ドラァグクイーン・ストーリー Drag Queen Story|特集 カナダ「LGBTQ+」

“もし何かやってみたいことがあるなら、1回やってみればいいと思うわ。失うものは何もないはず。簡単なことよ。あなたにとってこれは楽しそうと思うことがあるなら、やるしかない。私の場合はそれがドラァグクイーンだったけど、まずはやってみないとそれが得意なことかどうかもわからないでしょ?ぜひチャンレンジしてほしいわ”
Cira Flexionさん(Bayley Mieyette)

きっかけ

 4年前にトロントに引っ越してきて、友達から「ドラァグクイーンをやってみないか?」とすすめられたことがきっかけよ。当時まだ19歳で、地方から来た私は自分がドラァグクイーンの仕事をやるなんて夢にも思っていなかったわ。そもそもドラァグクイーンという存在も知らなかったし。ハロウィンのイベントの日、友達がバーに連れて行ってくれて、そこで初めてパフォーマンスをしたんだけど、その夜からドラッククイーンとして仕事をすることに決めたのよ。

変わったと思うこと

 ドラァグクイーンとして活動を始めてから、自分の家族が見つかったと感じたわ。ドラァグクイーンのコミュニティはお互いとても身近な存在で同じ価値観を共有しているの。その家族と一緒に過ごせることはとても居心地がいいわ。ドラァグクイーンとしてだけじゃなくて、ありのままの自分として自信をもてるようになったし、自尊心を高められるようになったわ。

カナダの『LGBTQ+』社会

 『LGBTQ+』は過去に比べて、ここ数年ではるかに発展してきていると思う。少し前は『LGBTQ+』も今とは少し違っていて、ゲイの人はゲイ、レズビアンの人はレズビアンというそれぞれ個々になっている感じがしたけど、今日のコミュニティは、ゲイやレズビアンやトランスジェンダーみんな集まって一つの家族であり仲間になっている。そしてそれはとっても大切なことだと思うわ。

 特にカナダは『LGBTQ+』に対してとてもオープンな国。本当の自分を包み隠さず自分らしくいられることを受け入れてくれるカナダは多くの人から愛されているし、そのために移民してくる人もいるくらいよ。それともう一つはカナダの法律がしっかりしていること。仕事を探していて、ゲイだからという理由で雇ってもらえない、なんていうことがないというのも法律がしっかりしているおかげだと思うから。一人一人が自己表現ができて幸せな暮らしがしやすい国ね。

 でもその一方で、カナダでも地方ではまだまだ保守的な考え方が根強いのも事実。私はトロントから車で4時間ほど離れた町に住んでいたけど、そこではゲイとして外にでることもなかなかできなかったの。自分を隠さなければなかったわ。トロントだと自分をありのままさらけ出すことができるし、『LGBTQ+』が当たり前に受け入れられているけれど、もし地元の町でドラッククイーンなんてやったら、みんな私を頭がおかしい人だと思うに違いないわ。

 トロントは多様な人々で溢れているしそこには多くの可能性があるけれど、近い将来、地方の方でもトロントと同じくらい『LGBTQ+』コミュニティが受け入れられていくといいなと思っているわ。
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“自分らしく自然体で心地よく生活できているし、この国に生まれて本当によかったし恵まれているといつも感じているわ”
Fiercaliciousさん (Paulo Fortes)

きっかけ

 将来は漠然と医者になりたいと思いながら、大学ではサイエンスやバイオロジーなどを勉強していたわ。でもある日、友達に連れられてドラァグクイーンのショーを見に行った時に、恋に落ちてしまったの。こんなにもクリエイティブで華やかな世界があるんだと感銘を受けてしまった。今までの人生ではサイエンスや数学ばかりの世界で生きてきたけど、ドラァグクイーンはそれと正反対だったから。それから、自分もドラァグクイーンになりたいと思い始めたの。

ドラァグクイーンになってよかったと思うこと

 たくさんあるわよ。音楽が大好きだから、ステージでパフォーマンスしているときはもちろんだけど、自分の話を語ったりするのも好きだし、ショーの後に、お客さんと一緒に話したりするのも楽しみの一つね。すごく楽しい仕事をしていると思うわ。

カナダの『LGBTQ+』社会

 過去に比べてカナダはますます『LGBTQ+』を受け入れてくれていると思う。残念なことだけど、ゲイやレズビアンを受け入れていない国は今でもたくさんあるし、自分のアイデンティティをさらけ出すことができない人たちがいっぱいいるわ。そんな中でカナダは、そういう人たちやコミュニティに対してとてもオープンでいてくれている。それがどれだけ素晴らしいことかに気付いてない人も多いけれど。