Quarantine Act(疫病隔離法)|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報

Quarantine Act(疫病隔離法)|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報

 カナダには、「Quarantine Act」という法律があることをご存知ですか?カナダ議会において2005年に定められた法律であり、日本語に訳すと「疫病隔離法」となります。2002年から2004年にかけてSARSが流行し、カナダ国内に混乱をもたらした際、政府が制定した憲法です。この憲法を行使することは長年なかったものの、本年3月25日にカナダのMinistry of Healthの大臣がCOVID-19の影響を受けて行使を決定しました。

Quarantine Actとは

 「Quarantine Act」の効力としては、下記内容が該当します。

  • □ カナダ出入国時に検疫を義務付けることができる
  • □ 隔離施設を指定することができる
  • □ 緊急事態宣言をし、個人や貿易におけるカナダ入国を制限できる
  • □ Quarantine Actに従わない者を罰することができる

 つまり「Quarantine Act」を大臣が行使したことで、カナダ国外からの入国を制限すると共に、入国を許されている者はカナダ入国後14日間自己隔離を行わなければならないこと、COVID-19の症状がある場合には政府が指定した隔離施設にて検査を受け、隔離期間を経なければならないなどの具体的な内容が発表されました。当初はこれらのルールについて混乱された方も多かったかと思いますが、今となれば人々の間で「長距離移動=14日間の隔離期間」が既に暗黙の了解になったのではないかと思います。それだけ「Quarantine Act」の影響力が大きかったと言えるでしょう。

ビザ申請にもQuarantine Actの影響が

 4月1日は日本では年度始めですので、毎年3月には多数の日系駐在員の方々がカナダに渡航されます。COVID-19の影響が出始めた3月16日以降、「カナダ支社設立のために、日本本社より10名、重役クラスの駐在員をカナダに渡航させ、長期滞在させる必要あり」とのご連絡をお客様よりいただきました。「Quarantine Act」が行使となり、Travel Restrictionが発令されていたため、制限だらけの状況で、且つ支社設立日までの限られた時間内において、10名分のWork Permitの承認を得ることは並大抵のことではありませんでした。

 どのようにしてこれらの方々がWork Permitを手にされたかということは割愛致しますが、最終的には皆様無事にTravel Restrictionの中でもご渡航され、Work Permitを取得されました。そしてホッとしたのも束の間、ご入国日から2週間後に、Representative(代理人)である私宛にIRCC(カナダ移民局)のInvestigation Unitのオフィサーより電話がかかってきました。

 「先日、何月何日に入国した、何々会社の何々さんについてあなたとお話がしたいのですが」という内容でした。お客様が何日にカナダに入国されたか、そしてどのような役職であるか、オフィサーは全て細かく把握していました。

 オフィサーの要求としては、「『Quarantine Act』に則って、今日から7日以内に本人がどのように空港から家まで移動したか、どのように14日間隔離期間を経たか、この期間中どのように業務を遂行したか、そしてこの14日間給与は会社から支払われていたかということを全て証明すること」というものでした。

 これまで駐在員としてカナダにWork Permitでご渡航されたお客様で、Investigation Unitから「Work Permit申請時に雇用主(或いは代理人である私)がEmployer Portalを通して登録したJob Offerの内容(職務内容や給与)に矛盾がないか証明すること」というリクエストを受領し、対応した経験はありました。

ただ今回のように、「Quarantine Act」に則ってInvestigation Unitよりリクエストを受領したことはなかったため、リクエストの内容について少し戸惑いながらもオフィサーと電話口で話していましたところ、ちょうど4歳の娘が「マミ、うんちしたから手伝って!」と叫んだことでオフィサー(女性)も大笑いし、「私の娘も全く一緒なの。大事な電話であればあるほどこういうことが起きるのよね」と言い、二人で大笑いでした。その後は温和にどのように対処すべきであるかということを話し合うことができました。

 要求された書類やフォームを期限以内にオフィサーに提出し、結果的にはIRCCより正式に「問題無しとみなす」とのレターを受領しました。ビザの申請にも「Quarantine Act」の影響が及んでいることをひしひしと実感した出来事でした。