【カナダ留学のプロに聞いてみた】ワーホリ帰国後の就職・転職って実際どうなの?|特集「カナダワーホリのその先」

East-West Canada Education Services
高林 紘子さん

就職・転職活動における「ワーホリの価値」がなかなか高まりを見せません。

 昔に比べて近年ワーホリは誰でも簡単に参加できるというものという印象があり、ワーホリでの留学経験を持っていること自体は特別珍しいことでもないことを日本の雇用主側は感じているかも知れません。

 正直なところ1年程度の海外経験では特に採用を大きく左右するほどの基準にはなっていないのだと思います。

そもそもワーホリというシステム自体、留学というよりは〝働きながらホリデーを楽しむ〟というものでもあるので、その後の就職に繋げるという意識自体は最初から若干趣旨からずれている点も否めません。

 
 近年の傾向では、「ワーホリの価値」を意識している人よりは、自分も一度海外で暮らしてみたいと思っていたから参加してみたとぼんやりした感じの方が多いように思います。

 最初から資金を用意せず、英語の勉強も意識せず、いきなりアルバイト漬けの生活を始めるなど、まるでカナダに出稼ぎにでも来たつもり?という人もみられます。

 こういった傾向が続く限りはワーホリ経験を帰国後の就職に活かす方向につなげるのは難しいと思います。

貴社顧客のワーホリ帰国後の就職事情について教えてください。

 それぞれ帰国後の状況が異なっているので一概にはいえませんが、多くの方は帰国後に無事に就職先を見つけて働いている方が多いと思います。

 ワーホリ前後との違いとしては、就職への意識自体が少し変わったのではないかと思われます。ワーホリ前は日本で就職を考えるにあたり、「新卒、正社員契約、福利厚生」などにこだわる傾向が見受けられましたが、

 ワーホリ後はむしろ派遣、契約社員など、自由が効き易い仕事を見つける傾向が増えてきています。

 他の国にも行きたくなったのでその準備をしていますという方も増えましたし、 起業した方も何人かいらっしゃいますね。

ワーホリ→カレッジ進学といったケースもも増えていると聞きますが、他方でカレッジ卒業後の就職や進路に苦戦する話も聞きます。

 確かにカレッジ進学者は増えたように思います。ただ日本人でワーホリからカレッジ進学する場合、その目的のほとんどが専門性を学び、本格的なスキルを身につけて職につなげたいわけではなく、進学をすればカナダに長く滞在でき移民に繋げやすいからという理由が先に来る方も多くなってきました。

 英語力もギリギリで進学し、なんとかついて行ってギリギリ卒業できた、というパターンが多く、当然ながらそのレベルでは現地企業への就職に有利に働くはずはありません。

 自身のスキルと経験を買われて現地企業に就職するというケースは現実には少ないように思いますし、学んだ内容とはあまり関係ない職場で何となく働いているという方や、就職ができず日本に帰国する人も増加しているのではないでしょうか。

 

たしかにインターネットなどでワーホリのその後における就職やキャリア関連を調べてみるとあまり肯定的な意見やポジティブな感想が見受けられません。

 厳しい言い方をしますが、日本人特有の傾向なのかワーホリを自分なりに有効活用して経験値を高めるための自主的な行動を起こすような人は少なく、結局その他多くの人達と同じように語学学校にほんの数ヶ月通い、カフェなどでルーティンワーク的なアルバイトをし、大して特別な経験やスキルにつなげているわけでもなく、1年を終えるという方が多い現状で、ワーホリ後の就職に過度な期待をするのは無理があると思います。

 一方で、働くことより英語力の向上やしっかり語学学校に通ってコミュニケーション力と世界観を広げることにフォーカスを充てるという方もいます。語学学校の後はカナダ中を旅したり、イベントやボランティアに参加したり、ファームステイをしてみたりと日本ではできなかった体験をすることに重点を置く方もいます。

 むしろそういった方は、帰国後の就職に関してもそれほど心配されていないような印象を受けます。

「ワーホリのその先」を見据えた考え方のアプローチをどのように実践するかアドバイスをお願いします。

 ワーホリをしたら何かに繋がるかなとただ漠然と考えるのではなく、何を経験してどのようにその先に繋げていきたいのか、あるいは自分は何がやりたいのか・何ができるのかということを常に考えながら自主的な行動をとるようにしましょう。色々な可能性につなげられるように柔軟な考え方が大事だと思います。

 資格に限らず、経験という意味でも何か自分でアピールできることを増やす努力ができると良いですね。

 将来について悩むこともあると思います。そんな時は、一度経験豊かな留学カウンセラーに相談してみるのも一つの手ですね。