TORJA読者もきっとこの映画は観たいはず!トロント国際映画祭(TIFF)2021年注目作品|第二特集 「トロント国際映画祭」

カナダはもちろん世界じゅうで話題になるトロント国際映画祭での上映作品について、厳選された200作品弱の中からTORJA読者向けに注目作品を紹介。今年も選りすぐりのラインナップで、いずれも興味をそそられる作品ばかり。全作品を紹介したいところだが、厳選に厳選を重ねて日本映画を含む、話題作や人気俳優の出演作に絞って紹介する。

注目の話題作

『Dear Evan Hansen』

Gala Presentations
監督: スティーヴン・チョボスキー
主演: ベン・プラット、ケイトリン・デヴァー、ジュリアン・ムーア、エイミー・アダムス

 孤独な高校生が自分宛てに書いた手紙が同級生の手にわたり、その同級生が自殺。悲しむ両親から親友だったと誤解され、ついた嘘が世界中に広まってしまう。青春映画の傑作を放ち続けるスティーヴン・チョボスキー監督によるブロードウェイミュージカルの映画化。

『Belfast』

Gala Presentations
監督: ケネス・ブラナー
主演: ジュディ・デンチ、キアラン・ハインズ、ジェイミー・ドーナン

 1960年代後半の激動の北アイルランドを舞台にした、少年と労働者階級の家族の物語。ケネス・ブラナー監督・脚本の最新作で、ベルファスト出身の彼にとって最も私的な映画であるとのこと。ワールドプレミア。

『Drive My Car』
(原題『ドライブ・マイ・カー』)

Special Presentations
監督: 濱口竜介
主演: 西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生

 妻と幸せな日々を送る舞台俳優兼演出家の男が、妻のある秘密を知った後、突然妻を失う。2年後、演劇祭で出会った女性運転手と言葉少なに送迎の車中を過ごすうち、過去と向き合うことになる。カンヌ国際映画祭で脚本賞ほか4冠に輝いた濱口竜介監督の最新作。

『Last Night in Soho』

Gala Presentations
監督: エドガー・ライト
主演: アニャ・テイラー=ジョイ、トーマシン・マッケンジー、マット・スミス

 ある夜、ファッションデザイナーが夢の中で1960年代のロンドンに迷い込む。そこで別人の体に入って過ごすうち、次第に過去と現在が恐ろしく変わってゆく。『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04)や『ベイビー・ドライバー』(17)のエドガー・ライト監督の最新作。

『Titane』

Midnight Madness
監督: ジュリア・デュクルノー
主演: ヴァンサン・ランドン、アガット・ルーセル

 幼い頃の交通事故の後、金属を埋め込まれた身体で暮らす女性と、息子が失踪した消防士のサイコスリラー。『RAW~少女のめざめ~』(16)で世界に衝撃を与えたジュリア・デュクルノー監督の最新作で、今年のカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドール受賞作。

『The Starling』

Special Presentations
監督: セオドア・メルフィ
主演: メリッサ・マッカーシー、クリス・オダウド、ケヴィン・クライン

 つらい出来事に苦しむ女性の家に、攻撃的なムクドリが巣を作る。そのムクドリに攻撃され、ムクドリを追い出そうと奮闘するうち、人生に向き合い始める。『ドリーム』(16)のセオドア・メルフィ監督の最新作で、ワールドプレミア。

『Burning』

TIFF Docs
監督: エヴァ・オーナー

 オーストラリアの大規模な山火事と、気候変動に対処しようとしない政治体制を追ったドキュメンタリー。プロデューサーとして参加した『Taxi to the Dark Side』(07)でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したエヴァ・オーナーの監督作で、ワールドプレミア。

『The Survivor』

Gala Presentations
監督: バリー・レヴィンソン
主演: ベン・フォスター、ビリー・マグヌッセン、ダニー・デヴィート

 第二次世界大戦中の強制収容所で、生きのびるためにボクシングで同胞と戦ったのち、ボクサーとなったハリー・ハフトの伝記映画。『レインマン』(88)でアカデミー監督賞を受賞したバリー・レヴィンソン監督の最新作で、ワールドプレミア。

『Flee』

TIFF Docs
監督: ヨナス・ポエール・ラスムッセン

 幼い頃にアフガニスタンから難民としてデンマークへ逃れた男性が、デンマークへ来てから20数年後、パートナーの男性との将来を考えて秘密を打ち明けようとする。今年のサンダンス映画祭のワールドドキュメンタリー部門グランプリ受賞作。

『Anxious Body』

Short Cuts
監督: 水尻自子

 体の一部や日常的なモチーフをアニメーションで描き続けてきた水尻自子監督による新作短編アニメーション。今年のカンヌ国際映画祭監督週間でワールドプレミア上映された。北米プレミア。

『Inu-Oh』

Special Presentations
監督: 湯浅政明
主演(声): アヴちゃん(女王蜂)、森山未來

 14世紀、室町時代の京の都。異形の子として生まれ、瓢箪の面で顔を隠して生きる犬王と、盲目の琵琶法師の少年。社会から疎まれる2人が、歌と舞で人生を切り拓いていく。数々のアニメーションで国内外から高く評価される湯浅政明監督の最新作。

『The Power of the Dog』

Special Presentations
監督: ジェーン・カンピオン
主演: ベネディクト・カンバーバッチ、キルスティン・ダンスト

 周囲から恐れられるカリスマ牧場主の弟が、新妻とその息子を連れてくる。兄は新妻と息子を苦しめるが、兄弟の人生が次第に変わっていく。『ピアノ・レッスン』(93)のジェーン・カンピオン監督の最新作。

『The Guilty』

Special Presentations
監督: アントワン・フークア
主演: ジェイク・ギレンホール、ライリー・キーオ、イーサン・ホーク、ポール・ダノ

 緊急通報指令室に、女性から今まさに誘拐されていると通報が入る。通報を受けたオペレーターは、電話越しの音だけを頼りに女性を助けようとする。サンダンス映画祭で観客賞を受賞したデンマーク映画『THE GUILTY ギルティ』(18)のリメイク。ワールドプレミア。

『One Second』

Gala Presentations
監督: チャン・イーモウ
主演: チャン・リー、ファン・ウェイ、リウ・ハオツン

 文化大革命の時代の中国。娘の姿が映る映画を一目見るために、父は労働改造所を脱走する。中国の巨匠チャン・イーモウ監督の新作で、2019年のベルリン国際映画祭の上映直前に出品が取り下げられ、その後2020年に中国国内で公開された。今年のクロージング作品。