第9回(続)大学院生満足度アンケート調査 | University of Toronto |メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

第9回(続)大学院生満足度アンケート調査 | University of Toronto |メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情

 前月号に引き続き、今回もThe Canadian Association for Graduate Studies(CAGS)が行ったトロント大学院生満足度アンケート結果の中から私が気になった項目をいくつか取り上げていきたいと思います。

1.専門能力開発の機会や就職アドバイスへの満足度

 Professional Skills Development Activities(専門能力開発活動)への満足度(表1)に対する回答結果では、Doctoral(博士課程)とResearch Master’s(研究系修士課程)学生の満足度はほぼ似たようなランキングとなっています。13項目中で特に満足度が高い項目は、「Feedback on Your Research(研究へのフィードバック)」と「Courses, Workshops or Orientation on Teaching(教育/教授法に対するコース、ウォークショップ、またはオリエンテーション)」で、多くの大学院生がこれらの項目を高く評価しているのに対して、「Advice/Workshops About Research Positions(研究職などへのアドバイス)」や「Advice/Workshops About Career Options Outside Academia(学術研究機関以外へのキャリアアドバイス)」など、就職支援やキャリアアドバイスに関係する項目への満足度が低い結果となっています。

 また表2のDoctoral学生に対するネットワーキングの機会への調査ですが、各項目のネットワーキング活動に参加することは重要だ(青色)と考える学生に対して、実際にネットワーキングをする機会を得た(緑色)学生の割合はStudy Abroadの項目以外はすべて半分ほど低い評価となっています。Research Master’s(研究系修士課程)とProfessional Master’s(実務系修士課程)学生も同じような評価を示しています。

2.大学からの資金援助への満足度

 トロント大学の大学院生は各プログラムによって様々な資金援助を受けており、Doctoral学生はGraduate Teaching Assistantship(61%)とUniversity Funded Fellowships(56%)によるサポートが最も多いですが、Research Master’sとProfessional Master’s学生は、学資ローン、貯金や家族からのサポートがResearch Master’s(44%)とProfessional Master’s(70%)と最も高い結果になっています。資金援助の満足度はDoctoral学生(58%)に対し、Research Master’s学生は(66%)とProfessional Master’s学生は(60%)となっており、修士課程に在籍する学生の満足度が高いことが分かります。

3.大学の各種リソースや学生生活への満足度

 20項目ある大学のリソースやサービスの中で、図書館の施設が最も満足度が高く(95%)、次にスポーツ施設(91%)や研究室の施設(83%)への満足度が高い結果となっています。その中でも、オンブズマン•オフィスや育児施設など実際に使用される率は10%未満ではありますが、使用した大学院生の満足度は70%以上と高く評価されてるリソースもあります。また大学の施設やサービスの中で満足度が最も低い評価はFood Services(45%)、そして次にHousing Assistance(58%)とPublic/Campus Transportation Service(61%)と残念ながら学生生活に直結するサービスへの満足度が低いことが分かります。

4.大学院生活全般への満足度

 最後に4つの項目(質の高い学術的経験、大学院生の生活、大学院プログラム、総合的な大学院での経験)への満足度ですが、全体的にポジティブな回答結果が出ています。大学院生が最も高く評価した項目は、質の高い学術的経験(91%)で、次に大学院プログラム(85%)と総合的な大学院での経験(86%)が並びますが、大学院生の生活(75%)と最も低い評価となっており、これは前年の調査と同様に低い結果ということが気になります。