第9回 「退職口座」|ファイナンシャルアドバイザーが解説!カナダの保険・投資商品

第9回 「退職口座」|ファイナンシャルアドバイザーが解説!カナダの保険・投資商品

雇用主を辞めるとき、多くの人々は、年金受給資格を元の雇用主に残すか、個人のロックイン退職貯蓄プラン(LRSP)またはロックイン(LIRA)退職口座(以下LIRAとします)に移行するかどうかを決めなければなりません。あなたが確定拠出年金またはマネーパーチェスプラン(掛け金建て年金プラン)に属しているなら、年金受給金額は、市場価格で、個人のLIRAに移行することができ、企業年金で投資オプションが規定されているのに対し、LIRAでは、自由に、多様な投資オプションに投資できるので、移行は有利であると言えます。ただし、確定給付年金制度に加入されている方にとっては、LIRAに移行することが有利であるとも限りません。 

 多くの場合、所得税法によって、LIRAに年金受給金額の全額を移行することは禁じられています。規則8517は、年齢に基づいて、年間給付額を掛けた係数を提供します。この係数は、インデックスや早期退職機能などを考慮しないため、LIRAに移行できる最高金額が、思ったより少ないと感じられることがあります。

 例えば、現在の雇用主を50歳で退職したと仮定します。あなたの年金受給金額が350,000ドルとすると、65歳から毎年2%のインデックスが付けられ、年間の受給金額は27,000ドルとなります。所得税法に基づき、受給金額を個人のLIRAに移行することを選択した場合、移行を許可される最高額は253,800ドル(27,000 x 9.4の係数)になります。

残りの96,200ドルは、課税対象となり、 45%の税率では、税引き後の残高は52,910ドルになります。これらの金額の両方を投資するにあたって、LIRAに253,800ドル、課税対象口座に税引き後の一括税額52,910ドルを15年間投資する場合、65歳で、27,000ドルの同じレベルの年金プランを購入するために528,2011ドルが必要となり、この金額を達成するためには、毎年3.69パーセントの収益率が必要になります。このレベルの収益率は、低金利の環境でも、達成できる可能性があり、このケースは、多額の税金がかかるにもかかわらず、LIRAへの移行は有利であると思われます。しかし、このようなLIRAへの移行が常に有利であるとは限りません。

 多くの場合、会社からの早期退職のパッケージを受け取り、受給された年金をLIRAに移行しても、課税対象額を考慮すると、企業の年金プランの方が有利であることがあります。また、企業年金の場合は、企業が投資リスクを負っていますが、自分で投資する場合は、自分でリスクを負わなければいけません。退職後の医療保険、元の雇用者が安定しているかどうかなど、その他を考慮して、LIRAに移行された方がいいかどうかを、ご判断される必要があります。