【6月16日〜30日】「トロント日本映画祭」注目作品と全作品ガイド

 ついにトロント日本映画祭(TJFF)が日系文化会館・小林ホールに帰ってくる!TJFFでは、日本で観客や映画評論家に評判の良かった映画や、海外の映画祭や日本アカデミー賞で評価を得た話題の映画を上映。今年は、日本に先駆けて上映される作品から、ここ1~2年の間に日本で公開されて話題を呼んだ作品まで充実のラインナップだ。上映全作品の紹介とともに、TORJA映画コラムニストみえさんがおすすめ作品を厳選して解説する。

チケット・全作品の詳細はこちらからhttps://jccc.on.ca/ja/films/tjff

TORJA映画コラムおなじみのMieセレクト!注目の10作品

6月25日(土)午後4時

1.『あのこは貴族』

“誰しもがうすうす感じていながら明言されてこなかった日本社会のありようが克明に提示され、はっとさせられます。”

 東京の裕福な実家で何不自由なく育ち、適齢期になれば結婚していくのが当然の環境にいる女性と、地方のごく一般的な家庭に生まれ、上京して経済的にも苦労しながら生きている女性。見えにくいけれど確実に格差が存在する日本社会で、結婚や仕事に悩みながら、自分なりに精一杯生きていこうとする女性たちと、昔ながらの価値観で生きる親世代や男性たち。こんな日本の現代社会が、とても真実味を持って描かれています。

 同じ東京の街で暮らしていながら、実はあまり交わることのない彼女たちが出会ったとき、住む世界の違いを思い知らされることもあれば、立場の違いを越えて理解し合うこともある。異なるバックグラウンドを持つ女性たちが、男性が、あるとき東京の街で出会い、関わりあって、どんな思いをしながら未来を選んでいくのか。その過程でふと勇気づけられたり救われたりする清々しい作品です。

6月21日(火)午後7時

2.『ベイビー わるきゅーれ』

“殺しの仕事が二人の何気ない日常として登場し、キレッキレのアクションを見せながら活躍する姿は爽快です。その一方で、社会とうまく折り合いをつけられない若者らしい悩みはとても微笑ましく、そのギャップが楽しい作品です。”

 殺し屋として組織に雇われ働く二人の女性。高校卒業後は、殺し屋稼業だけでなくちゃんと仕事をしながら自立して生きていくように、との組織の方針から、二人は同居生活を始める。殺しの依頼を受けながらバイトの面接に行くけれど、なかなか社会になじめない。そんな日々の中、あるトラブルに巻き込まれる。

 主人公の女性のひとり、まひろを演じる伊澤彩織さんはスタントウーマンで、この作品のアクション場面はとにかくすごい。それだけでも見ごたえがある上に、性格が全然違う二人の関係性も面白い。こんな超絶アクションを見せながら等身大の若い女性を描くなんて、ちょっとこれまでの日本映画にはなかった面白さで、ぜひこの機会に観てほしい1本です。

6月17日(金)午後9時15分

3.『JUNK HEAD』

“驚くほど細部まで作り込まれた架空の世界に、不思議かつ魅力的なキャラクターが次々と登場し、笑いに満ちた動きで繰り広げられる地下冒険活劇。”

 環境汚染が深刻化し、人類は地下開発を進めるために人工生命体を創造したものの、人口生命体が反乱を起こして地下を支配した未来の世界。生殖能力を失って絶滅の危機に瀕する人類は、地下で進化を遂げる人口生命体の調査に乗り出す。

 こんなSF物語が、いまだかつて見たことのない豊かな動きをするストップモーションアニメで、聞いたこともない言語に乗せて展開します。これを7年がかりで、手作りしたフィギュアを1コマ1コマ撮影しながらストップモーションアニメとして作り上げた堀貴秀監督の頭の中は、もう一体どうなっているのかと思うほど。世界各地の映画祭で話題になり、逆輸入のような形で昨年日本公開されて大ヒットを収め、このたび満を持してトロントでの上映です。

6月26日(日)午後7時

4.『子供はわかってあげない』

“なんとも奇妙な関係性の中で過ごすひと夏が描かれるこの青春映画は、あちこちに存在する微妙な距離感がとても
滑稽で微笑ましく、爽やかで心地よい後味の残る作品です。”

 高校生の少女が、幼い頃にいなくなった父親の行方を探し出し、夏休みに水泳部の合宿を抜け出して父親に会いに行く話。少女が父親探しを依頼する探偵も、その探偵がいる書店の店主も、ようやく探し当てた父親も、その父親の家に出入りするご近所さんも、なんだか癖のある人ばかり。そんな中で高校生の少女と彼女を取り巻く人との関係は、ときにギクシャクして居心地が悪かったり、そうかと思えば心を通わせて笑い合ったり泣き合ったり。

 昨年のトロント日本映画祭で『おらおらでひとりいぐも』が上映された沖田修一監督の最新作です。

6月20日(月)午後7時

5.『先生、私の隣に座っていただけませんか?』

“観ていると、どこまでが創作なのか、本当のところはどうなのか、と夫目線で気が気ではなくなっていき、漫画の中の創作の世界と現実世界を混同させるような映画の見せ方も相まって、最初から最後まで緊張感たっぷりの面白い作品です。”

 売れっ子漫画家の妻と、長らく自分の漫画が描けていない夫。どこか関係が冷めた様子の漫画家夫婦の妻が、不倫をテーマに新連載の構想を始める。書きかけの漫画の原稿を夫が盗み見たとき、身に覚えのある不倫が描かれていて慌てふためき、さらに読み進めると現在進行形の妻の不倫を思わせる物語に、焦り始める。

 不倫がばれたのか、妻も不倫しているのか、と挙動不審になっていく柄本佑演じる夫に、夫に愛想を尽かせているのか怒っているのか、そして自動車教習所の若い先生に心奪われているのか、本心がつかみきれない黒木華演じる妻。二人の細やかな感情表現がずっと続くところも見ごたえがあります。

 二人の関係はどこに行き着くのか、次の展開が気になって仕方ない物語の面白さと、この関係の中で、二人がそれぞれに抱く感情をつぶさに見せ続ける豊かさとが同居していて、観て損はないと思います。

6月24日(金)午後7時

6.『騙し絵の牙』

“主人公の女性編集者を演じるのは、これまでにトロント日本映画祭で出演作が何度も上映されている松岡茉優さん。相変わらずの名演で、予想のつかないこの作品の展開に、彼女目線ですんなり感情移入させてくれます。”

 老舗出版社の社長が亡くなり、創業一族と、一族出身でない新社長とで権力争いの危機が発生。不採算事業ながら権威ある文芸誌の編集部はどうなるのか、社外からやってきた腕利き編集長が就任した雑誌はどうなるのか。出版社内で大御所作家に新人作家や人気モデルまで巻き込んで、思いもよらない騒動に発展していく。

 小気味良く予測不可能な展開を見せる物語が面白いのはもちろんですが、それだけにとどまりません。出版業界で小説でも雑誌でも面白いものを読者に届けようと奮闘する編集者の姿や、日本映画を牽引する俳優が大勢登場するキャストの豪華さなども、とても見ごたえがあります。

6月18日(土)午後1時

7.『余命10年』

“恋人に限らず、一番近くにいる家族との距離感には、互いに大切に思いながらも、病と闘う当事者と見守るしかない周囲との埋められない溝を思い知らされます。”

 若くして大病を患い余命10年と知りながら生きる女性が、生きる気力を失っている同級生の男性と、同窓会で再会する。二人で過ごす時間を重ねるうち、男性は徐々に生きる気力を取り戻し、地に足をつけて人生を歩み始める一方で、女性は彼に惹かれながらも自らに残された時間を考えて距離を置こうとする。

 日本映画にありがちな難病もののようでありながら、この作品が他の難病ものと一線を画していると思うのは、安易なラブストーリーに終始せず、病を抱えながら生きる人が直面する事態やその際に抱く心情を、丁寧に見せているところ。これは、原作小説を書いた小坂流加さんが、実際に病に倒れ亡くなられた方だからこそでしょうか。

 昨年のトロント日本映画祭で『ヤクザと家族 The Family』と『宇宙でいちばんあかるい屋根』がダブル上映された藤井道人監督の最新作です。

6月19日(日)午後7時

8.『ミッドナイトスワン』

“辛い現実の中にあって、寄り添い呼応する魂があること、さりげなく受け止める人がいることの救いが感じられ、とても心を打つ作品です。”

 男性として生まれたものの女性として生きるトランスジェンダーの主人公のもとに、育児放棄状態にあった親戚の中学生の少女がやってくる。社会からはみ出して生きることを余儀なくされてきた二人が、同居生活を続ける中で互いに少しずつ心を開いていく。

 社会の偏見や無理解に苦しみ、一番近くにいる家族や親族からも辛辣な言葉を投げかけられ、それでも自身の心の声に従って希望を見出していくストーリーです。

6月25日(土)午後1時

9.『ミュジコフィリア』

“京都を舞台に、鴨川の自然に囲まれた中で、音を奏でることへの根源的な喜びがあふれるような作品です。”

 芸大に入学した男性が、川原の自然の中で音を奏でていた音楽サークルの部員につかまり、入部することになる。実は音楽一家の確執の中で育った彼は、美術学部の学生ながら溢れるピアノの才能を見せ、天性の歌声を持つ女性は彼の才能に魅了される。

 音楽の英才教育を施され一流の技術を持ちながら、その音楽はどこか心に響かない兄と、本能的に自分の心からの音を奏でる弟、その弟の音色に魅了される女性に、兄弟の幼なじみであるバイオリニスト。そんな、音楽に情熱を注ぐ「ミュジコフィリア」の若者たちが、音楽に向き合い才能に悩む青春映画です。

6月26日(日)午後1時

10.『映画大好きポンポさん』

“映画制作に携わる人たちを描いたアニメ映画で、映画に対する愛情がそこかしこに感じられる90分。”

 映画プロデューサーの祖父のもとで育ち、映画や人を見抜く確かな目を持つポンポさん。祖父の後を継ぐようにプロデューサーになったものの、B級映画ばかり製作していたポンポさんが、彼女のもとでアシスタントをしていた青年に目をつけ、自分が書いた脚本の映画化を彼に任せようとする。

 いまどき90分映画は短いような気がするものの、きっと観終えた頃には納得してしまう充実の時間です。映画に魅せられ、映画を届けたい人、映画を観たい人、すべての映画好きにお勧めしたい作品です。

その他上映作品

6月16日(木)午後7時30分

『峠 最後のサムライ』

上映前: 午後6時半からオープニングレセプション

トロント先行上映! 敵軍5万人に、たった690人で挑んだ“最後のサムライ”!司馬遼太郎の名著『峠』、初の映画化。

 越後長岡藩の家老・河井継之助は、諸国への遊学で得た広い視野を持って、領民のための斬新な藩政改革を次々と実行していた。慶応3年(1867年)、大政奉還で徳川幕府は終焉を迎え、諸藩は東軍(旧幕府軍)と西軍(明治新政府軍)に二分していく。慶応4年、戊辰戦争が勃発するが、長岡藩は民の暮らしを守るため、戦争を回避しようと、スイスのような武装中立を目指す。しかし、継之助の平和への願いもむなしく、長岡藩もまた戦火に呑み込まれていく…

 世界的視野とリーダーシップを持った知られざる英雄・河井継之助が“最後のサムライ”として正義を貫く姿を描いた歴史超大作! 

6月17日(金)午後7時

『THE PURSUIT OF PERFECTION』

 サン・セバスティアン国際映画祭上映作品。日本を代表する4人のシェフに焦点を当て、日本のユニークで洗練された食文化の背後にある真実を探るドキュメンタリー映画。

 芸術面、技術面で”完璧を追求する”4人のシェフの、それぞれの異なったアプローチを描いている。ある者は精神的な修養、美的な創造性を追い求め、またある者は質の高い食材を求めて⽣産者や仲卸業者との密接な信頼関係を作り上げていく。彼らのパーソナリティや苦悩がどのように傑作を生み出していくのか?東京は世界で最も偉大な食の街の1つであることに気付かされる、フード・ドキュメンタリー!

6月18日(土)午後4時

『犬部!』

 獣医学部に実在したサークル「犬部」を元に描いた、青春“犬ラブ”ムービー!

 青森県に住む花井颯太22歳は獣医学部生。子供の頃から大の犬好きで、たくさんの保護動物と暮らしていた。ある日実験犬を救ったことから動物保護活動をサークルにすることを思いつき、同級生の柴崎と「犬部」を設立。卒業後颯太は獣医師としいて動物病院で働くことになるが、16年後、動物を救いたいがため颯太はある事件を起こしてしまい、知らせを聞いた「犬部」のメンバーたちが集結する。  

6月18日(土)午後7時

『孤狼の血 LEVEL 2』

 暴力と狂気がはびこる街で、刑事、暴力団組織、マスコミ、そして女たちの壮絶なバトルロイヤルが幕を明ける!原作は柚月裕子の「孤狼の血」。3年前に暴力組織の抗争に巻き込まれて殺害された、伝説のマル暴刑事・大上の跡を継ぎ、広島の裏社会を治める刑事・日岡。しかし、刑務所から出所した“ある男”の登場によって、その危うい秩序が崩れていく…。ヤクザの抗争、警察組織の闇、マスコミのリーク、そして圧倒的な上林の存在によって、日岡は絶体絶命の窮地に追い込まれる! 

6月19日(日)午後1時

『妖怪大戦争 ガーディアンズ』

 「妖怪大戦争」に続く超ド派手妖怪ファンタジー・アドベンチャー!

 フォッサマグナから出現した巨大な妖怪獣により、日本は未曾有の危機に陥った。妖怪獣が東京に進撃すれば、人間も妖怪たちもタダでは済まない。この危機に妖怪たちは伝説の武神「大魔神」の力を借りようと、古代の妖怪ハンターの血を受け継ぐ気弱な少年ケイに白羽の矢を立てる。しかし妖怪たちは間違えてケイの弟、ダイを連れ去ってしまう。

 妖怪剣士・狐面の女、狸の大妖怪、そしてケイの命を狙う鬼の一族まで現れて、全てを巻き込んだ妖怪大戦争がついに始まる!

6月19日(日)午後4時

『マスカレード・ナイト』

 東野圭吾のベストセラー小説『マスカレード・ホテル』の映画化シリーズ第2弾。

 ある日、警察に届いた匿名の密告状には、都内マンションで起きた殺人事件の犯人が、大みそかにホテル・コルテシア東京で開催されるカウントダウンパーティ「マスカレード・ナイト」に現れると書かれていた。大晦日当日、警視庁捜査一課の新田浩介はフロントクラークとして、潜入捜査をすることに。コンシェルジュの山岸尚美と事件解決に当たるが、パーティ参加者は総勢500名、全員仮装というものだった!二人は殺人犯の「仮面」に隠された「真実」に辿り着くことができるのか?

6月22日(水)午後7時

『老後の資金がありません!』

 第45回日本アカデミー賞で優秀主演女優賞(天海祐希)、優秀助演女優賞(草笛光子)を受賞。

 人生100年時代、老後資金に2000万円が必要?!親の葬儀、娘の結婚、夫の失業、浪費家の姑との同居…!現代日本が抱えるお金の問題に、普通の主婦が立ち向かう!家計に無頓着な夫、フリーターの娘、大学生の息子と暮らす主婦・後藤篤子は、あこがれのブランドバッグも我慢して、夫の給料と自分のパート代をやり繰りし、コツコツと老後の資金を貯めてきた。しかし、葬儀、失業など、老後の資金を目減りさせる出来事が次々と降りかかる。そんな中、浪費家の姑と同居することになり、窮地に立たされた篤子の我慢はピークに達する!!

6月23日(木)午後7時

『そして、バトンは渡された』

 本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの同名ベストセラー小説の映画化。

 血の繋がらない親に育てられ、4回も苗字が変わった高校生の優子は、現在、料理上手な義理の父・森宮さんと2人暮らし。将来や友だちのことなど様々な悩みを抱えながら、卒業式のピアノを任され猛特訓する日々を送っていた。一方、夫を何度も変えながら自由奔放に生きる魔性の女、梨花は、泣き虫な娘みぃたんに精いっぱいの愛情を注いでいたが、ある日突然、娘を残して姿を消してしまう。優子の元に届いた一通の手紙をきっかけに登場人物たちが交差し、彼らの秘密が紐解かれ始める。

6月25日(土)午後7時

『護られなかった者たちへ』

 佐藤健×阿部寛×瀬々敬久!日本映画最高峰のキャスト&監督が送る衝撃と感動のヒューマン・ミステリー。

 東日本大震災から10年目の仙台で、全身を縛られたまま放置され“餓死”させられるという不可解な殺人事件が相次いで発生。被害者はいずれも、誰もが慕う人格者だった。捜査線上に浮かび上がったのは別の事件で服役し、出所したばかりの利根。刑事は利根を追い詰めて行くが、決定的な証拠が掴めないまま、第3の事件が起きようとしていた…。 

6月26日(日)午後4時

『総理の夫』

 原田マハの小説『総理の夫 First Gentleman』の映画化。

 妻の凛子が日本初の女性総理になったことで、自身も史上初のファーストジェントルマンとして担ぎ上げられてしまった鳥類学者の夫・相馬日和。突然の事態に混乱する日和だが、内閣広報官から携帯にGPSをつけられ、日常生活も徹底的に管理されることに。それでも“総理の夫”の自覚がない鳥オタクの日和は、大企業ソウマグループの会長である母や、CEOの兄からも激しくハッパをかけられ、微力ながらも妻の夢を全力で応援しようと心に誓うが、予想だにしない激動の日々に巻き込まれていく。 

6月27日(月)午後7時

『Ribbon』

 私たちのアートを取り戻す。未来を奪われた美大生の再生物語。監督・脚本・主演のん!!

 コロナ禍の2020年。美大生のいつかは大学の卒業制作展が中止となり、1年かけて制作した作品を持ち帰ることに。様々な感情が渦巻いて何も手につかない彼女は、心配してくれる両親とも衝突してしまう。そんな中、絵を描くことに夢中になるきっかけをくれた友人との再会や、親友との本音の衝突によって心を動かされたいつかは、自分の未来を切り開くため立ち上がる。

6月28日(火)午後7時

『瞽女 GOZE』

上映前: 永田社中・てんてんの高橋アキさんによる三味線の生演奏

 三味線を奏で、語り物などを歌いながら、各地を門付けして歩く、盲目の女旅芸人・瞽女(ごぜ)。国の無形文化財保持者でもある最後の瞽女、故・小林ハルさんの半生を描いた人間ドラマ。

 生後3カ月で失明したハルは2歳の時に父と死別し、盲目のために7歳で瞽女になる。ハルが瞽女になると、それまでは優しかった母のトメは、ハルを厳しくしつける。それは、母親が子を思う愛情故だったが、それに気づかぬままハルは8歳でフジ親方とともに初めての巡業の旅に出る。意地悪なフジ親方からは瞽女として生き抜く力を、サワ親方からは瞽女の心を授かり、一人前の瞽女として成長していく。 

6月29日(水)午後7時

『キネマの神様』

 原田マハの同名小説を山田洋次監督が映画化。“映画の神様”を信じ続ける男の人生と、彼を取り巻く人々との愛や友情、家族の物語を描く。

 無類のギャンブル好きで妻や娘からも見放されているダメ親父のゴウは、若い時は映画監督を目指し、助監督として撮影現場で働いていた。撮影所近くの食堂の娘・淑子や仲間の映写技師テラシンとともに夢を追い求めていたが、初監督作「キネマの神様」の撮影初日に大ケガを負い、作品は幻となってしまう。挫折を味わったゴウは夢を諦め、撮影所を辞めた。それから約50年、かつて自身が手がけた「キネマの神様」の脚本を孫が見つけたことで、ゴウの中で止まっていた夢が再び動き始める。

6月30日(木)午後7時

『大河への道』

上映前: JCCC響和による太鼓の演奏
上映後: クロージングレセプション

 落語家・立川志の輔の創作落語「伊能忠敬物語 大河への道」の映画化。

 55歳から地図作りを始めた伊能忠敬。日本中を歩いて測量しながら、17年。1821年に完成させた初の日本地図「大日本沿海輿地全図」は、その精巧さに幕府のみならず、世界が驚愕した!その完成から200年、その裏に隠され続けた秘密が、遂に明かされる。

 千葉県香取市役所の総務課に務める池本は、市の観光振興策会議で、郷土の偉人、伊能忠敬を主人公とする大河ドラマの企画を提案したところ、通ってしまう。しかし、リサーチで、伊能忠敬は地図完成の3年前に亡くなっていたことが判明!

 江戸と令和、2つの時代を舞台に明かされていく日本初の全国地図誕生秘話。そこには地図を完成させるため、忠敬の弟子たちが命を懸けて取り組んだ隠密作戦があった。