され、数十年に及ぶ麻薬戦争で最も被害を受けた地域社会を支援することも目的とし、大麻産業によって生み出される年間税収の50%を職業訓練、再入国サービス、法的支援、識字プログラム、若者のレクリエーション、メンタリング、薬物乱用サービスを促進するプログラムに充てることで地域社会に投資するものだ。

 助成金は少数派が所有する大麻業界の小規模企業を支援に使われ、規制ライセンスの供与や麻薬戦争で不当に被害を受けた個人の雇用に対する障壁を最小限にする取り組みにも資金を提供する予定である。

Joe Biden ジョー・バイデン

 民主党候補争いでリードしている元副大統領のジョー・バイデンは、大麻合法化に反対し続けてきた唯一の2020年の民主党候補である。「数オンスの大麻で刑務所に誰かを送り込むこととそれを合法化することには違いがあります。大麻合法化は間違いだと思います。大麻はゲートウェイドラッグであると今でも信じています」と2010年に述べている。

 しかし、今年7月中旬にトランプ氏以外の唯一合法化に批判的な候補者であることに気づいたバイデン氏は、スタンスをやや変更。
 10ページにわたる正義改革提案を発表し、大麻の非犯罪化、コミュニティへの200億ドルの予防資金、警察による人種プロファイリングの削減努力、刑務所での職業訓練の増加、私設刑務所の終結などのアイデアを発表。「私の刑事司法改革パッケージは、他の誰のものよりも強力だと思います」とバイデンは述べている。

Elizabeth Warren エリザベス・ウォーレン

 民主党最左派の一人で、オバマ前政権でリーマン・ショック後の消費者金融保護局設立の助言役だった、マサチューセッツ州選出の上院議員のウォーレン。先住民高水準の家計債務や学生ローンの状況を踏まえ、米経済情勢は不安定とし、リスク低減に向けて今後10年にかけて環境問題リサーチや製造業、輸出に2兆ドルの投資を行うことを提案。投資によって100万人強の雇用創出につながるほか、気候変動問題への対象を可能にすると主張している。

 ウォーレンは2016年の州の成人用大麻法案を支持していなかったが、その後スタンスを変更し、連邦禁止を終わらせるための広範な大麻改革法案を承認している。

Cory Booker コリー・ブッカー

 ニュージャージー州選出の上院議員のブッカーは、オバマ前大統領に続く2人目の黒人米大統領を目指し、女性の権利拡大や同性婚支持を唱えるなど、党内でも最左派リベラルの一人に位置づけられている。一方で、2013年に金融界から多額の献金を受け取っている過去やウォール街への近さが批判されている。

 長年の麻薬戦争の批評家と大麻改革の提唱者で、薬物戦争によってもたらされた損害の修復を支援するための合法化と社会的公平性プログラムの両方への彼の支持していたが、「マリファナ正義法」のスポンサーになり、大麻法の水準を引き上げている。

Andrew Yang アンドリュー・ヤン

 駆け出しの政治家でありながら、破竹の勢いで人気を上げている華人系起業家のアンドリュー・ヤンは、弁護士、慈善家、都市での雇用創出に焦点を当てた非営利団体の創設者で初のアジア系候補者である。

 現在候補指名争いでトップ6に食い込むまでになり、Yang Gangという熱狂的な支持者が多い。他の大統領候補者が取り上げない自動化とUBI(最低所得保障制度)を取り上げ、米国の全ての成人に1カ月あたり1000ドルの「自由の分配」を導入することで、貧困状態や賃金の停滞を緩和し、オートメーションに苦しむ米国民を守るという大胆な政策案を打ち出している。

 ヤンは連邦レベルでの大麻の完全な合法化を支持し、規制物質リストから削除すると表明。大麻関連使用あるいは所持犯罪の連邦有罪判決を抹消すると発表している。「一部の州では合法であるにも関わらず大麻が犯罪化されているのは、愚かで人種差別です。大麻の完全な合法化を進め、非暴力的な大麻に関連する犯罪によって刑務所にいる人たちを恩赦するべきです」と述べている。

本文=菅原万有
企画・編集=TORJA編集部